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隣国の思惑

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赤影さんに指摘されてからシオンは止まっていた街道の作製に取り掛かった。

「とはいえエルフの里と獣人の村の脇道は整備が終わっているのよね。後は隣国までの直線を作ればいいのよね。頑張るぞ~~~!!!」

シオンがやる気を出している時であった。


とある一室にて──

「ふざけるな!!!!」

還らずの森を隔てある隣国の国境の砦の司令官である辺境伯のガーターは憤っていた。

「ガーター様!落ち着いて下さい!?」

怒りに任せて机を激しく叩いたガーターに側近達は恐れながらも進言した。

「落ち着いていられるか!第一王子であるロイド様がこんな危険な辺境に追いやられたのだぞ!」

ロイド王子は第一王子だが身分の低い側妃の産まれであり、正室の王妃から一歳年下の王子が産まれた為に疎まれていた。

しかもロイド王子は母親の為に必死になって勉学や剣術に打ち込んでいたため、甘やかされて育った第二王子より優秀であった。

歳は10歳である。

それが妬まれて辺境へと追いやられたのだった。しかも側妃である母親と一緒にだ。

「なんとか中央の政権が安定するまでは御守りしなければ………」


ロイド王子の母親である側妃様から自分の命はどうなってもいいから息子を頼むと言われて辺境伯の決意は決まった。
昨今、自分の命可愛さに仲間や身内を売る者がいる中、我が子を守る母親の強さを目にした辺境伯ガーターは生涯の主を決めたのだった。

「ガーター隊長!私に剣術の指南をお願い出来ますか?」
「ロイド様はまだここに着いたばかりです。疲れを癒やされた方がよろしいかと───」
「いいえ!母上を守る為に強くならねばなりません!今は政治の勉強より、自分の身を守る術を学びたいのです!」

ガーターは目を開いて驚いた。これが齢10歳の少年の言葉だろうか?

「わかりました。ワシの修行は厳しいですぞ?覚悟はよろしいか?」

返事を聞くまでもなく、ロイドの決意の目を見てガーターも腹をくくるのだった。

『この方を守る為に辺境の付き合いのある貴族達に働き掛けるか。恐らく、何れは刺客が送られてくる可能性もある。せめてもの救いは、国王様と宰相殿がロイド様の味方と言う事だな』

極秘で送られてきた手紙を燃やしながら軽くため息を付いた。


そしてしばらく経ったある日………魔物の大規模襲撃が起こった。

「大変です!何者かが高濃度の魔物寄せの魔導具を使った模様です!」

「なんだと!?」

王妃派はそこまでしてロイド王子を殺害したいのか!?

この国の国王は長子であり、優秀なロイドを王太子にと宰相と複数の高位貴族と話し合っていたのだ。
無論、王妃としては面白くなく、実子を次代の王にすべく派閥を形成し動いていたのだ。

ロイド王子を排除すべく─


国境砦は総員で魔物の迎撃に当たった!




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