狂気醜行

杜和泉児童殺害予告事件

013

　貝原駿太は、クラスメイトの海野うみの愛生あきに恋をしている。
　海野は学校一の美少女で、性格も良い。
　身体能力はかなり高く、体育の成績は常に良い。
　が、机の上の勉強は苦手で、成績はお世辞でも良いとは言えない。
　そういうところも、男子や女子に人気である。
　貝原は海野とは小学生の頃からの幼馴染みで、出会った頃から恋をしていた。
　たまたま同じ中学校に通うことになり、貝原は海野に告白をしようと思った。
　そのとき、海野が貝原に「一つ、お願いがあるの」と言った。
　貝原が頷くと、海野は嬉しそうに「ありがとう」と言う。
「同じクラスの佐伯くんのことが好きでね。その告白の練習を手伝ってほしいの」
「え……」
「こんなの幼馴染みの駿太にしか頼めないからさ」
「…………」
　海野が好きだと言った相手は、クラスで浮いている佐伯千歳だった。
　常に読書をしていて、大人しい、根暗な印象の少年。
　髪は青く、瞳は黄土色のような色。
　その変わった外見から、クラス内では髪を染めている変なやつ、と言われている。
　貝原は彼のことを好きではなかった。
　一度、話しかけたら「何」と少し睨まれたからだ。
――何であんなやつ……。