中途半端な俺が異世界で全部覚えました

１４６，シーナ姉さまは人の恋に興味しんしんなのです

「そ、そんなに大事なのですか？」
「ええ。魔術というものがそもそも一般的ではない世界、そんな世界で、魔法が明るみになることは、緊急事態です。イルミナティ、フリーメイソン、テンプル騎士団、アルファオメガ、その他諸々。このような秘密結社の内部でも、秘匿中の秘匿とされてきた禁忌。それが魔法、魔術」
　魔法の概念が存在しない世界。アニメ、漫画、小説で散々題材とされてきた。けれど、殆どのこの現代社会に生きる人々は虚構として捉えている。でももし、もしもその虚構が現実なら――
「間違いなく世界が大混乱ですね……」
　もし、核兵器と同等の威力の魔法を、一人で放てるほどのポテンシャルの人間が向こう側に存在していたら？　確実に世界が変わってしまう。

　目の色が変わった私を見て、シーナ姉さまが気負わなくていいという感じで、ポンポンと私の頭を軽く叩く。
「大丈夫です。そうならないように、私達、『シスターズ』も動いていますから」
　シーナ姉さまは立ち上がる。
「世界を守るのもいいですが、でもそれよりも」
　ニヤッと少し悪い笑みを浮かべるシーナ姉さま。
「ナナカの恋の話を聞きたいですね！」
「…………誰だ話したのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
　人の恋とかのことになるとシーナ姉さまは止まらないのにぃぃぃぃ！
　
　結局、三時間ほど、誰とは言いませんが、恋をしているその人のことを話させられました……。