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第6話 浄火
しおりを挟む第6話
浄火
父が倒れた。
それを知ったのは、朝崩れ落ちた母を見たときだった。
僕はベットで苦しみながら眠っている父を見て悔しくて悔しくてたまらなかった。
「あなたのせいじゃないわ」
と母に励まされた。
しかし、そうじゃない村で唯一『ゴースト』がやったと知っている
守れなかった思いは他の誰よりもあった。
僕はどうやって『ゴースト』を倒せばいいんだ。わからなくなっていた。
ふと、思い出した。本を小馬鹿にしたとき、本がまるで答えたかのように反応した。
半信半疑だったが僕は本にこう言った。
「『ゴースト』倒し方を教えてくれ」
ガタガタ
本が震え反応した。中を確認すると、この一文が光っていた。
『赤い光を灯していけ』
僕は少し怒って
「そんな事はわかってる!その『赤い光』って何なんだ!」
また、ガタガタと揺れて地図が現れた。
ここは森の奥?
僕は満を持して行ってみることにした。
そこにあったのは街灯のようなものであった。
「ここに灯すのか」
そして地図によると儀式の間を中心に村を囲む形で円状に建っているようだ。
周りを見ても、スイッチや仕掛けは見当たらない。
「どうやって灯すんだ」
「うーん、そうだ!」
「これを知っている人が村にいるはずだ」
僕は村に戻って、村長に聞きに行くことにした。
「村の周りにある塔って何ですか?」
「塔?ああ」
「あれはその昔村を守っていた結界の一部らしい」
「あれって、本当は火が灯るんじゃ」
「そう言う言い伝えもあるね」
「他には?」
「ん?なんで知りたいのかわからないけど」
「まぁいいか」
「村の伝承ではこう語り継がれている」
「『魔に対して灯火掲げよ護る者は救われん』」
「あれの名前は、浄化の火を灯す浄火の結界」
「その浄火の源は樹の側にあるという」
「ありがとうございます」
「お、おい」
早速、樹の側である儀式の間に行った。
「うーん、それらしいものはない」
ガタガタガタ
また、本が反応した。そこには変な丸い紋様に赤い点が標してある。
「うーん」
本を下に広げながら読んでいたとき、床の紋様に気付いた。
「これだ」
赤い点のところに黒くてまるい石が埋め込まれている。
「これは何だ」
手で触って見ると黒いと思っていた石は汚れているだけのようだった
僕は周りの水を使って、石の表面を拭いた。
「火の魔鉱石…」
出てきたのは、見たこともないくらい大きい火の魔鉱石だった。
「こんなの…起動させたら村が吹き飛ぶんじゃ…」
「でも、もうこれしか方法がない」
僕は意を決して手を魔鉱石に掲げて起動させた。
魔鉱石の起動には予備魔力が必要だ。そもそも魔鉱石自体に魔力が多分に含まれているが最初に自分の魔力を使い中の魔力を活性化させる必要がある。
僕はこのとき知らなかったが、魔鉱石の起動は魔鉱石の大きさ分の魔力が必要であり、元々多かった僕でさえも空になるほどだった。
僕は魔力が空になりながらも起動させることに成功した。
魔鉱石から赤い光が放たれ浄火の結界の数分、光が儀式の間から地面を通して駆け巡った。
眠った人たちはこのとき起きたようだ。
僕は倒れそうになりながらも家に帰った。
そこには嬉しそうな母と妹が父を囲んでいた。僕は父に掛けより、抱きついた。
そこで眠ってしまったようだ。
翌朝
いつものベットで起きた
少し早い時間だったが、僕にとって好都合だった。
「お前、自我があるだろ」
ずっと疑問に思っていた。前世の導かれたような感覚、欲しいと分かっているようなタイミングで反応し、口調もまるで話しているようだった。
「答えないつもりか」
そのとき
「ふふっ」
ガタガタガタガタガタガタ
お読みいただきありがとうございます
第6話、これで当初予定していた話数の半分です。主人公が調査しているあいだ母と妹が父を看病していました。村長は今回すごく話してくれましたが、元々話好きなのと自分を落ち着かせるために話してくれました。村長にとって唯一、話を聞いてくれる子供だったようです。儀式の間に埋め込まれた魔鉱石は赤く透明で下まで続いていた事から大きいと判断したようです。実際はウォーターボールくらいの大きさです。
気に入っていただけましたら「お気に入り」にしていただけると幸いです
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