竜焔の騎士

時雨青葉

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第6章 焔乱舞

神託

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 ―――――――覚悟は、あるか?




 ………?


 どこからともなく、その声は響いてきた。
 とてもおごそかに響く低い声は威圧感に満ちていて、本能的な畏怖の念を感じさせる。


 ―――覚悟は、あるか?


 声は再び訊いてくる。


 ―――背負う覚悟が。守る覚悟が。全てを受け入れて裁きを下す覚悟が、お前にあるか?


 そんなことを、今さら問うのか?
 問われれば問われるほど、不快感と共に反感じみた感情が湧き上がってくる。


 戦いを背負う覚悟なら、とっくのとうに決めた。
 自分が守りたい人を守るためにここまで来たのだ。
 裁きとはなんのことか知らないが、ドラゴンたちを楽にすることが裁きを下すことに繋がるのなら、それも背負ってやろうではないか。


 本当は、誰のことも見捨てたくはないけども……


 そう思うと、自分の中が熱いもので満たされるような気がした。




 ―――では、手を伸ばせ。




 声が重々しく告げてくる。
 それはまるで、神聖な場で受ける託宣のよう。




 ―――覚悟があるのならその手を伸ばし、剣を抜くがいい。我の意志の、代弁者たる資格を与えよう。




 ―――っ


 全身が熱い。
 熱くてたまらない。


 熱に浮かされた思考はまともに回らず、全部が真っ赤に染められていく。
 それでも、するべきことは分かっていた。


 覚悟があるのなら?


 上等だ。
 受けて立ってやる。


 感覚だけで手を伸ばし、ぐっと手を握る。




 そこには、確かな感触があって―――



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