238 / 598
第3章 カリスマ王の猛進
翌朝の珍事
しおりを挟む
嵐のような出来事から、一夜明けて。
「………」
ルカ、カレン、サーシャの三人は、当惑して互いの顔を見合わせていた。
「おい、あの馬鹿に何があったんだ?」
いつまでも無言というのも気まずくなって、ルカがとりあえず口を開く。
「あたしたちに分かるわけないじゃない。そういうルカこそ、心当たりないわけ?」
「あったら、お前らに訊くわけないだろ。」
「そうよね……」
カレンが呟き、三人の視線はある一点に集まる。
そこには、目の前で温かな湯気を立てるカップを見つめながら、ぼんやりとしているキリハの姿があった。
先日突然宮殿を訪れたルルアの大統領は、一週間ほど宮殿に滞在することになったらしい。
それを受けて、ディアラントたちドラゴン殲滅部隊は宮殿本部の安全管理を一任することになり、竜騎士隊には緊急時を除いて、しばらくの休暇を言い渡された。
とはいえこれといって日常が変わるわけでもなく、ルカたちはいつもそうするように、宮殿本部のカフェテリアに集まった。
そうして目の当たりにしたのが、この状況である。
他の皆より早く席についていたキリハは、終始こんな感じだ。
かろうじて挨拶には応えてくれたが、その他は何を言っても上の空で会話にもならない。
三人が困り果てていると、ふとカフェテリアの自動ドアが開く音がした。
「あ、お師匠さん。」
カレンの呟きに、ルカとサーシャもそちらへと視線を向ける。
小走りで彼らへ近寄ったディアラントはキリハを見ると、途端に眉間にしわを寄せた。
「あー…」
重たげな吐息が、その口から零れる。
次に彼はルカたち三人をぐるりと見渡し、とある一点に狙いを定めた。
「あの……カレンちゃん。ちょっと、時間もらえる?」
「え、あたし?」
呼ばれたカレンは驚いて、自分の顔を指差した。
それにディアラントが何度も頷くと、カレンは怪訝そうに首を捻りながらも、ディアラントの傍へと歩みを進めた。
「ごめん、ルカ君。ちょっとだけ、カレンちゃんを貸してね。」
「なんでオレに、いちいち断りを入れる必要がある。」
すかさず突っ込むルカ。
「いやホント、ちょっとだけだから。」
「だからなんで……」
「別に、やましいこととか何もないから。」
「だから!!」
目くじらを立てるルカに何度も謝りながら、ディアラントはカレンを連れてカフェテリアを出ていってしまった。
「………」
ルカ、カレン、サーシャの三人は、当惑して互いの顔を見合わせていた。
「おい、あの馬鹿に何があったんだ?」
いつまでも無言というのも気まずくなって、ルカがとりあえず口を開く。
「あたしたちに分かるわけないじゃない。そういうルカこそ、心当たりないわけ?」
「あったら、お前らに訊くわけないだろ。」
「そうよね……」
カレンが呟き、三人の視線はある一点に集まる。
そこには、目の前で温かな湯気を立てるカップを見つめながら、ぼんやりとしているキリハの姿があった。
先日突然宮殿を訪れたルルアの大統領は、一週間ほど宮殿に滞在することになったらしい。
それを受けて、ディアラントたちドラゴン殲滅部隊は宮殿本部の安全管理を一任することになり、竜騎士隊には緊急時を除いて、しばらくの休暇を言い渡された。
とはいえこれといって日常が変わるわけでもなく、ルカたちはいつもそうするように、宮殿本部のカフェテリアに集まった。
そうして目の当たりにしたのが、この状況である。
他の皆より早く席についていたキリハは、終始こんな感じだ。
かろうじて挨拶には応えてくれたが、その他は何を言っても上の空で会話にもならない。
三人が困り果てていると、ふとカフェテリアの自動ドアが開く音がした。
「あ、お師匠さん。」
カレンの呟きに、ルカとサーシャもそちらへと視線を向ける。
小走りで彼らへ近寄ったディアラントはキリハを見ると、途端に眉間にしわを寄せた。
「あー…」
重たげな吐息が、その口から零れる。
次に彼はルカたち三人をぐるりと見渡し、とある一点に狙いを定めた。
「あの……カレンちゃん。ちょっと、時間もらえる?」
「え、あたし?」
呼ばれたカレンは驚いて、自分の顔を指差した。
それにディアラントが何度も頷くと、カレンは怪訝そうに首を捻りながらも、ディアラントの傍へと歩みを進めた。
「ごめん、ルカ君。ちょっとだけ、カレンちゃんを貸してね。」
「なんでオレに、いちいち断りを入れる必要がある。」
すかさず突っ込むルカ。
「いやホント、ちょっとだけだから。」
「だからなんで……」
「別に、やましいこととか何もないから。」
「だから!!」
目くじらを立てるルカに何度も謝りながら、ディアラントはカレンを連れてカフェテリアを出ていってしまった。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる