☆レグルス戦記☆

naturalsoft

文字の大きさ
上 下
15 / 130

作戦会議

しおりを挟む
痛み分けに終わった初戦のその夜──

「怪我人の収容は終わったか」
「はい。怪我人の収容は終わりました。死者に対しては、戦場の横にずらしただけになっていますが………」

まだ戦争は終わっていないのだ。可哀想だが、すぐに収容して形見など仕分けする訳にはいかないのだ。

「それは仕方がない。この戦を早々に終わらせるぞ」
「はいっ!」

とある指揮官と部下が戦後処理をしている時、作戦司令室のテントにて、不穏な空気が漂っていた。

「まさか、あれから押し返されるとはな………」

腕を組みながら、テーブルの上に置かれた周辺の地図をみながらジャンヌは呟いた。

「あれは何だったのでしょうか?」

蛮族の兵士達が、薄い赤い光に包まれたと思ったら、突然強くなって襲い掛かってきたのだ。

「恐らくはS級クラスのスキルの効果だろうな」
「スキルですか?」

記憶のないレグルスが尋ねた。

「ああ、幼い頃に魔法の才能を調べる時、教会で洗礼を受けるんだ。そこでランダムで『スキル』という力を授けて貰うんだ」

フムフムと聞いているとミリアが補足事項を話した。

「多くの場合は、身体強化や剣術などが一般的に授かります。しかし、稀に剣術でも剣聖など上位スキルを授かる場合があるのです。一般的なスキルとは力がまるで違うんです。ちなみに、私のスキルは『治癒魔法効果・増』なんですよ♪」

ミリアはドヤァ顔をして胸を張った。

「ミリアは自分の能力とスキルが合致した珍しいタイプだな。たまに、魔術師で剣術のスキルを授かったりするヤツもいるから、スキルは本当にランダムなんだよ」

なるほどね。

「さて、話を戻すが、敵のスキルは、恐らく広範囲の味方の能力を向上させるものだろう。しかも、厄介なのは自然回復………リジェネーションの効果もあったな」

「つまり、敵は能力が上がり、多少の傷も治ってしまうと言うことですね。何千人と言う兵士が…………最強じゃないですか!?」
「ようやく気付いたか。だからこうやって頭を悩ませているんだろう!」

レグルスの説明も含めて、今の状況を確認した事でより今の状況が悪いと認識したジャンヌは、皆に意見を求めた。

「意見って言ってもこのままやるしかねぇだろう?」

傭兵団の団長のヴォルフは頭を掻きながら言った。他のメンバーも有効策が思い付かなく唸った。そこにレグルスが手を上げた。

「すみません。案ではなく1つ疑問に思った事があるんですが、良いでしょうか?」

今は、何でも情報が欲しかったジャンヌは許可した。

「どうしてこれだけ強力なスキルを最初から使わなかったのでしょうか?」

!?

「言われてみればそうだな。ファランクスという見慣れない陣形を使うよりは、最初から能力を向上させて戦わせた方が、被害が少なかっただろうに」

そこでジャンヌを初めとしたここにいるメンバーは同時に顔を上げた。

「団長!これだけ強力なスキルです。何か時間制限があるのではないでしょうか?」
「ええ、それ以外では、何か代償が必要な場合も考えられるわね」

副団長のクレアと魔導師のメビウスが皆を代弁して述べた。

「とはいえ、仮に時間制限があったとしてどうやって防ぐかだが………」

ジャンヌはレグルスに視線を送った。

「レグルスに頑張ってもらうしかないか」

神剣を持った勇者に先頭に立たせて対抗するしかないか思っていたとき、レグルスの神剣が反応した。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

私はあなたたちがお求めの聖女ではないので

黒木メイ
恋愛
今までガルディーニ王国で偽の聖女だとして酷い扱われ方をしてきたマリー・フィッツェ。自分でも自分のことを偽の聖女だとずっと思い込んでいた。周りからそう言われ続けてきたから。けれど、この世界の唯一神であるニュクス様の力によって前世の記憶を取り戻した時、その洗脳は解けた。そして、真実を知る。真実を知ったマリーの決断とは……。 ※設定はふわふわ。 ※予告なく修正、加筆する場合があります。 ※小説家になろう様からの転載。他サイトにも随時転載中。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

夜会の夜の赤い夢

豆狸
恋愛
……どうして? どうしてフリオ様はそこまで私を疎んでいるの? バスキス伯爵家の財産以外、私にはなにひとつ価値がないというの? 涙を堪えて立ち去ろうとした私の体は、だれかにぶつかって止まった。そこには、燃える炎のような赤い髪の──

処理中です...