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密約
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カタカタッ
カタカタッ
「なんだ?」
腰に掛けてあった神剣を柄ごとテーブルに置いた。
神剣はテーブルの上でも動いており、南の方に刀身を向けた。
「レグルス、これは何が起こっているんだ?」
「わ、わかりません。ただ………いや、女神様はこの神剣ダインスレイヴは【神器】に反応すると言ってました!」
レグルスは神剣を持ってテントを出ると、神剣の反応する方に向けた。
「やっぱり南に反応している」
他のメンバーもテントを出てレグルスを見守った。
「レグルス、神剣が反応していると言う事は神器が近くにあると言うことか?」
「それはまだ………でも反応が強くなっているような………近付いてきている?」
!?
「それは本当か!?みんなテントに戻れ!会議を続ける!」
慌てて戻るジャンヌを追った。
ジャンヌはテーブルの地図を見ながら話した。
「マズイ事になった。リタ!すぐに出てくれ!偵察の場所は神剣が指した南だ!」
「はいっ!わかりました!」
リタは理由も聞かずに出ていった。
「そんなに慌ててどうしたんですか?」
「神器が近付いてきていると言うことは、恐らくは【敵が所持】しているのだろう。そして、それは北の蛮族の砦からではなく、後ろの南からだと言う。これはどういう意味を指すだろうか?」
レグルスを試すようにジャンヌは微笑みながら言うのだった。
「…………後ろから敵の増援が迫っていると?」
!?
周囲の反応が変わった。
「そうだ。神器がどんな力を持っているかわからんが、神剣の力を見ていると神器にも、何かしらの力があると見ていいだろう。しかも、このままだと挟撃される形になる。神器の力が無くてもヤバイ状況だ」
確かにただでさえ人数が少ないのに──
レグルスは何かに気付いた。
だが、その他のメンバーが言い合った。
「ちょっと待って下さい。蛮族は正面の砦にいる1万5千でしょう。どこにそれ以上の援軍がいると言うのですか!?」
「そうですよ!ただでさえ蛮族は大陸に仲間がいないはずです」
そんな中、レグルスは声を放った。
「傭兵だ。ジャンヌ達が雇え無かった傭兵団を雇ったんだ!そうでしょう?ヴォルフさん?」
驚いた顔でヴォルフはレグルスの顔を見た。
「聖王に疎まれていた神炎騎士団のジャンヌ・ダルク団長を倒す為に、聖王が仕組んだのではないですか?」
確か聖王が理由を付けて傭兵団を減らしたと聞いた。ならヴォルフさんにも密約の話がいったはずだ。
「………どうしてそう思った?」
「この遠征の功績でジャンヌ団長は聖王を罷免する予定でした。それは聖王も気付いていたはずです。だからジャンヌ団長を何とかしようと思ったはずです。だから傭兵団を雇えなくし、空いた傭兵団を秘密裏に雇い、後方から襲う予定だった。でも予定外でヴォルフさんは義理と人情を優先し、ジャンヌ団長に付いたんですよね?」
レグルスの言葉にヴォルフはフッと笑った。
「たいした推理だな。その通りだ。俺達の所にも話がきたぞ。だが神炎騎士団の誘いを断れば2倍の契約金を払うと言われただけだ。まさか裏切って後ろから襲う計画とは知らなかったがな」
ジャンヌはヴォルフに視線を送った。
「どうして向こうの誘いを断った?戦争に参加しなくても2倍の契約金が貰えたんだろう?」
「確かにな。だが、上手い話には裏がある。それに神炎騎士団と組んでから、軍での略奪などなくなり、そこに住む平民達は救われている。その心意気が気に入ったのさっ」
ヴォルフも住む場所を無くし傭兵となった身の上だ。思うところがあったのだろう。
「そうか。お前の気持ちに感謝する。みんな!この戦いに勝つぞ!民の為に!」
「「はいっ!!!」」
この場にいる皆の気持ちが一つになった瞬間だった。
カタカタッ
「なんだ?」
腰に掛けてあった神剣を柄ごとテーブルに置いた。
神剣はテーブルの上でも動いており、南の方に刀身を向けた。
「レグルス、これは何が起こっているんだ?」
「わ、わかりません。ただ………いや、女神様はこの神剣ダインスレイヴは【神器】に反応すると言ってました!」
レグルスは神剣を持ってテントを出ると、神剣の反応する方に向けた。
「やっぱり南に反応している」
他のメンバーもテントを出てレグルスを見守った。
「レグルス、神剣が反応していると言う事は神器が近くにあると言うことか?」
「それはまだ………でも反応が強くなっているような………近付いてきている?」
!?
