Fairy Song

時雨青葉

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【第2幕】紅蓮の頂に伸びる赤回廊

幕間~悪夢~

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 目を開ければ、血まみれの世界が広がっている。


 違う。
 私がいるところはここじゃない。
 こんな光景、私は知らない。


 必死に自分に言い聞かせて、そこから逃げた。


「逃げるの? ルルーシェ。私から。自分の罪から。」


 背後から、ねっとりと絡みつくような声が追いかけてくる。


「違うの! 私は違う……ルルーシェなんかじゃない!!」


 嫌だ。
 とらわれたくない。


 ルルーシェの過ちはルルーシェのものであって、フィオリアには関係ないって。


 愛しいあの人は、そう言ってくれた。


 大事にしたいの。
 あの人がくれた、砂糖菓子のようなこの言葉を。


 私はもう、あの頃には戻りたくない。
 私は私なんだって、胸を張ってそう言いたいの。


「嘘よ。あなたはルルーシェだわ。本当は、分かっているくせに。」
「違う!」


「また逃げていくの? 私の大切なものを奪ったくせに。」
「私は私だもの。もう、ルルーシェとしての運命なんか辿らない。私は、私の道を歩くの!!」




「―――そんなの、許さない。」




「!?」


 途端に、体が動かなくなる。
 突然目の前に現れた女の人が私を抱いて、私の腕を痛いくらいに握り締める。


「逃がさない。私は、あなたを許さない。」


 怨嗟がこもった彼女の頬を、どろどろと赤い雫が伝う。




「裏切り者。」




 その言葉は、永遠に消えることはなくて―――



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