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8章:エルフの国のエロフ!
不審者は美人さん!
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平和を享受しているフィリアス領内─
「う~ん………平和だなぁ~」
ぐぐぐっと伸びてシャッキとした。
クマネコに乗りながら領内を見回っている最中である。
「シオンお嬢様、公爵令嬢としてせめて馬車に乗って頂けませんか?」
侍女のAさんがたしなめるも、シオンはクマネコに抱き付き、もふもふ天国を味わっていた。
「お嬢様ばかりずるいのです!次はサクラにも代わって下さい!」
護衛の飛龍騎士団団長のサクラが羨ましそうに隣を馬で歩行していた。
「次の関所で交代ね♪」
キャー!お嬢様大好きですー!
とまぁ、平和である。
ガヤガヤッ
ガヤガヤッ
「お嬢様、関所の方が騒がしいようです」
「本当だ。何かあったのかな?」
シオン達がフィリアス領の関所に着くと怒鳴り声が聞こえてきた。
「だ・か・ら・!この冒険者カードが身分証になるでしょう!」
深くフードを被った人物が大声で叫んでいる。体型と声から女性と思われる人物が守衛に引き留められていたのだ。
「規則ですので、1度フードをお取り下さい。そのギルドカードが貴方の物だと確認させて頂くだけですので。もし宗教上の都合で人前で姿を出せない方はあちらの個室で女性兵が改めますので………」
守衛はやんわりと言っているが、フードの女性はそれでも脱ぎたくないとゴネていた。
「お勤めご苦労様です。何かありましたか?」
シオンが近付くと守衛は慌てて敬礼した。
「こ、これはシオンお嬢様!見回りご苦労様です!」
「それよりどうしたの?」
「はっ!こちらの者がフードから顔を出さずに関所を通せと言うもので困っておりました」
なるほどね。守衛さんは正しいよ!フィリアス領内に怪しい人は入れられないからね!
よし!私が一肌脱ぎますか
「それで、そちらの女性?の方はどうしてフードが取れないの?」
フードの女性はいきなり現れた子供に動揺していた。
「貴様は何者だ?私はただ、いつもならフードを取らなくともこのギルドカードで身分を証明していたのだ。現に他の関所では有効だった」
なるほどね。他の関所では通れたのか~
でもね………
「ごめんなさいね。各関所でもその領地を治めている領主の意向で内容が変わるの。他の関所は大丈夫でもこのフィリアス領では厳しいのよ?」
「…………それは知っている。しかし、ギルドカードで犯罪歴がなければ通れるはずだ」
「うちの領地では必ず顔を確認してからじゃないと通せないことになっているの。最近は他の領地からの出入りが多いからね」
シオンの言葉にフードの女性は首を捻った。
「うちの領地?」
「貴様、他国の者であるから多目にみるが、こちらはフィリアス公爵様のご息女、シオン・フィリアス様である!そして光の精霊王様の契約者でもある。言葉遣いには気を付けるように!」
!?
「おまえが………そうなのか?」
激しく動揺する人物シオンは首を傾げた。不審者の行動に危険を覚えてサクラが前に出てシオンを庇った。
「貴様…………怪しいな?フードを取ってもらおうか?」
刀を構えてサクラは不審者を油断なく見据える。
「いや、悪かった。フードを取るといつも周りが煩くなるのでな。ちょうど会いたかった人物に会えたしフードを取ろう」
フードを取るとそこには光さんに負けないぐらいの美女が現れた。そして、髪では隠せない長い耳が見えた。
「エルフ?」
「ええ、そうよ。だからフードを取りたくなかったのよ。場所によっては迫害されたり、捕まったりするからね」
うん、それはわかるわー!これだけのべっぴんさんだと悪い人がどんどん寄ってくるよね!
「ちょうど貴女に用があったの。落ち着いて話せる所に案内してくれないかしら?」
シオンはサクラとAさんに目配りをして、エルフの女性を馬車に乗せ帰宅したのだった。
・
・
・
・
・
・
フィリアス家応接室にて─
「御初におめにかかります。私はエルフ国の族長の娘でエレンミアと申します」
深く頭を下げて挨拶をするエレンミアに、家にいたひかりさんとお母様が同席していた。
「あらあら!族長の娘って事は人間の国でいうとお姫様じゃない!?」
えっ、そうなの!?
「いや~ちょっと事情がありまして、エルフの国を追放された身分なので平民と変わりません」
「それは穏やかじゃないわね。理由は話せるのかしら?」
エレンミアは目を泳がせて言葉を濁した。
「それは………ちょっと……」
「まぁ、ギルドカードで犯罪歴はありませんからお家の都合と思いましょう。それで?シオンに用があったのではなくて?」
お母様が話題を変えた。
「そうでした。エルフ国でも『風の精霊王』様が誕生したので、その報告と神国との調停をお願いしたい」
!?
