竜焔の騎士

時雨青葉

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第6章 軋んでいく心

抗う声

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 だめだ。
 このままじゃ、自分が自分でなくなってしまう。


 危機感が体を突き動かして、無駄だと知りつつも携帯電話にかじりつく。
 途端に激しい頭痛が襲いくるが、なけなしの理性でそれに逆らった。


 意識を失うのが怖い。
 睡魔に流されて眠るのも怖い。


 自分が送った記憶のないメッセージ。
 身に覚えのない発信履歴。


 それを見る度に、全身が凍りついたように寒くなる。


 自分が知らないところで、自分が知らない自分が勝手に動いている。
 彼の思い通りに動いてはいけないのに、日に日に自分を見失っていく。




 このままじゃ―――あの子が危ない。




 お願いだ。
 誰か助けてくれ。


 自分ではない自分が、破滅の花を咲かせてしまう前に。
 何もかもが崩れてしまう前に。




 誰か……
 誰か………



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