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聖王の誤算
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アストライア聖王国の王都に神罰騎士団生き残りが慌てて飛び込んできた。
聖王は玉座にて機嫌の良さそうに言った。
「では報告を聞こう」
白い長い顎ひげを触りながら伝令の報告を聞いた。
「申し上げます!神盾騎士団のバサラ団長は戦死!それにより投降した神盾騎士団は神炎騎士団に吸収されました!更に、後詰の神罰騎士団は全滅しました。伝令として生かされた我々約100名ほどのみとなっております!」
………………はっ?
片膝を付きながらガタガタと震えながら一気に報告する哀れな神罰騎士団の兵であった。
聖王は何を言われたのか理解出来なく呆けてしまった。
負ける要素など何も何も無かったはずだ。
神炎騎士団の傭兵の数を減らし、蛮族と戦わせた。もし勝ったとしても、かなりの戦力を減らしているはずだった。
そこへ、後方より神盾騎士団と神罰騎士団の2つの騎士団を向かわせて、後方の仲間の騎士団からの奇襲で一気に殲滅する作戦で失敗する要素など何も無かった。
聖王は我に返ると激高して、帰ってきた神罰騎士団を罵った。
「この無能共が!全員死刑じゃ!!!」
聖王は怒りに任せて言い放ったが、その場にいた側近の他の枢機卿が助言した。
「聖王様。お怒りはごもっともですが、今は、100人でも戦力が必要です。さらに、もっと詳しい情報も聞かねばなりませぬ。ここは堪えて、これからの事に対処しなければなりませぬぞ!」
まだまともな感性を持つザルバ枢機卿が進言した。
「これからの事じゃと?」
「はい。神炎騎士団はこれより王都へ進軍するでしょう。急ぎ、こちらも準備せねばなりませぬ!」
!?
怒りに我を忘れていた。
そうじゃ。早く対策を練らねばこの身が危ない。落ち着きを取り戻した聖王はすぐに指示をだした。
「神炎騎士団と神盾騎士団の2つの騎士団が集まったとすれば、数が、減ったとはいえ2万前後はおるじゃろう。ザルバ枢機卿よ。この王都にいる戦力は如何ほどじゃ?」
「はい。現在は王都の警備を司る『神民騎士団』が3千ほど。この王城を守る近衛、神王騎士団が5千といったところで、1万にも満たないです」
ザルバ枢機卿と聖王は落ち着いていた。
普通ならば数で劣るので慌てるはずだったが───
「ふむ。少々兵力が心許ないのじゃな。では、【聖戦】の発動を行う!ザルバ枢機卿よ!周辺の小国や独立都市に聖王の名で使者を送るのじゃ!」
ザルバ枢機卿も聖王がこう言うとわかっていたようで、丁寧に頭を下げて承りましたと承諾した。
西の盟主国とは、アストライア聖王国だけではない。厳密には複数の小国が集まっている多集団国家である。
宗教により、国家の垣根を越えて協力することで中央などの強豪国と対等に渡り合っていたのだ。
その周辺国家から援軍が集まれば、軽く5万以上の兵力が集まるのだ。
聖王は神炎騎士団が来るまでに援軍を呼び掛けるように指示したのだった。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
しかし、聖王の目論見は裏切られる事になる。
周辺国からの書状を見て聖王は叫ぶのだった。
「な、なんじゃとーーーーーーー!!!!!!!」
それは援軍を送らないと言う趣旨の手紙だった。
聖王は玉座にて機嫌の良さそうに言った。
「では報告を聞こう」
白い長い顎ひげを触りながら伝令の報告を聞いた。
「申し上げます!神盾騎士団のバサラ団長は戦死!それにより投降した神盾騎士団は神炎騎士団に吸収されました!更に、後詰の神罰騎士団は全滅しました。伝令として生かされた我々約100名ほどのみとなっております!」
………………はっ?
片膝を付きながらガタガタと震えながら一気に報告する哀れな神罰騎士団の兵であった。
聖王は何を言われたのか理解出来なく呆けてしまった。
負ける要素など何も何も無かったはずだ。
神炎騎士団の傭兵の数を減らし、蛮族と戦わせた。もし勝ったとしても、かなりの戦力を減らしているはずだった。
そこへ、後方より神盾騎士団と神罰騎士団の2つの騎士団を向かわせて、後方の仲間の騎士団からの奇襲で一気に殲滅する作戦で失敗する要素など何も無かった。
聖王は我に返ると激高して、帰ってきた神罰騎士団を罵った。
「この無能共が!全員死刑じゃ!!!」
聖王は怒りに任せて言い放ったが、その場にいた側近の他の枢機卿が助言した。
「聖王様。お怒りはごもっともですが、今は、100人でも戦力が必要です。さらに、もっと詳しい情報も聞かねばなりませぬ。ここは堪えて、これからの事に対処しなければなりませぬぞ!」
まだまともな感性を持つザルバ枢機卿が進言した。
「これからの事じゃと?」
「はい。神炎騎士団はこれより王都へ進軍するでしょう。急ぎ、こちらも準備せねばなりませぬ!」
!?
怒りに我を忘れていた。
そうじゃ。早く対策を練らねばこの身が危ない。落ち着きを取り戻した聖王はすぐに指示をだした。
「神炎騎士団と神盾騎士団の2つの騎士団が集まったとすれば、数が、減ったとはいえ2万前後はおるじゃろう。ザルバ枢機卿よ。この王都にいる戦力は如何ほどじゃ?」
「はい。現在は王都の警備を司る『神民騎士団』が3千ほど。この王城を守る近衛、神王騎士団が5千といったところで、1万にも満たないです」
ザルバ枢機卿と聖王は落ち着いていた。
普通ならば数で劣るので慌てるはずだったが───
「ふむ。少々兵力が心許ないのじゃな。では、【聖戦】の発動を行う!ザルバ枢機卿よ!周辺の小国や独立都市に聖王の名で使者を送るのじゃ!」
ザルバ枢機卿も聖王がこう言うとわかっていたようで、丁寧に頭を下げて承りましたと承諾した。
西の盟主国とは、アストライア聖王国だけではない。厳密には複数の小国が集まっている多集団国家である。
宗教により、国家の垣根を越えて協力することで中央などの強豪国と対等に渡り合っていたのだ。
その周辺国家から援軍が集まれば、軽く5万以上の兵力が集まるのだ。
聖王は神炎騎士団が来るまでに援軍を呼び掛けるように指示したのだった。
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しかし、聖王の目論見は裏切られる事になる。
周辺国からの書状を見て聖王は叫ぶのだった。
「な、なんじゃとーーーーーーー!!!!!!!」
それは援軍を送らないと言う趣旨の手紙だった。
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