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起章
006:『赤外線』
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ようやく6話にたどり着いたよ。
前回は、なんだったんだ本当に。
まぁ、気を取り直してやりますか。
「いったいお前は何なんだよ。俺達が反逆者だと?! 全く理解が出来ない!!」
「貴方がたに理解を求めはいたしません。貴方がたは反逆者。それ以上私が貴方がたを攻撃する理由が有りましょうか?」
「灯夜!! きっとこの人は太陽の使いで私達を捕まえに来たんだよ」
「ご名答。月讀ツクヨミ殿、流石ですね。見たところ思兼神オモイカネ殿はまだ、神としても色としても不十分の様子ですが、手加減はいたしませんよ」
「俺は灯夜だ!! そんな変な名前なんかじゃない!!」「私だって美月って名前があるよ!!」
「そんな事はどうでもいい話です。それではご覚悟を...」
ビュンッ!!
「灯夜危ない!!」
美月のそんな声と共に、美月からブォン!! と激しい風が吹いた。
「ありがとう美月!! 今のは...」
「分からない、でも何か小さい槍の様な物が飛んできて、私の風の能力で吹き飛ばした」
「槍か...でも今の槍、美月の風でバラバラに飛び散ったよな? 水みたいに」
「そうだね...でも相手の姿が見えないから全ては防ぎきれないけれど」
「とりあえずどこかに隠れよう!!」「そうだね!!」
俺達は全力で走り、公園内に生い茂る木の陰に隠れた。
すると、遠くの方から声がする。
「何処に隠れても無駄ですよ。私には貴方がたが何処に隠れても見えるのですから」
ビュンッ!!
さっきの小さい槍の様な物が、俺達の目の前の木に刺さり消えた。
蒸発という表現がこの場合、正しいのかは分からないが、蒸発するように消えていった。
「どうやら見えるというのはハッタリじゃ無い様だな」「灯夜、これは何だろう?」
「さっきの槍の跡だろ!!」
「それはそうなんだけど...ちょっと見てみてよ!!」
これは...槍のささった木には傷跡の周りだけが妙に濡れ、熱を帯びていた。
「とりあえず場所を変えよう」「うん!!」
「だから何度も言っているであろう!! 逃げても無駄だと」
「確かめたい事があるんだ。美月、風を起こしてくれ!! めいいっぱいだ!!」
「わっ、分かった!!」
ブォーーーン!!
「やっぱりな...美月ここで待ってろ!!」
「ちょっ!! 灯夜!!」
「フンッ 風ごときで私は...なっ、なに!? 砂だと!! 風に砂を混ぜるとは...目が...クソ...何処に行った?!」
俺は、美月の起した風に砂を混ぜ飛ばした。
目くらましの為ではなく、居場所を知る為に。
タッタッッタッタッ ブンッ!!
全力で天鈿女アメノウズメの元まで走り、思いっきり殴った。
「何っ!? 私の居場所が分かっただと?! だがお前の攻撃など、私には当たりはしない...」
何だこいつ、凄く熱い...確かに殴ったはずなのに当たらない...
それに殴ったはずの手が燃えそうに熱い...本当に熱い...
燃え上がりそうな右手を庇かばいつつ、美月の所へ戻る。
「灯夜?! 何したの?!」「説明は後だ!! とりあえずこっちに来い!!」
俺は美月の手を引き走った。
物理攻撃は当たらないか...
姿が見えない、触れることが出来ない、物を透かして見る、そして熱い...色...そうか!! あいつはきっと...
「美月飛び込め!!」「ええー!! だってここ泥だらけだよ!!」
「泥だから良いんだ!! いいから飛び込め!!」「もー!! 分かったよー」
ドッボーン!!
