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一息付いて
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戦場はすでに勝敗は決していた。
今は、狩る者と狩られる者に別れており、阿鼻叫喚が各地で響いた。
「た、助けてくれ!俺は命令されていただけなんだ!」
地面で土下座しながら命乞いする神罰騎士団に神炎騎士団は冷やかだった。
「お前はそうやって命乞いしてきた盗賊や暴動者達を見逃してきたのか?」
「そ、それは…………!?」
ここで嘘を言えば軍務規定により、敵を見逃した罪により死刑。神罰騎士団は、聖王直属の機関であり、貴族の子弟が多く在席している。
聖王の代行者という肩書きがある分、敵に厳しい。そして権力をかさに好き勝手にしてきた者達である。
敵に厳しい神罰騎士団に取って、嘘でも敵を見逃がしたと言えば、異端審問に掛けられ処罰されるのだ。
「それが答えだ!」
無慈悲に剣を振り下ろした。
こういった場面が各戦場で見られたが、全て剣を振り下ろしている。
盗賊は兎も角、無実の罪をでっち上げられて殺された者達が多くいるため、神炎騎士団は神罰騎士団を許せないのである。
中には神炎騎士団に好意的というだけで、焼き払われた村もあったからだ。
【聖王の代行者】
絶大な権力を持つ事の代償は、多くの者達からの怨みである。
今まで好き勝手に横暴を働いてきた神罰騎士団に掛ける情けはなかったのだ。
神罰騎士団は1万はいたが、わずか数時間でほぼ全滅させられたのだった。
・
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神罰騎士団を全滅させた神炎騎士団は百人ほどの生き残りを解放し、王都へ走らせた。
神炎騎士団の強さと恐怖を知らせるためにである。
その間、神炎騎士団は神盾騎士団と交渉に入った。
「副官のラージルです。我々は可能であれば神炎騎士団の傘下に入り、共に戦う事を誓います」
神盾騎士団の副官ラージルの言葉に驚き、目を開いた。
「どういうつもりだ?我々は貴殿の団長バサラを討ち取り、多くの仲間を倒した敵だぞ?」
「それはお互い様です。それに、貴方が言ったのではないですか。同じ国の騎士団同士が戦う事ほど無意味な事はないと」
「それはそうだが…………」
ジャンヌは言い淀んだ。
「それに、団長バサラ様の遺言ですので」
「どういう事だ?バサラ殿はあのまま……」
流石に大きな声で言うつもりは無かったが、胸を貫かれてそのまま亡くなったはずだ。
「戦闘が始まる前に、言われたのですよ。もし自分に万が一の事があれば、神炎騎士団を恨まず傘下に入り、協力するようにと。バサラ団長は薄々気付いていたのです。自分の死に場所がここだと。そして、神炎騎士団をより強くレベルアップさせる為の踏み台になると…………」
!?
