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第13歩目 こじれた絆
暗い過去
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物心ついた時から、自分の世界は灰色の景色で染まっていた。
鉄格子のはまった部屋の中。
手足には枷と鎖。
この首に刻まれた刺青だって、いつ刻まれたものなのかも分からない。
周囲からは、毎日のように泣き声と怒鳴り声が聞こえてくる。
逆らったら殺される。
時おり息絶えた人が粗雑に運ばれていくのを見て、幼いながらにそれだけは分かっていた。
逆らわず、従順に。
そうしていれば、痛い目には遭わない。
地獄のような叫び声に耳を塞ぎ、手の中にある小さな石に祈りを捧げて日々を過ごしていた。
名前も与えられなかった自分には、この運命石だけが自分の存在を証明する全て。
それしか、すがれるものがなかった。
そんな日々が、どれだけ流れた頃だろう。
ただでさえ地獄だった毎日が、突然牙を向いて襲いかかってきたのは。
彼らは私をいつもとは違う部屋に連れていくと、有無を言わさずに服を脱がせた。
怯える私を見下ろし、彼らは笑った。
これは高く売れる。
傷をつけないように育てたかいがあったと。
それで悟った。
私は、従順だったから痛い思いをしなかったんじゃない。
彼らの商品として高く売れる価値があったから、その価値を損なわないためだけに、手を上げられなかったのだと。
それからは、一糸まとわぬ姿で観衆の目に晒される毎日だった。
にやにやと私を眺める、気持ち悪い視線。
ねっとりと絡みつくように、私の肌をなでていく手。
私にはお金の価値なんて分からなかったけれど、彼らが上機嫌で客と交渉するのを見て、それなりに高い金額が動いているのだろうと、なんとなく想像することはできた。
理解していた。
私は奴隷だから、いずれ誰かに売られていくんだって。
でも、怖かった。
頬を上気させて興奮した様子で、私を買おうとする客たち。
彼らが私を買う理由は何?
私は、何を求められているの?
それを考えると、震えるほどに怖くて仕方なくて。
だから、あの時のことはよく覚えている。
あの人に出会った日。
私に手を差し伸べてくれたあの人が、私には神様に見えた。
鉄格子のはまった部屋の中。
手足には枷と鎖。
この首に刻まれた刺青だって、いつ刻まれたものなのかも分からない。
周囲からは、毎日のように泣き声と怒鳴り声が聞こえてくる。
逆らったら殺される。
時おり息絶えた人が粗雑に運ばれていくのを見て、幼いながらにそれだけは分かっていた。
逆らわず、従順に。
そうしていれば、痛い目には遭わない。
地獄のような叫び声に耳を塞ぎ、手の中にある小さな石に祈りを捧げて日々を過ごしていた。
名前も与えられなかった自分には、この運命石だけが自分の存在を証明する全て。
それしか、すがれるものがなかった。
そんな日々が、どれだけ流れた頃だろう。
ただでさえ地獄だった毎日が、突然牙を向いて襲いかかってきたのは。
彼らは私をいつもとは違う部屋に連れていくと、有無を言わさずに服を脱がせた。
怯える私を見下ろし、彼らは笑った。
これは高く売れる。
傷をつけないように育てたかいがあったと。
それで悟った。
私は、従順だったから痛い思いをしなかったんじゃない。
彼らの商品として高く売れる価値があったから、その価値を損なわないためだけに、手を上げられなかったのだと。
それからは、一糸まとわぬ姿で観衆の目に晒される毎日だった。
にやにやと私を眺める、気持ち悪い視線。
ねっとりと絡みつくように、私の肌をなでていく手。
私にはお金の価値なんて分からなかったけれど、彼らが上機嫌で客と交渉するのを見て、それなりに高い金額が動いているのだろうと、なんとなく想像することはできた。
理解していた。
私は奴隷だから、いずれ誰かに売られていくんだって。
でも、怖かった。
頬を上気させて興奮した様子で、私を買おうとする客たち。
彼らが私を買う理由は何?
私は、何を求められているの?
それを考えると、震えるほどに怖くて仕方なくて。
だから、あの時のことはよく覚えている。
あの人に出会った日。
私に手を差し伸べてくれたあの人が、私には神様に見えた。
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