気になるあの娘はツンデレラ！？

１

「遅いのよ、このグズ」
　彼女が発した一言目は罵倒から始まった。
　えぇー？　なんか理不尽。
「私が命令したら、三分以内で買って来なさい？　分かった？」
「……はい」
「返事はイエッサーよ！」
「イエッサー！」
「よろしい」
　彼女は満足そうに微笑むと、僕は、思わずドキッとしてしまう。そんな彼女に見とれていると――
「目障りだから早く帰りなさい」
　部…屋からポイッと放り出された。
「…えぇー」
　なんて理不尽な。

　早速だけど僕の紹介をさせて貰おう。僕の名前は真田　充理。あ、これでみつまさって読む。よく戦国時代の武将みたいな名前って言われる。得意な運動は特に無し。趣味は……なんだろうな。まあ、強いて言うならば、音楽鑑賞。アニソンとか大好物ですね。後は……無いな。まあ、どこにでもいる平凡な高校一年生ですよ、はい。あと、何故か生徒会の手伝いをしている（させられている）。で、今日の一幕に繋がるってわけだ。
　光城　真姫七。これでまきなって読む。さっき僕を罵っていたお嬢様だ。美人で、名前は可愛いけれど、中身は最悪に近い。そう、彼女はドSなのだ。もはやツンデレとかそういうレベルを軽く超えている。まさにツンツンだ。ツン十割、デレ零割だ。執拗に僕を狙って教育…もといイジメをしてくる。でも、本当にたまに見せるあの無邪気な笑みが堪らない！　……ごほん、それはさておき。とにかく僕は彼女の召使いみたいな感じなんだ。でもまあ、案外嫌じゃない。きっとこういう性分なのだろう。
　今日も、頼まれたものを渡して帰ろうとしたのだが――
「んーっ！」
　さっきつまみ出された生徒会室の中から、光城先輩の悲鳴？　みたいなものが聞こえてきた。
「光城先輩？」
　なんだろう、何か嫌な予感がする。もしかしたら不審者？　
　心配で堪らなくなった僕は、ノックもせず生徒会室の扉を開いた。