☆レグルス戦記☆

naturalsoft

文字の大きさ
上 下
43 / 130

激闘の末に

しおりを挟む
片膝を着いた女神像ではあったが、動けなくなった訳ではなく、引きずりながらも動いて、両手で叩いてきた。

「油断するなよ!」
「誰に言っている!」
「わかってます!」

ジャンヌの言葉に答えると、そのまま女神像に攻撃を仕掛ける。そこにガルム達が戻ってきた。

「いい感じになっているじゃねぇか!流石はバルド様だ!お前ら、行くぞっ!」

ガルムは丈夫な鉄の鎖を何処からか持ってきた。それを女神像に投げてあっという間に縛り付けた。

「流石だな。私も見惚れてしまったぞ…………」

余りの手際の良さにジャンヌも目を丸くしていた。

「動けなくなって攻撃のパターンが今まで以上に単調になっている。避けるのは容易いぞ」

頭脳派のバルドは冷静に分析し、手に持ったハンマーを打ち込んでいく。

「問題は装甲が厚く硬い事か。神剣を持つレグルスが羨ましいぜっ!」

女神像の巨大な拳が地面に炸裂するも、動じず腕にもハンマーを打ち付けていく。

「バルド殿!そのまま打ち込め!」

ジャンヌが駆け出した。
バルドが打ち込むと、その上から更にジャンヌがハンマーを打ち込んだ!これで2倍の衝撃波が女神像に伝わり、腕さえも破壊した。

この怪物との戦い見守る両軍は、それぞれ正反対の事を思った。

神炎騎士団の兵士達は、団長達が味方で良かった。この人達がいれば安心だ!と、声援を送る者まで現れた。

逆に聖王の軍は、すでに膝を着いて降伏する者が続出した。あんな化物と互角に戦い………いや、押している強者(ツワモノ)をみて心が折れたのだ。

「どうして、あんな化物と戦えんだよ………」

目の前でこの世の者とは思えない戦いを見て、自然と声がでた。

「皆の者!良く聞け!」

戦いながらジャンヌが叫んだ!

「私は聖王を討伐した後、新たな【聖王】になる!私が目指すのは、今の聖王の様に私利私欲を満たす為ではない!このように強大な敵と戦い、民を守る為に実権を握る!だから最後まで私の戦いを見守って欲しい!」

ジャンヌの言葉は兵達の心に響いた。

「黙れ!まだ負けてないわっ!サッサと女神像に潰されるがいい!」

喚き散らす聖王に一瞬目を向けるが、すぐに目の前の女神像に視線を戻した。

「まだ動くか…………何処かに弱点などないのか?」

片腕でも叩いてくる攻撃を避けるのに体力を使う。まともに受ければ一撃で死ぬような攻撃に神経さえ擦り減ってきた。

「ハァハァ、もう少しって所だな。人間の急所である頭を狙うぞ!」

バルドの提案に頷き続いた。女神像は全身を叩かれたり、斬られたりしてすでにボロボロであった。

二人の行動を見てレグルスも女神像を駆け登り、首を斬った。

ゴゴゴゴッと女神像の首が落ちた。

ドガンッーーーー!!!!!

レグルスの斬った女神像は活動を停止したのだった。

「これでトドメだ!!!!」

バルドとジャンヌは女神像の額にハンマーを二重で打ち込み、頭を破壊した。

レグルスとほぼ同時であった。
こうして二体の女神像はただの石に戻ったのだった。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

私はあなたたちがお求めの聖女ではないので

黒木メイ
恋愛
今までガルディーニ王国で偽の聖女だとして酷い扱われ方をしてきたマリー・フィッツェ。自分でも自分のことを偽の聖女だとずっと思い込んでいた。周りからそう言われ続けてきたから。けれど、この世界の唯一神であるニュクス様の力によって前世の記憶を取り戻した時、その洗脳は解けた。そして、真実を知る。真実を知ったマリーの決断とは……。 ※設定はふわふわ。 ※予告なく修正、加筆する場合があります。 ※小説家になろう様からの転載。他サイトにも随時転載中。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

夜会の夜の赤い夢

豆狸
恋愛
……どうして? どうしてフリオ様はそこまで私を疎んでいるの? バスキス伯爵家の財産以外、私にはなにひとつ価値がないというの? 涙を堪えて立ち去ろうとした私の体は、だれかにぶつかって止まった。そこには、燃える炎のような赤い髪の──

処理中です...