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1. 授業第一回目
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4月。扉の前に立ち、ふうーと一つ深呼吸した。今年もまたこの日がやってきた。よし、行くか。
ガラガラと扉を引く。鏡張りの教室というか稽古場。約30人程の目が一斉に私を見つめ、立ち上がる。
「おはようございます。」一斉に30人の挨拶。
「おはようございます」私も挨拶してみんなを見渡す。初日のせいか緊張が伝わってくる。それにしても・・
声が小さいなー。
ここは山崎プロダクション付属養成所。いわゆる声優の養成所である。。この山崎プロダクションは有名な声優も所属しており、大手事務所だ。一階に事務所、二階と三階に養成所として稽古場がある。養成所の期間は2年。一年目は基礎を教え、二年目はもっと本格的に演技のレッスンに入る。そして二年の養成期間が終わるとプロダクションに入るための審査があり、合格すると晴れて事務所所属になれるのだ。
もちろん、事務所所属になったからといって声優の仕事がくるとは限らない。昨今の声優ブームのせいか志望者は増加の一途をたどっている。声優としてやっていくには本当に厳しい世界なのである。
あっ、申し遅れましたが私の名前は『飯塚ユキ』。山崎プロダクションの所属声優で、ここの養成所の講師も主にやっている。主に私は1年目の基礎コースの担当で水曜クラスと日曜クラスを教えている。
ここでは主に日曜クラスのことを書いていく。
そして今日は待望のレッスン1日目の日だ。初日なのでここの決まり事や事務的なことの説明。この業界では挨拶は朝でも夜でも「おはようございます」終わった時は「お疲れ様でした」とか。
初日なので今日は自己紹介でほぼほぼ終わる。
さて、この自己紹介の順番だが私はこれに限ってはこだわりがある。
「じゃあ、誕生日順でいこうか。4月からっていうのはありきたりだから、日にち順でいこうか。まず一日生まれの人」
しーん。誰も手を上げない。
「じゃあ、二日生まれの人」
「はい」 女の子がこわばった表情で立ち上がる。名札には「長山」と書いてある。
長山さんかー。普通はアイウエオ順だが、この順番は『飯塚』が苗字の私にとってはいいことない。阿部さん、安藤さんなどア行がいない場合ほぼ私が一番だった。なんせ、井上さんより順番が前なのだ。だから、最初の自己紹介だけはこういう形をとっている。
「長山佳代です。大学2年生です。趣味はピアノです。よろしくお願いします」
まさか一番とは思わなかっただろうな。少しうつむき加減で緊張した感じで話している。
パチパチと拍手。
「次、三日の人」こうしてどんどん進んでいく。
「山田武です。北海道出身です。ジブリの映画に出るのが夢です」
「武藤静香です。小田原から通ってます。歌って踊れる声優になりたいです。」
「小田原!遠いね」
「はい、2時間かけてきています」
声優になろうと思った理由は、人それぞれ。ちなみにこんな人もいた。
「佐藤実です。レシート集めが趣味です。」
「それ、どんな趣味なの?」
「はい、とにかくレシートを取っておいてたまにこんな買い物したなーと見返すのが好きなんです」
本当にいろんな人がいる。余談だが私は趣味で人間観察ですというヤツは何か嫌いだ。(100%私の偏見)
こうして、あっという間に終了時間だ。
「ではこれ家での練習プリント。各自毎日練習するように。」
早口言葉や活舌のプリントを渡す。
「ではまた来週」
授業一回目は終了した。
ガラガラと扉を引く。鏡張りの教室というか稽古場。約30人程の目が一斉に私を見つめ、立ち上がる。
「おはようございます。」一斉に30人の挨拶。
「おはようございます」私も挨拶してみんなを見渡す。初日のせいか緊張が伝わってくる。それにしても・・
声が小さいなー。
ここは山崎プロダクション付属養成所。いわゆる声優の養成所である。。この山崎プロダクションは有名な声優も所属しており、大手事務所だ。一階に事務所、二階と三階に養成所として稽古場がある。養成所の期間は2年。一年目は基礎を教え、二年目はもっと本格的に演技のレッスンに入る。そして二年の養成期間が終わるとプロダクションに入るための審査があり、合格すると晴れて事務所所属になれるのだ。
もちろん、事務所所属になったからといって声優の仕事がくるとは限らない。昨今の声優ブームのせいか志望者は増加の一途をたどっている。声優としてやっていくには本当に厳しい世界なのである。
あっ、申し遅れましたが私の名前は『飯塚ユキ』。山崎プロダクションの所属声優で、ここの養成所の講師も主にやっている。主に私は1年目の基礎コースの担当で水曜クラスと日曜クラスを教えている。
ここでは主に日曜クラスのことを書いていく。
そして今日は待望のレッスン1日目の日だ。初日なのでここの決まり事や事務的なことの説明。この業界では挨拶は朝でも夜でも「おはようございます」終わった時は「お疲れ様でした」とか。
初日なので今日は自己紹介でほぼほぼ終わる。
さて、この自己紹介の順番だが私はこれに限ってはこだわりがある。
「じゃあ、誕生日順でいこうか。4月からっていうのはありきたりだから、日にち順でいこうか。まず一日生まれの人」
しーん。誰も手を上げない。
「じゃあ、二日生まれの人」
「はい」 女の子がこわばった表情で立ち上がる。名札には「長山」と書いてある。
長山さんかー。普通はアイウエオ順だが、この順番は『飯塚』が苗字の私にとってはいいことない。阿部さん、安藤さんなどア行がいない場合ほぼ私が一番だった。なんせ、井上さんより順番が前なのだ。だから、最初の自己紹介だけはこういう形をとっている。
「長山佳代です。大学2年生です。趣味はピアノです。よろしくお願いします」
まさか一番とは思わなかっただろうな。少しうつむき加減で緊張した感じで話している。
パチパチと拍手。
「次、三日の人」こうしてどんどん進んでいく。
「山田武です。北海道出身です。ジブリの映画に出るのが夢です」
「武藤静香です。小田原から通ってます。歌って踊れる声優になりたいです。」
「小田原!遠いね」
「はい、2時間かけてきています」
声優になろうと思った理由は、人それぞれ。ちなみにこんな人もいた。
「佐藤実です。レシート集めが趣味です。」
「それ、どんな趣味なの?」
「はい、とにかくレシートを取っておいてたまにこんな買い物したなーと見返すのが好きなんです」
本当にいろんな人がいる。余談だが私は趣味で人間観察ですというヤツは何か嫌いだ。(100%私の偏見)
こうして、あっという間に終了時間だ。
「ではこれ家での練習プリント。各自毎日練習するように。」
早口言葉や活舌のプリントを渡す。
「ではまた来週」
授業一回目は終了した。
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