「それは本当か!?みんなテントに戻れ!会議を続ける!」
慌てて戻るジャンヌを追った。
ジャンヌはテーブルの地図を見ながら話した。
「マズイ事になった。リタ!すぐに出てくれ!偵察の場所は神剣が指した南だ!」
「はいっ!わかりました!」
リタは理由も聞かずに出ていった。
「そんなに慌ててどうしたんですか?」
「神器が近付いてきていると言うことは、恐らくは【敵が所持】しているのだろう。そして、それは北の蛮族の砦からではなく、後ろの南からだと言う。これはどういう意味を指すだろうか?」
レグルスを試すようにジャンヌは微笑みながら言うのだった。
「…………後ろから敵の増援が迫っていると?」
!?
周囲の反応が変わった。
「そうだ。神器がどんな力を持っているかわからんが、神剣の力を見ていると神器にも、何かしらの力があると見ていいだろう。しかも、このままだと挟撃される形になる。神器の力が無くてもヤバイ状況だ」
確かにただでさえ人数が少ないのに──
レグルスは何かに気付いた。
だが、その他のメンバーが言い合った。
「ちょっと待って下さい。蛮族は正面の砦にいる1万5千でしょう。どこにそれ以上の援軍がいると言うのですか!?」
「そうですよ!ただでさえ蛮族は大陸に仲間がいないはずです」
そんな中、レグルスは声を放った。
「傭兵だ。ジャンヌ達が雇え無かった傭兵団を雇ったんだ!そうでしょう?ヴォルフさん?」
驚いた顔でヴォルフはレグルスの顔を見た。
「聖王に疎まれていた神炎騎士団のジャンヌ・ダルク団長を倒す為に、聖王が仕組んだのではないですか?」
確か聖王が理由を付けて傭兵団を減らしたと聞いた。ならヴォルフさんにも密約の話がいったはずだ。
「………どうしてそう思った?」
「この遠征の功績でジャンヌ団長は聖王を罷免する予定でした。それは聖王も気付いていたはずです。だからジャンヌ団長を何とかしようと思ったはずです。だから傭兵団を雇えなくし、空いた傭兵団を秘密裏に雇い、後方から襲う予定だった。でも予定外でヴォルフさんは義理と人情を優先し、ジャンヌ団長に付いたんですよね?」
レグルスの言葉にヴォルフはフッと笑った。
「たいした推理だな。その通りだ。俺達の所にも話がきたぞ。だが神炎騎士団の誘いを断れば2倍の契約金を払うと言われただけだ。まさか裏切って後ろから襲う計画とは知らなかったがな」
ジャンヌはヴォルフに視線を送った。
「どうして向こうの誘いを断った?戦争に参加しなくても2倍の契約金が貰えたんだろう?」
「確かにな。だが、上手い話には裏がある。それに神炎騎士団と組んでから、軍での略奪などなくなり、そこに住む平民達は救われている。その心意気が気に入ったのさっ」
ヴォルフも住む場所を無くし傭兵となった身の上だ。思うところがあったのだろう。
「そうか。お前の気持ちに感謝する。みんな!この戦いに勝つぞ!民の為に!」
「「はいっ!!!」」
この場にいる皆の気持ちが一つになった瞬間だった。
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