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杜和泉絵師殺害事件
013
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意識を失った少女を優は抱える。
そのとき、少女のスカートから少女の保険証が地面に落ちた。
優は少女を道の端に置き、保険証を拾う。
「天宮城愛弥……?」
少女――愛弥を見て、優は「そうか」と言う。
「君が天宮城さんか」
優は数回頷き、保険証を愛弥の元に置く。
そして、愛弥を追っていた女を見る。
「となると、お姉さんってことかな。君は」
優の問いに、女は「ええ」と頷く。
「だから、その子から離れて」
「それはできない」
「はあ!? 良いから、私の愛弥ちゃんから離れろよ!! クソが!!」
女――愛理は優に怒鳴る。
「死ね! 愛弥ちゃんに近づく私以外の奴なんて! 消えろ! クソ!!」
「…………」
「何か言えよ、クソ野郎! バカ!」
「……はあ」
優はため息を吐いて、愛理の元へ行く。
「僕のことをバカにしたり、貶したりして良いのはさ、僕だけなんだよ」
「は?」
「僕以外にそういうことされるの、本当に嫌い」
優は愛理の首をそっと絞める。
「あと、僕はこう見えて子供との約束は必ず守る人でね。だから、君の妹さんを君の元へ、ということはしない。妹さんは助けを求めたからね」
「っ、ぁ」
「苦しい? そうだよね。僕、力が人よりもとても強くてさ。少し力を入れただけで、色々と物が勝手に壊れてしまうんだよ」
「は、なっ、せ」
「……僕に命令するなよ」
優は苛立ち、愛理の首を絞める手に少し力を入れる。
すると、愛理の首はボキッという音を立て、愛理は死んだ。
「あ」
優はそう言って、愛理から手を放す。
――また殺ってしまったな。
優は軽く頭を掻き、腕を組む。
チラリと愛弥を見ると、愛弥はまだ目を覚ましていない。
仕方ないと思い、優は愛理の死体を買ったばかりの包丁で切る。
四肢だけを持ち、その他はその場に置いておいた。
「川中先生、何か言ったりしてくれるかな」
そう呟き、優は意識を失ったままの愛弥を担いで、その場を立ち去った。
そのとき、少女のスカートから少女の保険証が地面に落ちた。
優は少女を道の端に置き、保険証を拾う。
「天宮城愛弥……?」
少女――愛弥を見て、優は「そうか」と言う。
「君が天宮城さんか」
優は数回頷き、保険証を愛弥の元に置く。
そして、愛弥を追っていた女を見る。
「となると、お姉さんってことかな。君は」
優の問いに、女は「ええ」と頷く。
「だから、その子から離れて」
「それはできない」
「はあ!? 良いから、私の愛弥ちゃんから離れろよ!! クソが!!」
女――愛理は優に怒鳴る。
「死ね! 愛弥ちゃんに近づく私以外の奴なんて! 消えろ! クソ!!」
「…………」
「何か言えよ、クソ野郎! バカ!」
「……はあ」
優はため息を吐いて、愛理の元へ行く。
「僕のことをバカにしたり、貶したりして良いのはさ、僕だけなんだよ」
「は?」
「僕以外にそういうことされるの、本当に嫌い」
優は愛理の首をそっと絞める。
「あと、僕はこう見えて子供との約束は必ず守る人でね。だから、君の妹さんを君の元へ、ということはしない。妹さんは助けを求めたからね」
「っ、ぁ」
「苦しい? そうだよね。僕、力が人よりもとても強くてさ。少し力を入れただけで、色々と物が勝手に壊れてしまうんだよ」
「は、なっ、せ」
「……僕に命令するなよ」
優は苛立ち、愛理の首を絞める手に少し力を入れる。
すると、愛理の首はボキッという音を立て、愛理は死んだ。
「あ」
優はそう言って、愛理から手を放す。
――また殺ってしまったな。
優は軽く頭を掻き、腕を組む。
チラリと愛弥を見ると、愛弥はまだ目を覚ましていない。
仕方ないと思い、優は愛理の死体を買ったばかりの包丁で切る。
四肢だけを持ち、その他はその場に置いておいた。
「川中先生、何か言ったりしてくれるかな」
そう呟き、優は意識を失ったままの愛弥を担いで、その場を立ち去った。
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