竜焔の騎士

時雨青葉

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第6章 共に、同じ世界を―――

ここがスタート

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 ひとまずレティシアたちは、再度宮殿の地下フィルターへと戻ることになった。


 いつまでもここで保護することはできないが、ドラゴンの処遇に対する議論が平行線を辿っている現状を見ると、暫定的にここで面倒を見るしかないということだ。


 ドラゴンの処分を主張していたジョーが、譲歩の姿勢を見せた後だ。
 この件に関しては、おそらくこれ以上のいさかいは起こるまい。


 ジョー自身が譲歩したことを全く引きずっていないようだったので、ミゲルを始めとするドラゴン殲滅部隊の面々も、それぞれ気まずい空気から解放されて穏やかな様子だった。


 とはいえ、事態はまだ収束する気配を見せただけにすぎない。
 決めなければいけないことも、やらなきゃいけないことも山のようにあるだろう。


 それについては文句もないし、誰かに押しつけて楽をしようとも思っていない。


 ジョーも言っていたが、今回はあくまでも譲歩。
 ジョーだって納得はしていないだろうし、自分だってまだまだ現状に納得はしていない。


 ここがスタート地点だ。
 道は決して平坦ではないだろう。


 でも、きっと歩いていける。
 目の前に広がるのは、果ての見えない闇ではないはずだから。


 人間とドラゴンが手を取り合う未来を、なんて絵空事は言わないけれど。
 いつか、互いを否定せずに認められるようになったら。


 そんな風に思うのだ。

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