公園の外れにある沼。どうして此処に沼があるのか分からないが、ずっと前からこの場所に沼があった事を俺は知っていた。
「もー汚いー」「我慢しろ!! しかっり体に泥を塗るんだ!! 俺の考えが正しければ、これであいつは俺達を簡単には見つけられない」
「灯夜どういう事なの?」「いいからこのままじっとしていろ!!」
天鈿女アメノウズメという女は木の陰に隠れる俺達を見つけられずにいる。
「何処に隠れやがった...」
「やっぱりな」「灯夜そろそろ教えてよ」
「そうだな。きっとあいつの色は赤外線なんだ」「何それ?! 反則だよー」
「反則なんかじゃあ無い。赤外線も【色】なんだ。ただ、俺達の目は色として認識出来ないだけで、あいつはきっと、赤外線サーモグラフィの原理で俺達の熱を視覚化し、隠れている俺達でも簡単に見つけたって事だ。ならば、と泥を塗って赤外線の反射を悪くしたという事だよ。まぁ、これは一時的なもので、いずれバレてしまうけどな。美月に風を吹かせたのは、風に砂を乗せてあいつに当て、目くらましの意味もあるけれど、あいつにぶつかった砂だけは跳ね返る。跳ね返った砂を探して、あいつの位置を割り出した。でも、こんな方法は効率が悪すぎる」
「じゃあどうやって戦えばいいの」「一つだけ思いついたんだ」
「何を思いついたの灯夜?」「とりあえず試してみたい。美月教えてくれ」
「何を知りたいの?」「体を黒くする方法と【封印方法】を」
「いいけど...でも相手が見えないんじゃ封印出来ないよ」
「見えるんだよ。もしもあいつが赤外線だったとしたら、これでね」
「これって【デジタルカメラ】じゃん。そんなんでどうやって相手を見るの?」
「カシャッ!! これを使えばきっとあいつを見る事が出来る」
「なんだかよく分からないけれど、灯夜を信じるよ」
「ありがとう。じゃあ教えてくれ」
「まず、体を黒くする方法は自分が黒いと思い込む事だよ」
「おいおい、思い込むって...簡単そうで難しいぞ、それ」
「しょうがないよ。これは灯夜に限った事じゃ無いよ。【色】はそうやって自分の色に体を変化させてるんだよ。きっとあの人もね」
「分かった!! とにかくやってみるよ。今やったらあいつにバレてしまうからぶっつけ本番になってしまうのだが...じゃあ【封印】はどうやってやればいいんだ」
「灯夜の場合の封印は、相手を【黒くする】そして胸に掌を開いた状態で触れ、鍵を締める様に右にひねる。そしたら石が出てきて灯夜の中に封印されるはずだよ」
「分かった!! 美月ありがとう!! 行ってくる!!」
「灯夜っ!!」
「何だ?」
「気をつけてね」
「大丈夫だ...ちょっと行ってくる。必ず封印して帰ってくるよ」
「うん...待ってる...」
俺はあいつの元へ向かう。
気づかれない様にそっと...どうやって赤外線であるあいつを視覚化するのかと言うと、先にも言った通りデジタルカメラを使う。
俺はいつも外に出る時は、デジタルカメラをポケットに忍ばせているのである。何故かと言うと、それはまた後で話すとしよう。
まぁ、それはいいと、デジタルカメラに向かって赤外線の出るテレビのリモコンなんかのボタンを押してみれば、なんと赤外線が見えるのだ。
デジタルカメラとはいっても、赤外線が見えないカメラも有るらしいが、よく家で遊んでいたので、このカメラは見えるタイプだという事はすでに調査済だ。
では、あいつを探すとしよう。
...ビンゴ!! 見つけた。そっと背後に近寄る。今度は俺の体を黒く変える。『俺は黒い俺は黒い俺は黒い』...びっくりした!! 本当に真黒になってしまったのだ。
そしてこいつを抱きしめるっ!!
「あっつ゛い゛ーーー!!」
予想はしていたが本当に熱い!! 体が焼けそうだ。
「なんだと?! 私を見つけっ!! くっそっ!! こいつ...め...」
成功だ。天鈿女アメノウズメを黒くした俺の体に取り込んだのだ。
よし、後は封印を...って本当に熱い...早くしないと...
黒いTシャツを着て日差しを浴び、暑いと感じたことがあると思う。
それは、黒という色は他の色よりも赤外線を吸収するからである。
赤外線は物の温度を一番よく上げる光。
よって、黒化し天鈿女アメノウズメを取り込んだ俺は、体が熱くなってしまったというわけだ。
後は封印だ。
俺は自分の胸に手を当て、美月に言われた通りに手を回し、封印に成功した。
作戦はうまくいったのだった。
天鈿女アメノウズメから出た【意思の石】を俺の中に封印し、天鈿女アメノウズメは俺の中からこぼれ落ちる様に、膝から地面に座り込んでしまった。
石を触ることで俺と美月は、天鈿女アメノウズメをカメラ越しではなく、肉眼で捕捉ほそくする事が出来る様になった。
まぁこの後、後の清春きよはる 景けいとそれなりに長い話をするのだが、それが良かったのか悪かったのか、景は肉体的、精神的共に救われたと、俺を神の様に崇め奉る様になってしまったのであった。
その話はまたの機会に取っておくとしよう。
前回は、なんだったんだ本当に。
まぁ、気を取り直してやりますか。
「いったいお前は何なんだよ。俺達が反逆者だと?! 全く理解が出来ない!!」
「貴方がたに理解を求めはいたしません。貴方がたは反逆者。それ以上私が貴方がたを攻撃する理由が有りましょうか?」
「灯夜!! きっとこの人は太陽の使いで私達を捕まえに来たんだよ」
「ご名答。月讀ツクヨミ殿、流石ですね。見たところ思兼神オモイカネ殿はまだ、神としても色としても不十分の様子ですが、手加減はいたしませんよ」
「俺は灯夜だ!! そんな変な名前なんかじゃない!!」「私だって美月って名前があるよ!!」
「そんな事はどうでもいい話です。それではご覚悟を...」
ビュンッ!!
