ほっこり、じんわりマラソン紀行

ミントブルー

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リベンジ!42.195キロ

10、千葉県 館山若潮マラソン

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 うわっ、最悪・・・。カーテンをそっと開けた時、思わず口に出してしまいそうになった。
 ここはバスの中。東京駅からバスに乗り、朝が早いこともあって仮眠を取っていた。到着のアナウンスで目が覚め
カーテンを開けると、しとしと降る雨にテンションがダダ下がりだ。
 板橋シティマラソンは35キロで動けなくなり、リタイアして大惨敗に終わった。あれから2年の月日が経った。
 板橋の借りは板橋で返す<`ヘ´>
 そう心に決めた私はマラソン教室に積極的に参加した。中でも坂道をひたすら駆け上がる練習は昭和のスポコンそのもの(+o+)。 更にハーフマラソン武者修行といって地方遠征のなるべく坂道が多い大会に参加して鍛えた。
 しかしフルは板橋シティ以来、1回も走ってない。そこで3月の板橋の大会に出る前に練習として、1月に開催される千葉県の『館山若潮マラソン』にエントリーしたのだ。
 そこにこの雨・・・。一向に止む気配がない。マラソン用のレインコートをかぶり、うだうだしながら(´Д`)スタート地点に歩いた。
 ふうー、スタートに立った時、私はようやく覚悟を決めた。とにかく最初から最後まで楽しもう。
 号砲が鳴った。2年ぶりの42・195キロの道を踏み出した。
 〈5キロ〉
 ここら辺は海を見ながらのコースだ。晴れていれば富士山の絶景ポイントなのになー。分厚い雲に覆われて見えないのが残念。
 〈10キロ〉
 この辺りから街中のコースになる。館山市は台風で大きな被害があったところだ。この時はまだ屋根がビニールシートで覆われている家がたくさんあった。瓦礫の山と化した建物の前も走った。
 〈15キロ、20キロ〉
 ハーフマラソン武者修行のおかげで、いいペースでそして、30キロまで走れた。
 〈32キロ〉
 前をみたら坂道がありみんなゾロゾロ歩いている。私も体力を温存してここは歩くことにした。そしてついに前方に35キロの札が見えた。35キロは前回リタイアしたところだ。私は走り抜けた。後7キロ。
 しかし、ここからが本当の戦いだ。ももが段々上がらなくなってきて、足が重くなってきた。頼む持ちこたえてくれー。   
  (/_;)
 〈36キロ〉、37キロ〉
 もう、ちょっと走っては歩くという繰り返しだ。まだまだ果てしなく遠い。心が折れそうになった時支えてくれたのが、給水所の食べ物だ。中でも一番パワーチャージ出来たのがミニ羊羹だ。こんなに羊羹が元気になれるなんて思わなかった。しかも袋をボランティアの方がはさみで一つ一つ食べやすいように切ってくれた。
 だんだんここいらから走るより歩く方が多くなってきた。
 〈38キロ、39キロ〉
 ちょっと、また走ってみよう。あれ?まだ足が動く、まだ走れるじゃん。よし、再び走り出した。
 〈ついに40キロ〉
 ついに来たー!と言いたいところだが、実はこの40キロが1番精神的にも肉体的にもつらかったとこだった、
 理由は42・195キロという距離だ。40キロでいいじゃん!何で2キロまだあるの?と心の中で叫んでいた。
 てか、もっ、もう本当に足が限界だよー。
 〈41キロ〉
 もう歩く。一歩、一歩、まだ着かない。そして・・・やっと、やっと42キロ。
 最後の力を振り絞ってゴールの小学校の校庭に入り

 〈42.195キロ〉
 ゴール!テープを切った。終わったー!!!この時私の頭の中で映画のロッキーが感極まった時の曲が流れた(何か分かりにくくてすみません)
 しかし感動よりも、とにかく芝生にへたり込みしばらく動けなかった。その後、ようやく立ち上がりバスタオルや地元の名物といわれるクリームパンをもらいに行った。このクリームパン、めちゃくちゃ美味しかった(*^。^*)
 ふと見ると豚汁が振舞われている。美味しいー!冷えた体に五臓六腑にしみわたり本当に美味しかった。
 振り返ると、35キロからとてつもなく長い長い道だった。それを完走できたのは雨の中準備をしてくれた大会関係者の方、ボランティア、そして台風の爪痕が残る中での地元の方の応援だった。
 館山市の皆様、ほっこり、じんわりをありがとうございます。
 
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