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到着!☆
しおりを挟む都市国家メソポに到着すると、綺麗な石畳に道路が変わった。
「正直、驚いた。争いが絶えない場所と聞いていたからもっと荒れているかと思ったが、技術的にもナニワと引けを取らないな」
「ええ、凄腕の技術者の種族であるドワーフがいるからね。ドワーフは機能性重視だけど、それに機能美を持たせ、装飾を施すエルフ。そして土木を請け負う強靭な肉体を持つ獣人族。うまく【共存共栄】してますね」
くはははっ!
レグルス達の会話を聞いた街人が笑い出した。
「あっ、すまない。面白い事を言うと思ってね。突然、笑ってしまい申し訳なかった」
よく見ると狼の獣人のようだった。
「最近までは、種族や部族同士で争っていたからな。この都市を見て共存共栄が出来ているなんて言うヤツがいるなんて思っていなかったのさ」
「こちらこそすまない。初めてきたので失言だったか?」
狼の獣人は頭を掻きながら首を振った。
「いや、ただ嬉しかったんだよ。いつの間にか、周りがギスギスし始めて、いがみ合う様になってな。だから多種族が力を集めて発展させたこの街を褒めてくれてありがとよっ」
男はお詫びに何か寄こしてきた。
「隣のお嬢さんと一緒に食べな。ここ名物だ。うまいぞ」
そう言うと男は去っていった。
「獣人は耳が良いらしいな。会話には注意するとしよう」
「はい。そうですね」
レグルス達は門を潜り、街の宿泊施設に向かった。今回は仲間の勧誘及び、種族的な友好関係を結ぶ事が目的である。レグルス達は約50名ほどでここにきたのだった。
「宿屋じゃなく立派な屋敷なんだな」
宿泊施設に向かうと想像していた場所と違い、周囲を見渡した。
「そりゃそうですよ。今までより少ないとはいえ50人の人間を止められる宿屋なんてなかなかないですよ。これでも、末端の兵士は一部屋で雑魚寝ですからね」
レグルスは女神の勇者と言う事もあり個室が与えられている。ミリアの様な女性達もベットはあるが、一部屋で3人ほどで寝泊まりする。レグルスは少し申し訳ないと思いながら中に入った。
そして荷を降ろして少し休んでいる仲間達を集めて言った。
「さて、今日は少し休んだら情報収集と一緒に街を見て回ろうと思う。他の者も、今日は問題を起こさない程度に、街へ出掛けることを許可する」
ざわざわ
ざわざわ
堅苦しいジャンヌと違い、レグルスは仲間達に多少は遊んで良いと言ったのだった。
こうして亜人の暮らす街へやってきたレグルスは様々な問題に直面していく事になるのだった。
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