「灯夜危ない!!」
美月のそんな声と共に、美月からブォン!! と激しい風が吹いた。
「ありがとう美月!! 今のは...」
「分からない、でも何か小さい槍の様な物が飛んできて、私の風の能力で吹き飛ばした」
「槍か...でも今の槍、美月の風でバラバラに飛び散ったよな? 水みたいに」
「そうだね...でも相手の姿が見えないから全ては防ぎきれないけれど」
「とりあえずどこかに隠れよう!!」「そうだね!!」
俺達は全力で走り、公園内に生い茂る木の陰に隠れた。
すると、遠くの方から声がする。
「何処に隠れても無駄ですよ。私には貴方がたが何処に隠れても見えるのですから」
ビュンッ!!
さっきの小さい槍の様な物が、俺達の目の前の木に刺さり消えた。
蒸発という表現がこの場合、正しいのかは分からないが、蒸発するように消えていった。
「どうやら見えるというのはハッタリじゃ無い様だな」「灯夜、これは何だろう?」
「さっきの槍の跡だろ!!」
「それはそうなんだけど...ちょっと見てみてよ!!」
これは...槍のささった木には傷跡の周りだけが妙に濡れ、熱を帯びていた。
「とりあえず場所を変えよう」「うん!!」
「だから何度も言っているであろう!! 逃げても無駄だと」
「確かめたい事があるんだ。美月、風を起こしてくれ!! めいいっぱいだ!!」
「わっ、分かった!!」
ブォーーーン!!
「やっぱりな...美月ここで待ってろ!!」
「ちょっ!! 灯夜!!」
「フンッ 風ごときで私は...なっ、なに!? 砂だと!! 風に砂を混ぜるとは...目が...クソ...何処に行った?!」
俺は、美月の起した風に砂を混ぜ飛ばした。
目くらましの為ではなく、居場所を知る為に。
タッタッッタッタッ ブンッ!!
全力で天鈿女アメノウズメの元まで走り、思いっきり殴った。
「何っ!? 私の居場所が分かっただと?! だがお前の攻撃など、私には当たりはしない...」
何だこいつ、凄く熱い...確かに殴ったはずなのに当たらない...
それに殴ったはずの手が燃えそうに熱い...本当に熱い...
燃え上がりそうな右手を庇かばいつつ、美月の所へ戻る。
「灯夜?! 何したの?!」「説明は後だ!! とりあえずこっちに来い!!」
俺は美月の手を引き走った。
物理攻撃は当たらないか...
姿が見えない、触れることが出来ない、物を透かして見る、そして熱い...色...そうか!! あいつはきっと...
「美月飛び込め!!」「ええー!! だってここ泥だらけだよ!!」
「泥だから良いんだ!! いいから飛び込め!!」「もー!! 分かったよー」
ドッボーン!!
