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戦争(笑)
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独立を宣言した後、シオンの所属する国はすぐには攻めて来なかった。民が少なくなり経済が廻らなくなっていたため、各貴族達は自分の領地のことでいっぱいいっぱいになっていたからだ。
そして隣国のロイド王子の国にも独立宣言の書簡を送った。こちらは大義名分を得たとばかりに、軍を差し向けてきた。数はそこそこ多く、5万ほどはいたが、その殆どは税の払えない困窮した民衆だった。
敵の軍隊が辺境に近付いてきた時、シオンとロイドはシルビアの背に乗り警告した。
『これ以上進めば我が盟友である神獣ノヴァ様の子供であるシルビアに攻撃させる!ただし、武器を捨てて我が国に降れば、自国民と扱い、住む場所としばらくは温かい食事を提供しよう!』
風魔法の拡声器を使い、士気の低い民兵に呼び掛けた。シルビアも調子にのってグオォォォオオオ!!!!と咆えた事もあり、あっさり民兵の殆どが武器を捨てて私達の国へ逃亡した。
敵の軍はあっと言う間に1万以下まで数が減り、そこに迂回していた司令官のガーターは空のシルビアに釘付けになっていた敵の側面から騎馬隊で突撃し、見事に敵の総大将の首を取ったのだった。
「呆気なかったね。シルビアだけでも勝てたかも」
「いや、ちゃんと僕達の騎士団に見せ場を作って、うちの騎士団も強いって思って貰わないといけないから、ちょうど良かったよ」
う~ん。政治って難しいねぇ~?
隣国は総戦力の殆どをこちらに向けていたようで、今残っているのは王城を守る近衛兵が数百人ほどである。
ロイドはそのままガーター総司令に逆侵攻を提案し、電撃的に敵国の王城へ向かった。
途中の領地も抵抗出来る戦力がなく、素通りできた。何日も掛けてついに王都が見える距離までやってきた。
「あれ?城門が開いてる???」
不思議な事に城門の跳ね橋が降りていた。
「おっ、やっと来たな!跳ね橋を降ろしておいたぞ~」
赤影さんが爽やかな笑顔で手を振っていた。
本当に赤影さんって何者!?
まさか、影の主人公なのかしら?
シオンはどうでも良い事を考えていたが、ロイド王子の後を追った。
本来、王様の座る玉座にロイド王子の弟が座っており、隣に王妃様が座っていた。
「さて、この城は掌握した。そろそろ、玉座から退いてもらおうか?」
弟君は真っ青になりガタガタ震えており、王妃様はキンキンと叫んだ。
「何故お前達が!?差し向けた我が軍はどうしたのじゃ!」
「お前達の軍は壊滅したぞ。これが総大将の首だ」
木箱に入れられていた敵将の首を投げて転がした。
!?
「ヒイィィィィィイイイイイ!!!!!!」
王妃様は腰を抜かして後ろへ後ずさった。
そこに従軍していた元宰相が声を掛けた。
「ここまでです。貴女はやりすぎた。我々の国をメチャクチャにして楽しかったですかな?」
宰相さんは哀れむような目で見つめた。
「わ、私はこの国をよくする為に政策を行っただけじゃ!」
いやいや、ここまで国を衰退させてなに言っているのよ?