「バカな!バサラ団長は初めから死を覚悟していたというのか………」
「付け足すなら、神炎騎士団は被害を最小限に留める戦いをするだろうから、こちらも無駄な犠牲者を出さないようにと、中央以外の兵は防備に徹しました。バサラ団長の言う通りでしたね」
レグルスもジャンヌも、その他の主要なメンバーは声が出なかった。
「…………本当に偉大な御方だったのですね。惜しい人物を亡くしました」
レグルスはそう言うのがやっとだった。
あの冷静沈着なジャンヌは静かに目を閉じて涙を流した。
「気にするな、とは言いません。ただ、バサラ団長は病に侵されており、そう長生き出来なかったのです」
「そうだったのですか!?」
「これは限られた者しか知らない事実です。バサラ団長には素晴らしい死に場所だったと思います。自分の後輩に後を託したのですから」
ラージルはジャンヌに頭を下げた。
「バサラ団長の遺体を綺麗なまま返して頂きありがとうございました!我々は神炎騎士団の傘下に入り剣を振るう事を誓います!」
こうして神盾騎士団を吸収し、より大きな戦力となって王都へ進軍するのだった。
今は、狩る者と狩られる者に別れており、阿鼻叫喚が各地で響いた。
「た、助けてくれ!俺は命令されていただけなんだ!」
地面で土下座しながら命乞いする神罰騎士団に神炎騎士団は冷やかだった。
「お前はそうやって命乞いしてきた盗賊や暴動者達を見逃してきたのか?」
「そ、それは…………!?」
ここで嘘を言えば軍務規定により、敵を見逃した罪により死刑。神罰騎士団は、聖王直属の機関であり、貴族の子弟が多く在席している。
聖王の代行者という肩書きがある分、敵に厳しい。そして権力をかさに好き勝手にしてきた者達である。
敵に厳しい神罰騎士団に取って、嘘でも敵を見逃がしたと言えば、異端審問に掛けられ処罰されるのだ。
「それが答えだ!」
無慈悲に剣を振り下ろした。
こういった場面が各戦場で見られたが、全て剣を振り下ろしている。
盗賊は兎も角、無実の罪をでっち上げられて殺された者達が多くいるため、神炎騎士団は神罰騎士団を許せないのである。
中には神炎騎士団に好意的というだけで、焼き払われた村もあったからだ。
【聖王の代行者】
絶大な権力を持つ事の代償は、多くの者達からの怨みである。
今まで好き勝手に横暴を働いてきた神罰騎士団に掛ける情けはなかったのだ。
神罰騎士団は1万はいたが、わずか数時間でほぼ全滅させられたのだった。
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神罰騎士団を全滅させた神炎騎士団は百人ほどの生き残りを解放し、王都へ走らせた。
神炎騎士団の強さと恐怖を知らせるためにである。
その間、神炎騎士団は神盾騎士団と交渉に入った。
「副官のラージルです。我々は可能であれば神炎騎士団の傘下に入り、共に戦う事を誓います」
神盾騎士団の副官ラージルの言葉に驚き、目を開いた。
「どういうつもりだ?我々は貴殿の団長バサラを討ち取り、多くの仲間を倒した敵だぞ?」
「それはお互い様です。それに、貴方が言ったのではないですか。同じ国の騎士団同士が戦う事ほど無意味な事はないと」
「それはそうだが…………」
ジャンヌは言い淀んだ。
「それに、団長バサラ様の遺言ですので」
「どういう事だ?バサラ殿はあのまま……」
流石に大きな声で言うつもりは無かったが、胸を貫かれてそのまま亡くなったはずだ。
「戦闘が始まる前に、言われたのですよ。もし自分に万が一の事があれば、神炎騎士団を恨まず傘下に入り、協力するようにと。バサラ団長は薄々気付いていたのです。自分の死に場所がここだと。そして、神炎騎士団をより強くレベルアップさせる為の踏み台になると…………」
!?
「バカな!バサラ団長は初めから死を覚悟していたというのか………」
「付け足すなら、神炎騎士団は被害を最小限に留める戦いをするだろうから、こちらも無駄な犠牲者を出さないようにと、中央以外の兵は防備に徹しました。バサラ団長の言う通りでしたね」
レグルスもジャンヌも、その他の主要なメンバーは声が出なかった。
「…………本当に偉大な御方だったのですね。惜しい人物を亡くしました」
レグルスはそう言うのがやっとだった。
あの冷静沈着なジャンヌは静かに目を閉じて涙を流した。
「気にするな、とは言いません。ただ、バサラ団長は病に侵されており、そう長生き出来なかったのです」
「そうだったのですか!?」
「これは限られた者しか知らない事実です。バサラ団長には素晴らしい死に場所だったと思います。自分の後輩に後を託したのですから」
ラージルはジャンヌに頭を下げた。
「バサラ団長の遺体を綺麗なまま返して頂きありがとうございました!我々は神炎騎士団の傘下に入り剣を振るう事を誓います!」
こうして神盾騎士団を吸収し、より大きな戦力となって王都へ進軍するのだった。
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