上 下
16 / 50

交渉ですよ

しおりを挟む
遠い目をして、窓の外を見ているエレンだっがちょうどお父さんが帰ってきました。

「シオン、エルフの方が来たって本当かい?」

お母さんから聞いたのか、すぐに奥の部屋へとやってきました。

「おや?何やらお疲れ気味のような顔をしているが大丈夫ですか?」

はっ!となってエレンさんはお父さんに詰め寄った。

「ここはどうなっているんだ!あの龍はなんだ!村に龍が住んでいるなんてありえないだろう!それにあの城壁はなんだ!あれほどの長い城壁が短時間で作れるわけないだろう!」

はぁはぁはぁ…………

エレンはまくし立てるように言った。シオンの父ジークは目をパチクリしたが、すぐに我に返って困った顔をした。

「いやー、確かに『普通』の人はそういう反応なりますね」

うんうんと、1人で納得している父であった。

「な、なんなんだ?ここの家族は…………」

話の通じない不安から呆然となるエレンに、父ジークは落ち着くように伝えて、少し時間を置いてから、これまでの経緯を話した。










しばらく話を聞いていたエレンはシオンを見たり、窓の外を見たりと忙しかった。

「ほんと~~~に、信じられませんが神獣ノヴァ様の子供と契約していると、この目で見ている以上、信じるしかありませんね…………」

エレンは何度目かの深いため息を付いた。

「それより、シオンのやっている事で、エルフの里に迷惑を掛けたのならお詫びに行かなければならないでしょう」

うん?まさかエロフの里に行けるだと!?
是非、行ってみたいです!

だからエルフだってば!by作者

「………そうだな。私だけよりシオンに来て貰った方が信憑性があるか」
「是非とも行かせてもらいます!」

シュパッ!と、手を挙げるシオンだった。

「おや、シオンはエルフの里に興味があるのかい?」
「はい、行ってみたいです!」

ポフッとシオンは後ろから抱き付かれた。

「えっ?」
「あなた♪私も行ってみたいですわ!」

何故かポワポワお母さんも手を挙げました。

「はぁ、わかった。家族で行こうか?」
「シオンちゃん、やったわ♪家族でプチ旅行よ!」

おおっ!考えてみればそうだね♪

「うん♪楽しみだね!」

母とキャキャッと手を叩きあった。

「…………私は早まったかもしれない」

エレンはここまでで、シオンの常識の無さを痛感していた。嫌な汗が背中を流れた。

「取り敢えず、今日は泊まって行きなさい。明日、一緒に向かいましょう」
「えっ、あ、はい。一晩お世話になります」

いつの間にか泊まるハメになってしまった。
大丈夫であろうか?

エレンはこの一晩で、色々思う事ができ、この村とは友好的な付き合いをしようと思うのだった。



【次回に続く】

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

愛する人は、貴方だけ

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。 天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。 公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。 平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。 やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。

悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』 シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。 そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─ 「うふふ、計画通りですわ♪」 いなかった。 これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である! 最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

naturalsoft
恋愛
隣国のエスタナ帝国では七人の妃を娶る習わしがあった。日月火水木金土の曜日を司る七人の妃を選び、日曜が最上の正室であり月→土の順にランクが下がる。 これは過去に毎日誰の妃の下に向かうのか、熾烈な後宮争いがあり、多くの妃や子供が陰謀により亡くなった事で制定された制度であった。無論、その日に妃の下に向かうかどうかは皇帝が決めるが、溺愛している妃がいても、その曜日以外は訪れる事が禁じられていた。 そして今回、隣の国から妃として連れてこられた一人の悪女によって物語が始まる── ※キャライラストは専用ソフトを使った自作です。 ※地図は専用ソフトを使い自作です。 ※背景素材は一部有料版の素材を使わせて頂いております。転載禁止

君は私のことをよくわかっているね

鈴宮(すずみや)
恋愛
 後宮の管理人である桜華は、皇帝・龍晴に叶わぬ恋をしていた。龍晴にあてがう妃を選びながら「自分ではダメなのだろうか?」と思い悩む日々。けれど龍晴は「桜華を愛している」と言いながら、決して彼女を妃にすることはなかった。 「桜華は私のことをよくわかっているね」  龍晴にそう言われるたび、桜華の心はひどく傷ついていく。 (わたくしには龍晴様のことがわからない。龍晴様も、わたくしのことをわかっていない)  妃たちへの嫉妬心にズタズタの自尊心。  思い詰めた彼女はある日、深夜、宮殿を抜け出した先で天龍という美しい男性と出会う。 「ようやく君を迎えに来れた」  天龍は桜華を抱きしめ愛をささやく。なんでも、彼と桜華は前世で夫婦だったというのだ。  戸惑いつつも、龍晴からは決して得られなかった類の愛情に、桜華の心は満たされていく。  そんななか、龍晴の態度がこれまでと変わりはじめ――?

【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜

naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。 しかし、誰も予想していなかった事があった。 「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」 すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。 「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」 ──と、思っていた時期がありましたわ。 orz これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。 おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

もしもヒロインが生粋の貴族であったなら!(by転生悪役令嬢より

naturalsoft
恋愛
初めまして。いつもお馴染みの【シオン】と申します。今回は久々の悪役令嬢を務めさせて頂きますわ。 最近は、髪の色と同じく頭の中身がピンク色のヒロインばかりなので、一風変わったヒロインをお楽しみ下さいませ~ これが本当の【真】のヒロインの在るべき姿なのですから………

処理中です...