狂気繚乱

春血暫

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狂気繚乱

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 男は、ただ少女の身体を切り刻む。
 肉を切るように、細かく、食べやすいように、と。
 少女の腹部からは、内蔵が飛び出ている。
 その内蔵を恍惚とした表情で見る男は、やはり誰がどう見ても異常者である。
 その狂気に満ちた眼差しで、男は少女の破片を丁寧に一つずつ食べる。
 ゴクリ、とものの五分で少女の身体は男の体内に入り、男の血肉となった。
 部屋に飛び散る血すら、男にはご馳走だった。
 自身にもかかっている少女の血。
 口の回りに付いた血を舐めとり、男は笑う。
「僕は、捕まらないよ」
 男が、殺ったのはこれで何度目なのだろうか。
 最初の女、そして、その事件を知った人々。
 そして、少女。
 きっと、事件となり、男を追う者が現れる。
 男の狙いは、それだった。
 派手に一人殺ってしまえば、あとは、自然とついてくる。
 男はこれからのことが、楽しみで笑いが止まらなかった。
「あはは、ははははは、あはははははははは、ははははははははは!!!!」
 ひととおり笑ったあとに、男はふと思う。
 上司で一人、男のことをかぎまわっているような男がいた。
「ストーカーは、嫌だよ」
 男は、包丁を持って上司のいる職場へ向かった。

 その日。
 この町では、たくさんの人間が、この男によって殺され、食された。
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