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タネ明かし
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敵が撤退した事でホッとしたレグルス達だった。
しかし、この援軍は元々は神炎騎士団の半数であった。ブレークが砦から敵が出たのではないか?それは半分合っていたのだ。
昨日、『日が落ちて』から砦に入る前に、軍を半分に分けていたのだ。少なくなった人数は、荷馬車に、組み立てた鎧を並べて運び、人数が多くいる様に見せかけたのだった。日が落ちた薄暗い視界では遠目からではそこまでわからなかったのだ。
そして、敵もスパイを送り込んでおり、王都から約2万が出発したという情報があれば、引っかかるのも無理なかった。
ブレークが最後のおかしいと言ったのは、内部にいる敵兵の数が少なく、砦内部の戦場の声が少なく小さく感じたからであった。
そして、近くで布陣し爆発音が聴こえたら突撃せよと命令を受けていたのだ。爆発音に気を取られて後方から近付いてくる部隊に気が付かなかったと言う訳である。
「ふぅ~、ジャンヌ団長!余り無理しないで下さい!自殺願望でもあるんですか!?」
「い、いやすまん!お前が居れば十分に対処できると思ってな」
珍しくレグルスに怒られてしどろもどろになるジャンヌだった。
「止めなくていいのか?」
興味無さそうにバルドが尋ねた。
「いいんですよ。心配して言っているんですから。偶には良い薬です!」
治癒師のミリアも当然だとばかりに言った。
「それよりも、バルドさんもちゃんと治療しましょうね。ジャンヌ団長と同じく、多くの民を導く指導者なんですからね!」
「あ、ああ………すまない」
質率剛健のバルドもミリアには型無しであった。
その夜、砦の責任者のサイファーが負傷兵の数を割り出し、残存兵力をジャンヌに伝えた。
「敵が撤退したと言っても、まだ近くに布陣して向こうも怪我人の治療をしている事だろう。このままナニワまで撤退するのか、このまま後続の援軍を待つのかで対応が変わる」
「すぐに動ける人数は?」
「ふふふ、ジャンヌ団長のおかげで、約2万ちょっとの人数が動けます」
城塞戦で敵が1万以上の負傷兵を出した事踏まえても快挙であった。
「一晩様子を見て決めるとしよう。リタ、お前は斥候としてナニワに向かい、敵の増援部隊を調べてくれ。無理はしなくていい。何かあれば、いつもの鳥を飛ばせ!」
「はい!了解しました!!!」
こうして、戦いの疲れを癒やすレグルス達だった。
一方───
「クソッ!絶対にヤツら許さね!」
リードはグールの亡骸を前にして憤っていた。
ライバルではあったが、付き合いが長く、また今回の様に共闘した事が多かった戦友である。
「落ち着け。気持ちはわかる。こういう時こそ、冷静になれ。それがお前の取り柄だろう?」
ブレークの言葉に反論し、叫びたかったが、気持ちを落ち着かせた。
す~は~
す~は~
「…………わかってる」
「よし、怪我人の手当が終わったらナニワに戻るぞ」
!?
「ちょっと待て!後続を待って再戦しないのか!?」
ブレークはリードに今後の方針を話した。
しかし、この援軍は元々は神炎騎士団の半数であった。ブレークが砦から敵が出たのではないか?それは半分合っていたのだ。
昨日、『日が落ちて』から砦に入る前に、軍を半分に分けていたのだ。少なくなった人数は、荷馬車に、組み立てた鎧を並べて運び、人数が多くいる様に見せかけたのだった。日が落ちた薄暗い視界では遠目からではそこまでわからなかったのだ。
そして、敵もスパイを送り込んでおり、王都から約2万が出発したという情報があれば、引っかかるのも無理なかった。
ブレークが最後のおかしいと言ったのは、内部にいる敵兵の数が少なく、砦内部の戦場の声が少なく小さく感じたからであった。
そして、近くで布陣し爆発音が聴こえたら突撃せよと命令を受けていたのだ。爆発音に気を取られて後方から近付いてくる部隊に気が付かなかったと言う訳である。
「ふぅ~、ジャンヌ団長!余り無理しないで下さい!自殺願望でもあるんですか!?」
「い、いやすまん!お前が居れば十分に対処できると思ってな」
珍しくレグルスに怒られてしどろもどろになるジャンヌだった。
「止めなくていいのか?」
興味無さそうにバルドが尋ねた。
「いいんですよ。心配して言っているんですから。偶には良い薬です!」
治癒師のミリアも当然だとばかりに言った。
「それよりも、バルドさんもちゃんと治療しましょうね。ジャンヌ団長と同じく、多くの民を導く指導者なんですからね!」
「あ、ああ………すまない」
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その夜、砦の責任者のサイファーが負傷兵の数を割り出し、残存兵力をジャンヌに伝えた。
「敵が撤退したと言っても、まだ近くに布陣して向こうも怪我人の治療をしている事だろう。このままナニワまで撤退するのか、このまま後続の援軍を待つのかで対応が変わる」
「すぐに動ける人数は?」
「ふふふ、ジャンヌ団長のおかげで、約2万ちょっとの人数が動けます」
城塞戦で敵が1万以上の負傷兵を出した事踏まえても快挙であった。
「一晩様子を見て決めるとしよう。リタ、お前は斥候としてナニワに向かい、敵の増援部隊を調べてくれ。無理はしなくていい。何かあれば、いつもの鳥を飛ばせ!」
「はい!了解しました!!!」
こうして、戦いの疲れを癒やすレグルス達だった。
一方───
「クソッ!絶対にヤツら許さね!」
リードはグールの亡骸を前にして憤っていた。
ライバルではあったが、付き合いが長く、また今回の様に共闘した事が多かった戦友である。
「落ち着け。気持ちはわかる。こういう時こそ、冷静になれ。それがお前の取り柄だろう?」
ブレークの言葉に反論し、叫びたかったが、気持ちを落ち着かせた。
す~は~
す~は~
「…………わかってる」
「よし、怪我人の手当が終わったらナニワに戻るぞ」
!?
「ちょっと待て!後続を待って再戦しないのか!?」
ブレークはリードに今後の方針を話した。
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