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新たな強敵
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援軍が駆け付けたと言う事はナニワの傭兵団にも伝わっており、砦を攻めるのを止めていた。
「まさかブレイク傭兵団のブレーク殿が先に来るとは思っていませんでしたな!」
ヨド傭兵団の団長グールが作戦会議の大きなテントで握手を交わした。
「ああ、西側の情勢は気になっていた。しかも、今回は西の盟主国の聖王が交代するほどの戦だったにも関わらず、俺達傭兵団に殆ど声が掛からなかった。その理由が分かるか?」
ブレークの言葉の意味が分からずグールは言い淀んだ。そこに、リーガル傭兵団の団長リードが口を挟んだ。
「それは、勝利した神炎騎士団が強かったという事でしょう。反乱軍との力が拮抗していれば、討伐に時間が掛かり、お呼びが掛かったでしょうが、そうする暇もなく電撃的に侵攻して、聖王軍を討ったと思われます」
「うむ、リード殿の言う通りだ。敵は精強と認識し、策を練らねば無用な損害を受ける事になるだろう。明日の砦攻めは我々ブレイク傭兵団も参加しよう!」
確かに、攻撃力のあるブレイク傭兵団が参加してくれれば心強いが、手柄を奪われる事に繋がる。グールは慌てて言った。
「ちょっと待って欲しい!確かにブレイク傭兵団が参加してくれるのは有り難い。しかし、ナニワの上層部から、先陣の約束を取り付けたのはこのヨド傭兵団だ!まずは我々が砦を攻め落とす!」
グールの言葉にブレークは言った。
「すでに先陣の役目は果たしただろう。向こうにも援軍が到着した以上、1つの傭兵団だけで砦を落とすのは無理だ。ここは協力して掛かるべきだと思うが?」
うぐっと正論で言い返せなくなり拳を握った。
「何もお前の手柄を横取りしようと何て思ってねぇよ。ただ、見栄を張って大事な仲間を死なせるほど愚かなヤツじゃねぇだろうが?ここは協力して砦を落とすぞ」
結局、グールが折れて共同で布陣を引くことで話が着いた。
「はぁ~だからブレークと組みたくねぇんだよ」
他のメンバーが居なくなった作戦会議室のテントで深いため息を付いた。
「クククッ、どうしてだい?」
一度出ていったリードが戻ってきていた。
「別に………ただ、ブレーク殿を前にすると格の違いを見せつけられるつぅか、自分が小さく見えるんだよ」
横を向きながらリードに言った。
リードとグールは腐れ縁である。
傭兵団を結成した時期も似ており、口では憎まれ口を叩いても、本心ではないとわかるほどには、信頼していた。
「ふん、らしくねぇじゃないか?お前もオレも必死でここまで傭兵団を大きくしてきただろうが!お前を信じて着いてくる仲間の為にも、情けない顔をするな!砦攻めが不安なら俺が知恵を貸してやる!思いっきりやれよ!」
バンッと背中を叩いた。
「痛ぇてな!……………ありがとよ」
迷いが無くなったグールはより強力な戦士となった。元々、一戦士としても名の通った人物であった。
野心が消え、純粋に砦を攻め落とすと言う事に集中したグールは厄介な相手となった。
「まさかブレイク傭兵団のブレーク殿が先に来るとは思っていませんでしたな!」
ヨド傭兵団の団長グールが作戦会議の大きなテントで握手を交わした。
「ああ、西側の情勢は気になっていた。しかも、今回は西の盟主国の聖王が交代するほどの戦だったにも関わらず、俺達傭兵団に殆ど声が掛からなかった。その理由が分かるか?」
ブレークの言葉の意味が分からずグールは言い淀んだ。そこに、リーガル傭兵団の団長リードが口を挟んだ。
「それは、勝利した神炎騎士団が強かったという事でしょう。反乱軍との力が拮抗していれば、討伐に時間が掛かり、お呼びが掛かったでしょうが、そうする暇もなく電撃的に侵攻して、聖王軍を討ったと思われます」
「うむ、リード殿の言う通りだ。敵は精強と認識し、策を練らねば無用な損害を受ける事になるだろう。明日の砦攻めは我々ブレイク傭兵団も参加しよう!」
確かに、攻撃力のあるブレイク傭兵団が参加してくれれば心強いが、手柄を奪われる事に繋がる。グールは慌てて言った。
「ちょっと待って欲しい!確かにブレイク傭兵団が参加してくれるのは有り難い。しかし、ナニワの上層部から、先陣の約束を取り付けたのはこのヨド傭兵団だ!まずは我々が砦を攻め落とす!」
グールの言葉にブレークは言った。
「すでに先陣の役目は果たしただろう。向こうにも援軍が到着した以上、1つの傭兵団だけで砦を落とすのは無理だ。ここは協力して掛かるべきだと思うが?」
うぐっと正論で言い返せなくなり拳を握った。
「何もお前の手柄を横取りしようと何て思ってねぇよ。ただ、見栄を張って大事な仲間を死なせるほど愚かなヤツじゃねぇだろうが?ここは協力して砦を落とすぞ」
結局、グールが折れて共同で布陣を引くことで話が着いた。
「はぁ~だからブレークと組みたくねぇんだよ」
他のメンバーが居なくなった作戦会議室のテントで深いため息を付いた。
「クククッ、どうしてだい?」
一度出ていったリードが戻ってきていた。
「別に………ただ、ブレーク殿を前にすると格の違いを見せつけられるつぅか、自分が小さく見えるんだよ」
横を向きながらリードに言った。
リードとグールは腐れ縁である。
傭兵団を結成した時期も似ており、口では憎まれ口を叩いても、本心ではないとわかるほどには、信頼していた。
「ふん、らしくねぇじゃないか?お前もオレも必死でここまで傭兵団を大きくしてきただろうが!お前を信じて着いてくる仲間の為にも、情けない顔をするな!砦攻めが不安なら俺が知恵を貸してやる!思いっきりやれよ!」
バンッと背中を叩いた。
「痛ぇてな!……………ありがとよ」
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