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2、島根県 萩・石見空港マラソン

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 あの日私は空港の滑走路のど真ん中にいた。  
  
 次はどれにしようかなー。私はマラソン大会を検索していた。
 『荻・石見空港マラソン』?そこには驚くべきことが書かれていた。
 「日本で唯一、現役空港の滑走路を走れるマラソン大会です!」
 えーっ? 空港の滑走路走れるの?!めっちゃ、おもしろそうやん!(^^)!
 写真を見ると本当に滑走路を走ってる。
 という訳で、次はここに決定!。

 そして、マラソン大会前日。
 場所は初の島根県益田市。東京から直通で飛行機に乗り降り立った。ここを明日走るのか。
 一旦、体育館で受付をすませその後前夜祭に参加するためにホテルに直行!
 わーい、バイキングのごちそういっぱい(*'ω'*)
 ローストビーフ美味しそう~。私は元々人見知りだったが不思議と前夜祭では自分から話しかけられた。
 そして、ゲストランナーの松野明美さんと撮った写真は宝物だ。
 ただ、一つだけひっかかったのは挨拶で
 「最後の坂道頑張ってください」と言った人がいた。坂道きついのか。
 さーて、ランナー同士で健闘をたたえ、前夜祭も終わり早々ホテルに帰り早めに寝た。
 
 いよいよ当日。あいにくの雨。空港の近くの公園で小雨がぱらつく中アップを始める。いよいよだ。そうこうしているうちに、いよいよスタートの時間がきた。滑走路にペットボトルとか落ちてると大変なので手荷物検査は凄く厳しい。もちろん、滑走路の中は給水所なし。ワクワクしながら滑走路に入った。
 わあー広いなあ。凄い!ほんとにここを走るんだ。もう、テンションあげあげ(∩´∀`)∩
 パーン!ピストルは響いた。それー!
 走る、走る、走る。だだっ広い滑走路を激走した。気持ちいいー!滑走路走ってんだ!
 何か凄い解放感! しかし、この後想像を超えた試練がくるとはまだ知る由もない・・・。
 私は10キロの部で参加したのだが、滑走路を走るのは数キロで後は外に出て街中を走る。民家の前を走り頑張れーの声援を受け走る。雨はぱらついていたが、いいペースでゴールできそうだ。8キロ走った。よし、このままゴールまで突っ走る!と思った時・・・。目の前に坂道が出現した。昨日の大会関係者の言葉がよみがえる。
        「最後の坂道、頑張ってください」
 よし、やったる。しかし………
 ひいひい、マジで無理なんだけど。いつまで続くの、この坂道(;O;) 走っても、走っても、ずーっと坂道。ひたすら坂道。残りの2キロは坂道という超過酷。もう歩きたい・・・。しかしここで歩くと最終目標のフルマラソンなんて夢のまた夢。ちまちま小走りで走る(早歩きの方が速いかも)
 坂道を走るときは目線は少し遠くを見るといいと教えてもらったが、そんなことはすっかり忘れただただ下を向いて走っていた。ひーこらひーこら、もうダメ(ノД`)・゜・。
 その時、急に騒がしくなった。一体何だ?
 今までうつむいていたが、パッと顔を上げた時、目に飛び込んできたものは歩道を埋め尽くしたたくさんの人、人、人だった。そして、たくさんの「かんばれー」の声援だった。雨の中、こんなにもたくさんの人が応援してくれたのだ。その後も両側の大声援はとぎれることなく続いた。やばっ、泣きそう。じーん。
 声援に力をもらい一歩ずつ走る。そして、ついにゴール! しばらくは立てなかった。しかし、今回は時間も気にしないといけない。この後、数時間後には午後の飛行機で帰らないといけないのだ。足をひきずりながら空港まで到着。少し時間があるので、空港のレストランでローストビーフを食べる。(肉ばっか)
 今回は1泊2日だったのでマラソンだけで終わってしまった。もう飛行機が待機しており、ここがさっきまで走ってた滑走路だとは思えなかった。いよいよ搭乗時刻だ。飛行機に乗る直前の通路でぱっと外をみたら空港からたくさんの人が手を振っているのが見えた。またまたじーん。
 いよいよ離陸だ。窓から数時間前に走っていた滑走路を眺め、島根県とお別れか、さらば。などと考えていた。筋肉通が残る中、飛行機は飛び立った。
 滑走路を激走するという貴重な体験だった。島根県益田市と航空関係者の皆様、ほっこり、じんわりをありがとうございます。
  
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