世界の十字路

第4章 転落

破滅の予兆

　あれから、どれだけの時間が経ったのかは分からない。
　床に投げ出されていたフェンの手が、ピクリと動いた。


　ゆっくりと身を起こしたフェンは立ち上がりはせず、近くの壁へともたれかかった。


「ははは…」


　フェンの口から、乾いた笑い声が零れる。


「実さん、すごいな……」


　それだけ呟いた彼は―――




「あはは……はははははっ！」




　大声で笑い始めた。
　その笑い声は決して明るいものではなく、むしろ禍々まがまがしさを感じさせる。


「ありがとう。感謝してもしきれないくらいだ。」


　フェンは嗤わらった。
　それは近づく者全てを恐れさせるような、狂気に満ちた笑顔だった。


　フェンは自分の両手を掲げ、うっとりと目を細める。


「……シェイラ。」


　これで、もう大丈夫。
　何も怖くない。
　手に入れるものは手に入れたのだ。


　だから後は……
　そう、後は―――