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45、小休止、アイスブレイク

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「……失礼します、クロイツです」
 シナとこの後の予定の確認をしていたところ、コンコンと扉が叩かれた。

「ああ、入れ」
 アリスがそう促す。シナはそれを聞き、慌てて椅子から立ち上がろうとしたがアリスがそれを止めた。

「失礼します、おやつをお持ちいたしました……おや、シナも一緒でしたか」

「ああ、起きるまで一緒にいてくれてな」

「それならちょうどいいかもしれませんね」
 そう言い、クロイツは持っていたクローシュを机に置く。

「今回は、クッキーを焼いてみました。ただ数が多かったので」

「なるほど、シェアということだな」
 ふんふんとアリスが頷き、ベッドから降りた。

「シナ、腹は空いているか?」

「え、まあ、少しだけ」

「よし、それならば私と共におやつを食べるぞ」
 そう言うと同時にクロイツがクローシュを開いた。そこにはたくさんのクッキーが所狭しと乗せられていた。

「はぅ、おいしそうです……!」
 シナが目をキラキラと輝かせる。

「我ながら結構綺麗に焼けたと思っています、さ、どうぞお召し上がりください」
 クロイツがそう勧めるのでアリスはクッキーを一つつまみ、サクッと軽快な音を立てて齧る。

「……シンプルだが、奥が深い味だ」
 こんがりと焼かれたクッキーは、黄金色に輝いており、まるで金貨のようであった。

「なにこれー! 美味しーです!」
 シナも一枚食べ、目を見開く。

「バターの香りが凄いです!」
 口に入れた瞬間、ふわっと芳醇ばバターの香りが鼻に抜ける。また、バターの深いコクが舌に余韻を残す。しかし、けしてクドくなく、何枚でも食べられるかのような錯覚に陥りそうだ。

「……」
 アリスは無言で何枚も食べ、口元を汚していた。

「あ、お嬢様、お口元がお汚れですので少し失礼いたしますね」
 シナがハンカチでアリスの口元を拭う。それをクロイツはニコニコと見ていた。

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