25 / 130
交渉
しおりを挟む
レグルスはバルドの休んでいるテントに足を運んだ。
「傷の具合はどうですか?」
「フッ、自分で付けた癖にどういうつもりできた?」
バルドはまだ寝たきりだったが、目に力が漲っており、もう命の心配は無さそうだった。
「貴方にお話があってきました。僕には記憶が無いのです。誰かに言われて行動してきましたが、貴方の話を聞きたいと思って」
「記憶ないだと?」
「はい。女神様は僕が召喚される時に邪神の邪魔が入り記憶を失ったと言われました」
「邪神か………」
バルドは目を閉じて呟いた。
「確かに邪神と呼ばれる者は存在する。しかし、今は大陸で起こっている争いについて知っているか?」
レグルスは首を振った。
「そうか。なら俺達の起こした戦争について話そう。事の発端は、少し話したが、力を付けてきた俺達に対して、鉱石の取引を止めてきた事に起因する。まだまだ大陸から食料を輸入しなければ国民全員を食わすことが出来ない状態だからな」
それは戦いの最中に聞いた。
問題はその後だ。
「聖王の要求により、俺達は断腸の思いで民を奴隷として送り出した。しかし、同胞がなぶり殺しに合っていると知って我慢出来なかった。だからこそ、俺達の同胞を仲介していた村や町を襲った」
!?
「奴隷を仲介!?」
「ああ、聖王も馬鹿ではない。直接王都へ運ばず、辺境の村などに手の者をやって、奴隷の欲しがっているクズ貴族や金持ちに運んでいたんだ。だから、俺達はその加担した村や町を襲った。俺達を奴隷として扱うのなら、自分達も奴隷となり、殺される覚悟をしろっと言う警告のつもりでな。その村のヤツらを虐殺した事について弁解はしない。ただの復讐だからな」
バルドは喋り疲れたのか、一息入れた。
「ああ、そうだ。神炎騎士団は関与していない。奴隷の売買は聖王の近衛兵か、直属の配下である枢機卿が関与していたな」
ああ、女神様の神託を聞けなかったクズ聖職者達か。
「俺の話はこれで終わりだ。まだ聞きたい事はあるか?」
「いえ、バルドさん今回はお願いがあってきたんです」
うん?
バルドは疑問に思いながら聞いた。
「一時的で良いので神炎騎士団に着いてきてくれませんか?」
!?
「俺を監禁して本国のヤツらが反乱を起こせないようにするつもりか?」
「いいえ、僕は記憶がない為に、何が真実で何が嘘なのかわかりません。だから、神炎騎士団以外の人物の相談相手が欲しいのです」
「レグルス、それは我々を信用出来ないと言うことか?」
一緒に来ていたジャンヌは不愉快そうな顔をした。
「ジャンヌ団長の事は信用しています。しかし、知らされていない情報があったのも事実です。今回の争いについては、事情を知っていれば、僕は蛮族の方に加勢していてもおかしくありませんでしたから」
レグルスの言葉にバルドは目を開いた。
「本気で言っているのか?」
「はい。どう考えても、1番悪いのは聖王ですから」
むう………と、腕を組んで唸った。
そこに予期せぬ出来事が起こった。
「傷の具合はどうですか?」
「フッ、自分で付けた癖にどういうつもりできた?」
バルドはまだ寝たきりだったが、目に力が漲っており、もう命の心配は無さそうだった。
「貴方にお話があってきました。僕には記憶が無いのです。誰かに言われて行動してきましたが、貴方の話を聞きたいと思って」
「記憶ないだと?」
「はい。女神様は僕が召喚される時に邪神の邪魔が入り記憶を失ったと言われました」
「邪神か………」
バルドは目を閉じて呟いた。
「確かに邪神と呼ばれる者は存在する。しかし、今は大陸で起こっている争いについて知っているか?」
レグルスは首を振った。
「そうか。なら俺達の起こした戦争について話そう。事の発端は、少し話したが、力を付けてきた俺達に対して、鉱石の取引を止めてきた事に起因する。まだまだ大陸から食料を輸入しなければ国民全員を食わすことが出来ない状態だからな」
それは戦いの最中に聞いた。
問題はその後だ。
「聖王の要求により、俺達は断腸の思いで民を奴隷として送り出した。しかし、同胞がなぶり殺しに合っていると知って我慢出来なかった。だからこそ、俺達の同胞を仲介していた村や町を襲った」
!?
「奴隷を仲介!?」
「ああ、聖王も馬鹿ではない。直接王都へ運ばず、辺境の村などに手の者をやって、奴隷の欲しがっているクズ貴族や金持ちに運んでいたんだ。だから、俺達はその加担した村や町を襲った。俺達を奴隷として扱うのなら、自分達も奴隷となり、殺される覚悟をしろっと言う警告のつもりでな。その村のヤツらを虐殺した事について弁解はしない。ただの復讐だからな」
バルドは喋り疲れたのか、一息入れた。
「ああ、そうだ。神炎騎士団は関与していない。奴隷の売買は聖王の近衛兵か、直属の配下である枢機卿が関与していたな」
ああ、女神様の神託を聞けなかったクズ聖職者達か。
「俺の話はこれで終わりだ。まだ聞きたい事はあるか?」
「いえ、バルドさん今回はお願いがあってきたんです」
うん?
バルドは疑問に思いながら聞いた。
「一時的で良いので神炎騎士団に着いてきてくれませんか?」
!?
「俺を監禁して本国のヤツらが反乱を起こせないようにするつもりか?」
「いいえ、僕は記憶がない為に、何が真実で何が嘘なのかわかりません。だから、神炎騎士団以外の人物の相談相手が欲しいのです」
「レグルス、それは我々を信用出来ないと言うことか?」
一緒に来ていたジャンヌは不愉快そうな顔をした。
「ジャンヌ団長の事は信用しています。しかし、知らされていない情報があったのも事実です。今回の争いについては、事情を知っていれば、僕は蛮族の方に加勢していてもおかしくありませんでしたから」
レグルスの言葉にバルドは目を開いた。
「本気で言っているのか?」
「はい。どう考えても、1番悪いのは聖王ですから」
むう………と、腕を組んで唸った。
そこに予期せぬ出来事が起こった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

私はあなたたちがお求めの聖女ではないので
黒木メイ
恋愛
今までガルディーニ王国で偽の聖女だとして酷い扱われ方をしてきたマリー・フィッツェ。自分でも自分のことを偽の聖女だとずっと思い込んでいた。周りからそう言われ続けてきたから。けれど、この世界の唯一神であるニュクス様の力によって前世の記憶を取り戻した時、その洗脳は解けた。そして、真実を知る。真実を知ったマリーの決断とは……。
※設定はふわふわ。
※予告なく修正、加筆する場合があります。
※小説家になろう様からの転載。他サイトにも随時転載中。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

夜会の夜の赤い夢
豆狸
恋愛
……どうして? どうしてフリオ様はそこまで私を疎んでいるの? バスキス伯爵家の財産以外、私にはなにひとつ価値がないというの?
涙を堪えて立ち去ろうとした私の体は、だれかにぶつかって止まった。そこには、燃える炎のような赤い髪の──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる