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第4章 触れ合い
もはや誘拐
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響いてきた音は、何かの駆動音だ。
首を巡らせて空を仰ぐと、こちらに近づいてくる小型ジェット機と、大型の貨物機が一機ずつ見える。
ジェット機と貨物機は、それぞれ別の滑走路に着地した。
先に着地したジェット機の中からは、いつものように制服に身を包んだジョーが駆け足で下りてくる。
彼は後ろに続く人々に指示を出しながら、自身は管制塔だった建物の中へと消えていった。
以前からレティシアたちをここに放すことを検討していた彼は、人知れずに管制塔のシステムを復旧させていたのだそうだ。
自分がここで寝泊まりしたいと伝えたら、システムの最終調整のついでに、その用意もしてくれると言ってくれた。
一方、貨物機の中から出てきた人々は、続々と搬入口周辺に集まっていく。
貨物機の搬入口がゆっくりと開くと、その中から大きなドラゴンが姿を現した。
出てきたドラゴンは翼を震わせ、気持ちよさそうに伸びをしている。
「おーい、キリハ!」
ルーノと一緒に貨物機から出てきたノアは、こちらの姿を認めると、嬉しそうな顔で手を振りながら駆け寄ってきた。
「すまない。ちょっと、準備に手間取ってな。待たせてしまったか?」
「ううん、大丈夫だよ。」
「そうか。それはよかった。」
ノアはぐるりと周囲を見回す。
「それにしても、広くていい場所だ。ターニャたちには、感謝せねばなるまいな。お前にもレティシアたちにも、手間をかけた。」
「気にしないで。俺も、レティシアたちを外に出してあげられて嬉しいし。」
海岸で会った時と全然変わらないノアの態度。
それに、内心でほっとしている自分がいた。
肩の力を抜いたちょうどその時、ポケットに入れていた携帯電話が軽快なメロディーを奏でた。
「もしもし?」
「キリハ君? 待機しといてくれてありがとう。せっかく休みだったのに、駆り出しちゃってごめんね。」
電話の向こうで、ジョーはすでに忙しくパソコンのキーボードを叩いているらしい。
彼が管制塔に入ってからまだ十分と経っていないはずだが、相変わらず仕事が早いことだ。
「大丈夫だよ。どうせ暇だったもん。」
「そう言ってもらえると助かるよ。夜までには色々と準備しておくから、一旦宮殿に戻っても大丈夫だよ。」
「そっか。分かった。」
慌ただしく飛行場の中を行ったり来たりしている人々を見ると、ここに自分がいても邪魔だろうことが察せられる。
素直に頷いて電話を切ったキリハに、その様子をじっと窺っていたノアが口を開いた。
「キリハ。お前、暇なのか?」
「うん。ノアがいる間は、俺たちお休みになってるからね。」
答えると、途端にノアは上機嫌そうに口角を上げた。
「なんと。それは都合がいい。」
彼女はそんなことを言い、懐から携帯電話を取り出した。
「……ああ、ディアラントか? 今日一日、キリハを借りていくぞ。」
「えっ!?」
唐突にそんな宣言をされ、キリハは大きく目を見開いた。
自分と同じように、相当驚愕しているらしい。
電話口から微かに聞こえてくるディアラントの声には、混乱と焦りが滲んでいる。
しかし、そんなディアラントの言葉など一切聞く気がないのか、ノアはディアラントの声を遮るように、一方的に電話を切ってしまった。
「さあ、行こうではないか!!」
ノアに腕を掴まれ、驚いていたキリハは抵抗できないまま、ずるずると貨物機の方へと引きずられてしまう。
「えっ……待って!! どこに行くの!?」
「暇なら、今日一日付き合ってくれ。」
「だ、だからどこに……」
「ウルド! キリハのことを頼む!!」
「ちょっと! ノアーっ!?」
最後まで、キリハの言葉が聞き届けられることはなかった。
首を巡らせて空を仰ぐと、こちらに近づいてくる小型ジェット機と、大型の貨物機が一機ずつ見える。
ジェット機と貨物機は、それぞれ別の滑走路に着地した。
先に着地したジェット機の中からは、いつものように制服に身を包んだジョーが駆け足で下りてくる。
彼は後ろに続く人々に指示を出しながら、自身は管制塔だった建物の中へと消えていった。
以前からレティシアたちをここに放すことを検討していた彼は、人知れずに管制塔のシステムを復旧させていたのだそうだ。
自分がここで寝泊まりしたいと伝えたら、システムの最終調整のついでに、その用意もしてくれると言ってくれた。
一方、貨物機の中から出てきた人々は、続々と搬入口周辺に集まっていく。
貨物機の搬入口がゆっくりと開くと、その中から大きなドラゴンが姿を現した。
出てきたドラゴンは翼を震わせ、気持ちよさそうに伸びをしている。
「おーい、キリハ!」
ルーノと一緒に貨物機から出てきたノアは、こちらの姿を認めると、嬉しそうな顔で手を振りながら駆け寄ってきた。
「すまない。ちょっと、準備に手間取ってな。待たせてしまったか?」
「ううん、大丈夫だよ。」
「そうか。それはよかった。」
ノアはぐるりと周囲を見回す。
「それにしても、広くていい場所だ。ターニャたちには、感謝せねばなるまいな。お前にもレティシアたちにも、手間をかけた。」
「気にしないで。俺も、レティシアたちを外に出してあげられて嬉しいし。」
海岸で会った時と全然変わらないノアの態度。
それに、内心でほっとしている自分がいた。
肩の力を抜いたちょうどその時、ポケットに入れていた携帯電話が軽快なメロディーを奏でた。
「もしもし?」
「キリハ君? 待機しといてくれてありがとう。せっかく休みだったのに、駆り出しちゃってごめんね。」
電話の向こうで、ジョーはすでに忙しくパソコンのキーボードを叩いているらしい。
彼が管制塔に入ってからまだ十分と経っていないはずだが、相変わらず仕事が早いことだ。
「大丈夫だよ。どうせ暇だったもん。」
「そう言ってもらえると助かるよ。夜までには色々と準備しておくから、一旦宮殿に戻っても大丈夫だよ。」
「そっか。分かった。」
慌ただしく飛行場の中を行ったり来たりしている人々を見ると、ここに自分がいても邪魔だろうことが察せられる。
素直に頷いて電話を切ったキリハに、その様子をじっと窺っていたノアが口を開いた。
「キリハ。お前、暇なのか?」
「うん。ノアがいる間は、俺たちお休みになってるからね。」
答えると、途端にノアは上機嫌そうに口角を上げた。
「なんと。それは都合がいい。」
彼女はそんなことを言い、懐から携帯電話を取り出した。
「……ああ、ディアラントか? 今日一日、キリハを借りていくぞ。」
「えっ!?」
唐突にそんな宣言をされ、キリハは大きく目を見開いた。
自分と同じように、相当驚愕しているらしい。
電話口から微かに聞こえてくるディアラントの声には、混乱と焦りが滲んでいる。
しかし、そんなディアラントの言葉など一切聞く気がないのか、ノアはディアラントの声を遮るように、一方的に電話を切ってしまった。
「さあ、行こうではないか!!」
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「えっ……待って!! どこに行くの!?」
「暇なら、今日一日付き合ってくれ。」
「だ、だからどこに……」
「ウルド! キリハのことを頼む!!」
「ちょっと! ノアーっ!?」
最後まで、キリハの言葉が聞き届けられることはなかった。
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