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これからについて
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あれから怒涛の1年だった。女神様の神器を探す事もできず、西へ東へと往復の繰り返しだった。
ジャンヌは聖王国を、副政官と言う新しい役職を作り、聖王の権限の殆どを譲る事にした。
新たな聖王の補佐として抜擢されたのは、齢70歳になる聖職者で、過去に聖王に地方に飛ばされた枢機卿の1人だった者である。
人格者で、留守にしがちなジャンヌに代わり、ミサなど開き、女神様に祈る場を定期的に開いてくれる敬虔なる信者で、信用できる人物だった。
ジャンヌは西側の統治を任せて、大陸中央のナニワを拠点に次なる行動を模索していた。
「みんなと集まるのも久しぶりだな。今日は重要な会議の為に集まって貰った。息災で何よりだ」
この1年で、各主要メンバーは別々に行動する事が多かった。
レグルスやバルドは聖王国とナニワの街道を警備隊巡回をし、傭兵団は東の国境警備を強化。南の連合軍国の情報を調べる為に密偵を放ったりと大忙しだった。
治療師のミリアなども病人などの治療に駆り出されて忙しかった。他のメンバーも似たような状況で、なかなかみんなで集まる機会も無かったのである。
「さて、この1年で東の大国インペリアルが動かなかったのが気になるが、詳しい状況の説明を頼む」
はーい!と、リタが手を上げた。
「今後の1番の手強い相手がインペリアル国になるのは間違いないです。レグルス君の為に説明します。インペリアル国は、遥か昔にこの大陸を統一した事のある大帝国でした。しかし、統治に不満が出てきたのか、各地で内乱が起こり、元の統治国を残して衰退しました。しかし、衰退したと言っても、大陸で1番人口が多く、動員できる兵力は最大10万を超えます」
驚くレグルスにリタは続けた。
「本来であればもっとはやく、我々の進軍に対して行動を起こしてくるはずでした。しかしインペリアル国には現在、内乱状態であり、我々に対して軍を派遣する事が出来なかったようです」
「それについてはこちらも、情報を掴んだ。国王が病死して、子供達が次の国王になる為に権力争いが起こったのだな?」
「はい。病死した国王の正妃から生まれた第一王女。二人の側室からそれぞれ王子が1人ずつ生まれ、誰が王位に着くのか内乱が起こったのです」
この3つの陣容が微妙な力、バランスだったのだ。
国王は死んでも王妃は健在だ。王女とはいえ、正妃から生まれ、長女である。次代の女王になってもおかしくはない。過去に女王が治めた前例もあるのだ。
しかし、昔から男性が王位を着く傾向にあるのも事実である。年も1歳しか違わないのであれば、王女を他国へ嫁がせ、王子が国王になっても問題はないのである。
それぞれの後ろ盾の力も拮抗しており、各貴族達もどこに、付くのか迫られたのだった。
ジャンヌは聖王国を、副政官と言う新しい役職を作り、聖王の権限の殆どを譲る事にした。
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ジャンヌは西側の統治を任せて、大陸中央のナニワを拠点に次なる行動を模索していた。
「みんなと集まるのも久しぶりだな。今日は重要な会議の為に集まって貰った。息災で何よりだ」
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レグルスやバルドは聖王国とナニワの街道を警備隊巡回をし、傭兵団は東の国境警備を強化。南の連合軍国の情報を調べる為に密偵を放ったりと大忙しだった。
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「さて、この1年で東の大国インペリアルが動かなかったのが気になるが、詳しい状況の説明を頼む」
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驚くレグルスにリタは続けた。
「本来であればもっとはやく、我々の進軍に対して行動を起こしてくるはずでした。しかしインペリアル国には現在、内乱状態であり、我々に対して軍を派遣する事が出来なかったようです」
「それについてはこちらも、情報を掴んだ。国王が病死して、子供達が次の国王になる為に権力争いが起こったのだな?」
「はい。病死した国王の正妃から生まれた第一王女。二人の側室からそれぞれ王子が1人ずつ生まれ、誰が王位に着くのか内乱が起こったのです」
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国王は死んでも王妃は健在だ。王女とはいえ、正妃から生まれ、長女である。次代の女王になってもおかしくはない。過去に女王が治めた前例もあるのだ。
しかし、昔から男性が王位を着く傾向にあるのも事実である。年も1歳しか違わないのであれば、王女を他国へ嫁がせ、王子が国王になっても問題はないのである。
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