「あら♪風の精霊王も復活したのね!」
ひかりさんは心底嬉しそうに微笑んだ。
しかし私達はその後の神国の調停という言葉の重みをまだ理解していないのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
シオン
「ねぇ?冒険者って便利よねぇ~」
愚者の声
「どうして?」
シオン
「ギルドカードがパスポート代わりなんですもの!私も発行しようかしら♪」
愚者の声
「それはギルドカードが便利であって、冒険者は関係ないのでは…………」
(´・ω・`)
「う~ん………平和だなぁ~」
ぐぐぐっと伸びてシャッキとした。
クマネコに乗りながら領内を見回っている最中である。
「シオンお嬢様、公爵令嬢としてせめて馬車に乗って頂けませんか?」
侍女のAさんがたしなめるも、シオンはクマネコに抱き付き、もふもふ天国を味わっていた。
「お嬢様ばかりずるいのです!次はサクラにも代わって下さい!」
護衛の飛龍騎士団団長のサクラが羨ましそうに隣を馬で歩行していた。
「次の関所で交代ね♪」
キャー!お嬢様大好きですー!
とまぁ、平和である。
ガヤガヤッ
ガヤガヤッ
「お嬢様、関所の方が騒がしいようです」
「本当だ。何かあったのかな?」
シオン達がフィリアス領の関所に着くと怒鳴り声が聞こえてきた。
「だ・か・ら・!この冒険者カードが身分証になるでしょう!」
深くフードを被った人物が大声で叫んでいる。体型と声から女性と思われる人物が守衛に引き留められていたのだ。
「規則ですので、1度フードをお取り下さい。そのギルドカードが貴方の物だと確認させて頂くだけですので。もし宗教上の都合で人前で姿を出せない方はあちらの個室で女性兵が改めますので………」
守衛はやんわりと言っているが、フードの女性はそれでも脱ぎたくないとゴネていた。
「お勤めご苦労様です。何かありましたか?」
シオンが近付くと守衛は慌てて敬礼した。
「こ、これはシオンお嬢様!見回りご苦労様です!」
「それよりどうしたの?」
「はっ!こちらの者がフードから顔を出さずに関所を通せと言うもので困っておりました」
なるほどね。守衛さんは正しいよ!フィリアス領内に怪しい人は入れられないからね!
よし!私が一肌脱ぎますか
「それで、そちらの女性?の方はどうしてフードが取れないの?」
フードの女性はいきなり現れた子供に動揺していた。
「貴様は何者だ?私はただ、いつもならフードを取らなくともこのギルドカードで身分を証明していたのだ。現に他の関所では有効だった」
なるほどね。他の関所では通れたのか~
でもね………
「ごめんなさいね。各関所でもその領地を治めている領主の意向で内容が変わるの。他の関所は大丈夫でもこのフィリアス領では厳しいのよ?」
「…………それは知っている。しかし、ギルドカードで犯罪歴がなければ通れるはずだ」
「うちの領地では必ず顔を確認してからじゃないと通せないことになっているの。最近は他の領地からの出入りが多いからね」
シオンの言葉にフードの女性は首を捻った。
「うちの領地?」
「貴様、他国の者であるから多目にみるが、こちらはフィリアス公爵様のご息女、シオン・フィリアス様である!そして光の精霊王様の契約者でもある。言葉遣いには気を付けるように!」
!?
「おまえが………そうなのか?」
激しく動揺する人物シオンは首を傾げた。不審者の行動に危険を覚えてサクラが前に出てシオンを庇った。
「貴様…………怪しいな?フードを取ってもらおうか?」
刀を構えてサクラは不審者を油断なく見据える。
「いや、悪かった。フードを取るといつも周りが煩くなるのでな。ちょうど会いたかった人物に会えたしフードを取ろう」
フードを取るとそこには光さんに負けないぐらいの美女が現れた。そして、髪では隠せない長い耳が見えた。
「エルフ?」
「ええ、そうよ。だからフードを取りたくなかったのよ。場所によっては迫害されたり、捕まったりするからね」
うん、それはわかるわー!これだけのべっぴんさんだと悪い人がどんどん寄ってくるよね!
「ちょうど貴女に用があったの。落ち着いて話せる所に案内してくれないかしら?」
シオンはサクラとAさんに目配りをして、エルフの女性を馬車に乗せ帰宅したのだった。
・
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フィリアス家応接室にて─
「御初におめにかかります。私はエルフ国の族長の娘でエレンミアと申します」
深く頭を下げて挨拶をするエレンミアに、家にいたひかりさんとお母様が同席していた。
「あらあら!族長の娘って事は人間の国でいうとお姫様じゃない!?」
えっ、そうなの!?
「いや~ちょっと事情がありまして、エルフの国を追放された身分なので平民と変わりません」
「それは穏やかじゃないわね。理由は話せるのかしら?」
エレンミアは目を泳がせて言葉を濁した。
「それは………ちょっと……」
「まぁ、ギルドカードで犯罪歴はありませんからお家の都合と思いましょう。それで?シオンに用があったのではなくて?」
お母様が話題を変えた。
「そうでした。エルフ国でも『風の精霊王』様が誕生したので、その報告と神国との調停をお願いしたい」
!?
「あら♪風の精霊王も復活したのね!」
ひかりさんは心底嬉しそうに微笑んだ。
しかし私達はその後の神国の調停という言葉の重みをまだ理解していないのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
シオン
「ねぇ?冒険者って便利よねぇ~」
愚者の声
「どうして?」
シオン
「ギルドカードがパスポート代わりなんですもの!私も発行しようかしら♪」
愚者の声
「それはギルドカードが便利であって、冒険者は関係ないのでは…………」
(´・ω・`)
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