公園の外れにある沼。どうして此処に沼があるのか分からないが、ずっと前からこの場所に沼があった事を俺は知っていた。
「もー汚いー」「我慢しろ!! しかっり体に泥を塗るんだ!! 俺の考えが正しければ、これであいつは俺達を簡単には見つけられない」
「灯夜どういう事なの?」「いいからこのままじっとしていろ!!」
天鈿女アメノウズメという女は木の陰に隠れる俺達を見つけられずにいる。
「何処に隠れやがった...」
「やっぱりな」「灯夜そろそろ教えてよ」
「そうだな。きっとあいつの色は赤外線なんだ」「何それ?! 反則だよー」
「反則なんかじゃあ無い。赤外線も【色】なんだ。ただ、俺達の目は色として認識出来ないだけで、あいつはきっと、赤外線サーモグラフィの原理で俺達の熱を視覚化し、隠れている俺達でも簡単に見つけたって事だ。ならば、と泥を塗って赤外線の反射を悪くしたという事だよ。まぁ、これは一時的なもので、いずれバレてしまうけどな。美月に風を吹かせたのは、風に砂を乗せてあいつに当て、目くらましの意味もあるけれど、あいつにぶつかった砂だけは跳ね返る。跳ね返った砂を探して、あいつの位置を割り出した。でも、こんな方法は効率が悪すぎる」
「じゃあどうやって戦えばいいの」「一つだけ思いついたんだ」
「何を思いついたの灯夜?」「とりあえず試してみたい。美月教えてくれ」
「何を知りたいの?」「体を黒くする方法と【封印方法】を」
「いいけど...でも相手が見えないんじゃ封印出来ないよ」
「見えるんだよ。もしもあいつが赤外線だったとしたら、これでね」
「これって【デジタルカメラ】じゃん。そんなんでどうやって相手を見るの?」
「カシャッ!! これを使えばきっとあいつを見る事が出来る」
「なんだかよく分からないけれど、灯夜を信じるよ」
「ありがとう。じゃあ教えてくれ」
「まず、体を黒くする方法は自分が黒いと思い込む事だよ」
「おいおい、思い込むって...簡単そうで難しいぞ、それ」
「しょうがないよ。これは灯夜に限った事じゃ無いよ。【色】はそうやって自分の色に体を変化させてるんだよ。きっとあの人もね」
「分かった!! とにかくやってみるよ。今やったらあいつにバレてしまうからぶっつけ本番になってしまうのだが...じゃあ【封印】はどうやってやればいいんだ」
「灯夜の場合の封印は、相手を【黒くする】そして胸に掌を開いた状態で触れ、鍵を締める様に右にひねる。そしたら石が出てきて灯夜の中に封印されるはずだよ」
「分かった!! 美月ありがとう!! 行ってくる!!」
「灯夜っ!!」
「何だ?」
「気をつけてね」
「大丈夫だ...ちょっと行ってくる。必ず封印して帰ってくるよ」
「うん...待ってる...」
俺はあいつの元へ向かう。
気づかれない様にそっと...どうやって赤外線であるあいつを視覚化するのかと言うと、先にも言った通りデジタルカメラを使う。
俺はいつも外に出る時は、デジタルカメラをポケットに忍ばせているのである。何故かと言うと、それはまた後で話すとしよう。
まぁ、それはいいと、デジタルカメラに向かって赤外線の出るテレビのリモコンなんかのボタンを押してみれば、なんと赤外線が見えるのだ。
デジタルカメラとはいっても、赤外線が見えないカメラも有るらしいが、よく家で遊んでいたので、このカメラは見えるタイプだという事はすでに調査済だ。
では、あいつを探すとしよう。
...ビンゴ!! 見つけた。そっと背後に近寄る。今度は俺の体を黒く変える。『俺は黒い俺は黒い俺は黒い』...びっくりした!! 本当に真黒になってしまったのだ。
そしてこいつを抱きしめるっ!!
「あっつ゛い゛ーーー!!」
予想はしていたが本当に熱い!! 体が焼けそうだ。
「なんだと?! 私を見つけっ!! くっそっ!! こいつ...め...」
成功だ。天鈿女アメノウズメを黒くした俺の体に取り込んだのだ。
よし、後は封印を...って本当に熱い...早くしないと...
黒いTシャツを着て日差しを浴び、暑いと感じたことがあると思う。
それは、黒という色は他の色よりも赤外線を吸収するからである。
赤外線は物の温度を一番よく上げる光。
よって、黒化し天鈿女アメノウズメを取り込んだ俺は、体が熱くなってしまったというわけだ。
後は封印だ。
俺は自分の胸に手を当て、美月に言われた通りに手を回し、封印に成功した。
作戦はうまくいったのだった。
天鈿女アメノウズメから出た【意思の石】を俺の中に封印し、天鈿女アメノウズメは俺の中からこぼれ落ちる様に、膝から地面に座り込んでしまった。
石を触ることで俺と美月は、天鈿女アメノウズメをカメラ越しではなく、肉眼で捕捉ほそくする事が出来る様になった。
まぁこの後、後の清春きよはる 景けいとそれなりに長い話をするのだが、それが良かったのか悪かったのか、景は肉体的、精神的共に救われたと、俺を神の様に崇め奉る様になってしまったのであった。
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