狂気醜行

転換

001

　恵実は職場のパソコンの画面を見て「先輩」と理緒を呼んだ。
　理緒は返事をし、恵実の元へ行く。
「どうした？　何か見つけたか？」
「ええ、このサイトなんですけど」
「？　悩み相談？」
　パソコンの画面を見ながら理緒は言う。
「よくある掲示板じゃん」
「いや、そうなんですけど。ここに『このメールアドレスにメールを送ればすぐに解決』てあって……」
「ふむ」
「何かあるかな、とメールを送ったんです」
「そうか」
「そしたら、その、事件が起きたんですよ」
「……ん？」
「あの、ここ最近私にナンパしてくる男を撃退してほしいって言ったら、そのナンパ男が夜、男に襲われそうになったらしくて」
「……偶然にしては、何か引っ掛かるな。それ」
「ええ。でも、調べようにも調べる手段が特にないというか。この辺、電灯とかあまりなくて、そのナンパ男は犯人の顔を見てないというか、見えなかったみたいで」
「わかった。ちょっと川中先生に相談してみよう」
　理緒が携帯を取り出すと、恵実が「いや」と止める。
「私たちでできるところまでしましょう」
「…………」
「あまり頼りすぎると、いざあの人がいなくなったときとか、大変じゃないですか」
「ああ、そうだな」
　理緒は頷き、携帯をしまった。
　そのとき、理緒の携帯が鳴り、出ると。
　近くで殺人事件が起きたという話を聞いた。
　理緒は恵実と共に、現場に向かった。