☆レグルス戦記☆

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中央のナニワまでは、見渡す限りの平野部が拡がっている。障害物が少なく、見通しが良いため、奇襲には不向きである。

そこに、ナニワを目指す一団があった。
砦攻略を失敗したブレイク傭兵団とリーガル傭兵団、ヨド傭兵団の残党達であった。

重い足取りで歩く傭兵達はナニワの街への入国を断られた。

「オイッ!どういう事だ!!!」

リードは衛兵に掴みそうになった所で、予想していたブレークが止めた。

「…………そちらの言い分はわかった。ただし、怪我人が多くいる。街へは入らないので、薬と治療員の手配をしてくれ。金は払う」

流石に怪我人を放置しては悪評が立つと思い、責任者は許可し、郊外でテントを張っている傭兵団に治療員を派遣すると約束した。

「クソッ!どういう事だっ!」


野営地に戻り、張られたテントでリードとブレークは話し合った。

町の入口での一件で憤るリードにブレークが言った。

「予想していた事だ。宣戦布告までして、その責任を俺達に擦り付ける代わりに、多額の前金を貰っただろう?それが負けて戻ってきたんだ。繋がりを認める訳にはいかないから、俺達を切り捨てるつもりだろう」

「それがわかっていてどうして落ち着いていられる!生活するだけでも食料などの物資が必要だろう。街へ入れないとなると死活問題だぞ!」

リードの考えはもっともであった。
外での野宿はストレスが溜まる。
『色々』と問題が出てくるものなのだ。


「それは大丈夫だ。食料は末端の者を使い調達させる。まだ遠征様の食料も多くあるしな。それに、そんなに時間は掛からない」

「どういう事だ?いつまで───はっ!?」

頭の切れるリードも思いたった。

「……………神炎騎士団が攻めてくるという事か」
「ああ、俺ならそうする。時間が経てば各地の傭兵団が集まってくるからな」


リードもこの後の展開を想像して指示を出した。

「野営地を東へ移動させる」
「なるほど。俺達は勝手に他国へ攻め入った裏切り者だ。ナニワの防衛には手を貸さない。見捨てたのは向こう側だからな。東側なら巻き込まれないな」

「ああ、他の傭兵団が迎撃にでて、勝てば何もしない。だが──」

「負ける事があれば加勢して、恩を売ると言う訳か。流石だな」


お互いに最後まで言わなくても話が通じるので気楽に話せた。

「さて、これからどう動くか観ものだな」
「ああ、そうだな」

二人の団長は頷くと行動を開始しようとしたが……………

「それは困ります。高みの見物ではなく、この傭兵団には働いて貰わないとね?」


「「誰だ!!!」」

二人の団長はその場を飛び去ると武器を抜いた。

ザザザッ

「これは失礼しました。『私』に敵意はありません。お二人に提案を持ってきました」

黒いローブを纏った声からして『女』が言ってきた。






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