「貴女はこの国を視察に出掛けた事がありましたか?僅か数年でこの美しかった国がボロボロになりました。肥えるのは貴女や、それに付き従う側近達のみ。民が困窮しても重税を取り立てる。…………巫山戯るな!!!民達はお前の奴隷ではない!」
宰相さんの心の叫びだった。
うちの国より隣国の方が酷かったもんね。
「貴様にわかるか?泣く泣く老人の父母を山に捨てる子供の気持ちが!家族を食わす為に僅かな金で子供を売る親の気持ちが………わかっているのか!!!!」
後ろに控える騎士団達の目も厳しい者になっていた。
「…………ただで死ねると思わない事ですな。毒杯など生ぬるい。せいぜい、側近達と一緒に今までの贅沢した分を償ってもらいますぞ!」
腰を抜かしてガタガタ震える王妃と弟君を拘束して連れて行くのだった。
「これで僕達の国の問題は一段落付いたね。すぐに税を戻して不当に蓄えた税を民達に還元しないと」
「私も手伝うわ。スラリンが居ればいった場所に転移できるから移動時間が短縮できるしね。それに、ロイドの国と私の国を併合したらかなりの大国になっちゃうね」
「あははは、そうだね。それはまた今度一緒に考えよう」
ロイドはこれで国を正常化できると、ようやく肩の荷が降りた気持ちであった。
そして隣国のロイド王子の国にも独立宣言の書簡を送った。こちらは大義名分を得たとばかりに、軍を差し向けてきた。数はそこそこ多く、5万ほどはいたが、その殆どは税の払えない困窮した民衆だった。
敵の軍隊が辺境に近付いてきた時、シオンとロイドはシルビアの背に乗り警告した。
『これ以上進めば我が盟友である神獣ノヴァ様の子供であるシルビアに攻撃させる!ただし、武器を捨てて我が国に降れば、自国民と扱い、住む場所としばらくは温かい食事を提供しよう!』
風魔法の拡声器を使い、士気の低い民兵に呼び掛けた。シルビアも調子にのってグオォォォオオオ!!!!と咆えた事もあり、あっさり民兵の殆どが武器を捨てて私達の国へ逃亡した。
敵の軍はあっと言う間に1万以下まで数が減り、そこに迂回していた司令官のガーターは空のシルビアに釘付けになっていた敵の側面から騎馬隊で突撃し、見事に敵の総大将の首を取ったのだった。
「呆気なかったね。シルビアだけでも勝てたかも」
「いや、ちゃんと僕達の騎士団に見せ場を作って、うちの騎士団も強いって思って貰わないといけないから、ちょうど良かったよ」
う~ん。政治って難しいねぇ~?
隣国は総戦力の殆どをこちらに向けていたようで、今残っているのは王城を守る近衛兵が数百人ほどである。
ロイドはそのままガーター総司令に逆侵攻を提案し、電撃的に敵国の王城へ向かった。
途中の領地も抵抗出来る戦力がなく、素通りできた。何日も掛けてついに王都が見える距離までやってきた。
「あれ?城門が開いてる???」
不思議な事に城門の跳ね橋が降りていた。
「おっ、やっと来たな!跳ね橋を降ろしておいたぞ~」
赤影さんが爽やかな笑顔で手を振っていた。
本当に赤影さんって何者!?
まさか、影の主人公なのかしら?
シオンはどうでも良い事を考えていたが、ロイド王子の後を追った。
本来、王様の座る玉座にロイド王子の弟が座っており、隣に王妃様が座っていた。
「さて、この城は掌握した。そろそろ、玉座から退いてもらおうか?」
弟君は真っ青になりガタガタ震えており、王妃様はキンキンと叫んだ。
「何故お前達が!?差し向けた我が軍はどうしたのじゃ!」
「お前達の軍は壊滅したぞ。これが総大将の首だ」
木箱に入れられていた敵将の首を投げて転がした。
!?
「ヒイィィィィィイイイイイ!!!!!!」
王妃様は腰を抜かして後ろへ後ずさった。
そこに従軍していた元宰相が声を掛けた。
「ここまでです。貴女はやりすぎた。我々の国をメチャクチャにして楽しかったですかな?」
宰相さんは哀れむような目で見つめた。
「わ、私はこの国をよくする為に政策を行っただけじゃ!」
いやいや、ここまで国を衰退させてなに言っているのよ?
「貴女はこの国を視察に出掛けた事がありましたか?僅か数年でこの美しかった国がボロボロになりました。肥えるのは貴女や、それに付き従う側近達のみ。民が困窮しても重税を取り立てる。…………巫山戯るな!!!民達はお前の奴隷ではない!」
宰相さんの心の叫びだった。
うちの国より隣国の方が酷かったもんね。
「貴様にわかるか?泣く泣く老人の父母を山に捨てる子供の気持ちが!家族を食わす為に僅かな金で子供を売る親の気持ちが………わかっているのか!!!!」
後ろに控える騎士団達の目も厳しい者になっていた。
「…………ただで死ねると思わない事ですな。毒杯など生ぬるい。せいぜい、側近達と一緒に今までの贅沢した分を償ってもらいますぞ!」
腰を抜かしてガタガタ震える王妃と弟君を拘束して連れて行くのだった。
「これで僕達の国の問題は一段落付いたね。すぐに税を戻して不当に蓄えた税を民達に還元しないと」
「私も手伝うわ。スラリンが居ればいった場所に転移できるから移動時間が短縮できるしね。それに、ロイドの国と私の国を併合したらかなりの大国になっちゃうね」
「あははは、そうだね。それはまた今度一緒に考えよう」
ロイドはこれで国を正常化できると、ようやく肩の荷が降りた気持ちであった。
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