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第3章 裏切り
慟哭の夜
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その後、ジャミルを拘束する傍らで、キリハの手当てが行われた。
ジャミルにつけられた目元の切り傷以外に外傷はなく、少しの衰弱は見られるものの、呼吸や脈拍は安定していた。
しかし、どれだけ声をかけても、どんなに体を揺さぶっても、キリハがそこで目を開けることはなかった。
ジャミルの巻き添えでジョーの睡眠薬を吸い込んだこともあるし、それ以前にジャミルに薬物を投与されていた可能性もある。
だが、この昏睡が心因的なものならば……いつ目覚めるかは分からない。
警察に同行して現場に来ていた医者は、同情を隠しきれないつらそうな声音でそう告げた。
命こそ助かったものの、心までは助かるかどうか。
皆がそんな重苦しい不安を抱える中、キリハは宮殿の病院へと搬送された。
そして、命すらも潰えるか否かという戦いが、別の場所で繰り広げられていた。
「………」
エリクが運ばれた集中治療室前の椅子に座り、ルカは深くうつむいていた。
かなり前に毒物を服用していたのか、中毒症状はすでに全身へ回っていたという。
当然ながら、胃の洗浄程度では症状が緩和されるわけがなく、エリクはすぐにこの集中治療室に担ぎ込まれたそうだ。
それからもう、九時間以上。
エリクはおろか、医者や看護師も出てこない。
厄介なことに、毒物の正体が分からないらしい。
対処療法的な治療と同時並行で毒物の特定を急いでいるが、この調子では、的確な治療法が見つかるよりも先に、生死の峠が来てしまうだろう。
顔なじみの医者からそう聞かされた時は、いっそのこと気絶したいと思うほどに、現実を激しく拒絶する自分がいた。
両親には、まだ連絡していない。
この場に二人を呼んだとして、こうなった経緯を理路整然と話せる気がしなかった。
それほどまでに、自分だって急転直下の悲劇についていけていない。
(兄さん…っ)
祈るように、組んだ両手を額につける。
『ルカなら、気付いてくれるって……僕が死ぬ前に、ここに来てくれるって……信じてた……』
『あの子を………助け、て―――』
最後の力を振り絞って自分にメッセージを託したエリクの微笑みは、今までと寸分も違わない、優しさに満ちたものだった。
そして、彼のメッセージは確かに自分たちを導いて、間一髪でキリハを助けた。
あの兄が、自ら進んで大切な人を裏切るわけがない。
絶対に、ジャミルに従わざるを得ない理由があったのだ。
エリクの無実を証明したくて、叫び出したくなる衝動をこらえながら、託された暗号の全文を読み込んだ。
死にたいのに、死ぬことを許されない。
お願いだから殺してくれ。
あの子たちを傷つけるくらいなら、生きなくていい。
僕が死ねば、あの子たちは泣いちゃうと思うけど……
それでも、信じていた人に地獄へと突き落とされる苦痛よりは、きっと楽なはずだから―――
何度も何度も、〝死なせてくれ〟と。
ジャミルの犯行を書き記す合間に、エリクはまるで呪詛のようにそう書き込んでいた。
自分が認知できない、もう一人の自分がいる。
ジャミルの傀儡となって、大切な人を出口のない絶望へと導く自分が。
何度も助けを求めようとした。
自分はどうでもいいから、ルカとキリハを救ってくれと、声を大にして言いたかった。
なのに……電話をしようとしても、メッセージを打とうとしても、もう一人の自分が邪魔をしてくる。
何度死ぬかと思うような苦しみに見舞われたか、何度意識を失ったか、もう数えるのもつらい。
時おり出てくる兄の悲痛な叫びに、涙を流さずにはいられなかった。
もっと普段から会いに来いって、あんなに言われていたのに。
そのとおりにしていれば、こんなことになる前に気付けたはずなのに。
死ぬほど後悔したって、もう今さらでしかなくて―――
「ルカ……」
がっくりとうなだれるルカの肩に、カレンが気遣わしげに手を置く。
「……帰ってもいいぞ。お前までオレに付き合って、徹夜しなくたっていい。」
