ほっこり、じんわりマラソン紀行

ミントブルー

文字の大きさ
上 下
1 / 12

2、島根県 萩・石見空港マラソン

しおりを挟む
 あの日私は空港の滑走路のど真ん中にいた。  
  
 次はどれにしようかなー。私はマラソン大会を検索していた。
 『荻・石見空港マラソン』?そこには驚くべきことが書かれていた。
 「日本で唯一、現役空港の滑走路を走れるマラソン大会です!」
 えーっ? 空港の滑走路走れるの?!めっちゃ、おもしろそうやん!(^^)!
 写真を見ると本当に滑走路を走ってる。
 という訳で、次はここに決定!。

 そして、マラソン大会前日。
 場所は初の島根県益田市。東京から直通で飛行機に乗り降り立った。ここを明日走るのか。
 一旦、体育館で受付をすませその後前夜祭に参加するためにホテルに直行!
 わーい、バイキングのごちそういっぱい(*'ω'*)
 ローストビーフ美味しそう~。私は元々人見知りだったが不思議と前夜祭では自分から話しかけられた。
 そして、ゲストランナーの松野明美さんと撮った写真は宝物だ。
 ただ、一つだけひっかかったのは挨拶で
 「最後の坂道頑張ってください」と言った人がいた。坂道きついのか。
 さーて、ランナー同士で健闘をたたえ、前夜祭も終わり早々ホテルに帰り早めに寝た。
 
 いよいよ当日。あいにくの雨。空港の近くの公園で小雨がぱらつく中アップを始める。いよいよだ。そうこうしているうちに、いよいよスタートの時間がきた。滑走路にペットボトルとか落ちてると大変なので手荷物検査は凄く厳しい。もちろん、滑走路の中は給水所なし。ワクワクしながら滑走路に入った。
 わあー広いなあ。凄い!ほんとにここを走るんだ。もう、テンションあげあげ(∩´∀`)∩
 パーン!ピストルは響いた。それー!
 走る、走る、走る。だだっ広い滑走路を激走した。気持ちいいー!滑走路走ってんだ!
 何か凄い解放感! しかし、この後想像を超えた試練がくるとはまだ知る由もない・・・。
 私は10キロの部で参加したのだが、滑走路を走るのは数キロで後は外に出て街中を走る。民家の前を走り頑張れーの声援を受け走る。雨はぱらついていたが、いいペースでゴールできそうだ。8キロ走った。よし、このままゴールまで突っ走る!と思った時・・・。目の前に坂道が出現した。昨日の大会関係者の言葉がよみがえる。
        「最後の坂道、頑張ってください」
 よし、やったる。しかし………
 ひいひい、マジで無理なんだけど。いつまで続くの、この坂道(;O;) 走っても、走っても、ずーっと坂道。ひたすら坂道。残りの2キロは坂道という超過酷。もう歩きたい・・・。しかしここで歩くと最終目標のフルマラソンなんて夢のまた夢。ちまちま小走りで走る(早歩きの方が速いかも)
 坂道を走るときは目線は少し遠くを見るといいと教えてもらったが、そんなことはすっかり忘れただただ下を向いて走っていた。ひーこらひーこら、もうダメ(ノД`)・゜・。
 その時、急に騒がしくなった。一体何だ?
 今までうつむいていたが、パッと顔を上げた時、目に飛び込んできたものは歩道を埋め尽くしたたくさんの人、人、人だった。そして、たくさんの「かんばれー」の声援だった。雨の中、こんなにもたくさんの人が応援してくれたのだ。その後も両側の大声援はとぎれることなく続いた。やばっ、泣きそう。じーん。
 声援に力をもらい一歩ずつ走る。そして、ついにゴール! しばらくは立てなかった。しかし、今回は時間も気にしないといけない。この後、数時間後には午後の飛行機で帰らないといけないのだ。足をひきずりながら空港まで到着。少し時間があるので、空港のレストランでローストビーフを食べる。(肉ばっか)
 今回は1泊2日だったのでマラソンだけで終わってしまった。もう飛行機が待機しており、ここがさっきまで走ってた滑走路だとは思えなかった。いよいよ搭乗時刻だ。飛行機に乗る直前の通路でぱっと外をみたら空港からたくさんの人が手を振っているのが見えた。またまたじーん。
 いよいよ離陸だ。窓から数時間前に走っていた滑走路を眺め、島根県とお別れか、さらば。などと考えていた。筋肉通が残る中、飛行機は飛び立った。
 滑走路を激走するという貴重な体験だった。島根県益田市と航空関係者の皆様、ほっこり、じんわりをありがとうございます。
  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【画像あり】八重山諸島の犬猫の話

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
八重山の島々の動物たちの話。 主に石垣島での出来事を書いています。 各話読み切りです。 2020年に、人生初のミルクボランティアをしました。 扉画像は、筆者が育て上げた乳飲み子です。 石垣島には、年間100頭前後の猫が棄てられ続ける緑地公園がある。 八重山保健所には、首輪がついているのに飼い主が名乗り出ない犬たちが収容される。 筆者が関わった保護猫や地域猫、保健所の犬猫のエピソードを綴ります。 ※第7回ほっこり・じんわり大賞にエントリーしました。

萌える推しカプ小説のための二次創作の書き方

水の菱
エッセイ・ノンフィクション
二次創作小説に特化した「推しカプの書き方のコツ」をまとめたエッセイ。おおむね二次BLを想定してますが、男女でも百合でも当てはまる内容になっています。初心者~中級者向け。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

うつ病になったことがありました。

エッセイ・ノンフィクション
学生時代 私はうつ病になったことがありました。

カレイなる日々

隠井迅
エッセイ・ノンフィクション
2022年の夏から巡り始めた書き手のカレー題材のエッセイです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【写真】気まぐれに風景・生き物撮影

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
風景や鳥・虫・植物たちを気まぐれに撮影して載せていこうと思います。過去の写真も時々載せる予定です。どのエピソードからでも、お好きに見ていってください。

処理中です...