「そんなこと、するわけないでしょ。」
真っ赤な目元に再び涙を滲ませながら、カレンは唇を噛む。
「あたしだって、お兄ちゃんが心配なんだもん。それに……こんなルカを、一人になんてできない…っ」
想いがあふれて、カレンはたまらずルカを胸に抱き寄せる。
いつもなら慌てて逃げようとするルカも、この時ばかりは無抵抗だった。
「なぁ、カレン……」
乾いた唇から、無機質で淡々とした声が漏れる。
「オレがさ……人生の何もかもを捨ててでも、兄さんの復讐をやり遂げたいって言ったら……お前は、オレを止めるか?」
ルカが訊ねたのは、そんなこと。
ルカを強く抱き締めたまま、カレンは何も語らない。
カレンに抱かれるルカも、答えを急かさない。
しばらく、夜の静けさだけが廊下を満たした。
「なんだかんだと、曲がったことができないルカに、そんなことができるとは思わないけど……」
やがて口を開いたカレンは、涙を浮かべながらも微笑む。
「止めないよ。もしもそれでルカが捕まっちゃうようなことになったら……いつまででも、待っててあげる。」
それは、彼女なりの最大の覚悟と―――最大の愛情が表れた言葉。
「そうか……」
真正面からカレンを見つめてその言葉を受け取ったルカは、今度は自分からカレンの胸に頭を預けた。
「悪い……少しだけ、泣かせてくれ…っ」
そう言って片手で顔を隠したルカの体が、大きく震え始める。
「オレさ……なんでか知らねぇけど………昔から、お前の前でしか泣けねぇんだ…っ」
「うん。知ってる。」
「くそ…っ。……なんで……なんで、こんなことに…っ」
「うん……」
「なんで、兄さんがこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!! 馬鹿みたいにお人好しで、竜使いのくせに喜んで万人を助けようとするくそ善人なんだぞ!? 殺される理由なんて……どこにも…っ」
「うん…っ」
血を吐くような叫びが一つ響く度に、互いの両目から透明な雫があふれては落ちる。
二人で共に涙を流して。
二人で共にしがみつき合って。
身も心も凍えてしまいそうな夜を、必死に乗り越えた―――
ジャミルにつけられた目元の切り傷以外に外傷はなく、少しの衰弱は見られるものの、呼吸や脈拍は安定していた。
しかし、どれだけ声をかけても、どんなに体を揺さぶっても、キリハがそこで目を開けることはなかった。
ジャミルの巻き添えでジョーの睡眠薬を吸い込んだこともあるし、それ以前にジャミルに薬物を投与されていた可能性もある。
だが、この昏睡が心因的なものならば……いつ目覚めるかは分からない。
警察に同行して現場に来ていた医者は、同情を隠しきれないつらそうな声音でそう告げた。
命こそ助かったものの、心までは助かるかどうか。
皆がそんな重苦しい不安を抱える中、キリハは宮殿の病院へと搬送された。
そして、命すらも潰えるか否かという戦いが、別の場所で繰り広げられていた。
「………」
エリクが運ばれた集中治療室前の椅子に座り、ルカは深くうつむいていた。
かなり前に毒物を服用していたのか、中毒症状はすでに全身へ回っていたという。
当然ながら、胃の洗浄程度では症状が緩和されるわけがなく、エリクはすぐにこの集中治療室に担ぎ込まれたそうだ。
それからもう、九時間以上。
エリクはおろか、医者や看護師も出てこない。
厄介なことに、毒物の正体が分からないらしい。
対処療法的な治療と同時並行で毒物の特定を急いでいるが、この調子では、的確な治療法が見つかるよりも先に、生死の峠が来てしまうだろう。
顔なじみの医者からそう聞かされた時は、いっそのこと気絶したいと思うほどに、現実を激しく拒絶する自分がいた。
両親には、まだ連絡していない。
この場に二人を呼んだとして、こうなった経緯を理路整然と話せる気がしなかった。
それほどまでに、自分だって急転直下の悲劇についていけていない。
(兄さん…っ)
祈るように、組んだ両手を額につける。
『ルカなら、気付いてくれるって……僕が死ぬ前に、ここに来てくれるって……信じてた……』
『あの子を………助け、て―――』
最後の力を振り絞って自分にメッセージを託したエリクの微笑みは、今までと寸分も違わない、優しさに満ちたものだった。
そして、彼のメッセージは確かに自分たちを導いて、間一髪でキリハを助けた。
あの兄が、自ら進んで大切な人を裏切るわけがない。
絶対に、ジャミルに従わざるを得ない理由があったのだ。
エリクの無実を証明したくて、叫び出したくなる衝動をこらえながら、託された暗号の全文を読み込んだ。
死にたいのに、死ぬことを許されない。
お願いだから殺してくれ。
あの子たちを傷つけるくらいなら、生きなくていい。
僕が死ねば、あの子たちは泣いちゃうと思うけど……
それでも、信じていた人に地獄へと突き落とされる苦痛よりは、きっと楽なはずだから―――
何度も何度も、〝死なせてくれ〟と。
ジャミルの犯行を書き記す合間に、エリクはまるで呪詛のようにそう書き込んでいた。
自分が認知できない、もう一人の自分がいる。
ジャミルの傀儡となって、大切な人を出口のない絶望へと導く自分が。
何度も助けを求めようとした。
自分はどうでもいいから、ルカとキリハを救ってくれと、声を大にして言いたかった。
なのに……電話をしようとしても、メッセージを打とうとしても、もう一人の自分が邪魔をしてくる。
何度死ぬかと思うような苦しみに見舞われたか、何度意識を失ったか、もう数えるのもつらい。
時おり出てくる兄の悲痛な叫びに、涙を流さずにはいられなかった。
もっと普段から会いに来いって、あんなに言われていたのに。
そのとおりにしていれば、こんなことになる前に気付けたはずなのに。
死ぬほど後悔したって、もう今さらでしかなくて―――
「ルカ……」
がっくりとうなだれるルカの肩に、カレンが気遣わしげに手を置く。
「……帰ってもいいぞ。お前までオレに付き合って、徹夜しなくたっていい。」
「そんなこと、するわけないでしょ。」
真っ赤な目元に再び涙を滲ませながら、カレンは唇を噛む。
「あたしだって、お兄ちゃんが心配なんだもん。それに……こんなルカを、一人になんてできない…っ」
想いがあふれて、カレンはたまらずルカを胸に抱き寄せる。
いつもなら慌てて逃げようとするルカも、この時ばかりは無抵抗だった。
「なぁ、カレン……」
乾いた唇から、無機質で淡々とした声が漏れる。
「オレがさ……人生の何もかもを捨ててでも、兄さんの復讐をやり遂げたいって言ったら……お前は、オレを止めるか?」
ルカが訊ねたのは、そんなこと。
ルカを強く抱き締めたまま、カレンは何も語らない。
カレンに抱かれるルカも、答えを急かさない。
しばらく、夜の静けさだけが廊下を満たした。
「なんだかんだと、曲がったことができないルカに、そんなことができるとは思わないけど……」
やがて口を開いたカレンは、涙を浮かべながらも微笑む。
「止めないよ。もしもそれでルカが捕まっちゃうようなことになったら……いつまででも、待っててあげる。」
それは、彼女なりの最大の覚悟と―――最大の愛情が表れた言葉。
「そうか……」
真正面からカレンを見つめてその言葉を受け取ったルカは、今度は自分からカレンの胸に頭を預けた。
「悪い……少しだけ、泣かせてくれ…っ」
そう言って片手で顔を隠したルカの体が、大きく震え始める。
「オレさ……なんでか知らねぇけど………昔から、お前の前でしか泣けねぇんだ…っ」
「うん。知ってる。」
「くそ…っ。……なんで……なんで、こんなことに…っ」
「うん……」
「なんで、兄さんがこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!! 馬鹿みたいにお人好しで、竜使いのくせに喜んで万人を助けようとするくそ善人なんだぞ!? 殺される理由なんて……どこにも…っ」
「うん…っ」
血を吐くような叫びが一つ響く度に、互いの両目から透明な雫があふれては落ちる。
二人で共に涙を流して。
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身も心も凍えてしまいそうな夜を、必死に乗り越えた―――
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