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やっぱり美味しい料理は最高デス!

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二人は魔法で川に橋を掛けて向こう側へ移動した。

「30分しかないし、野草をメインに探そうか?」
「うん、そうだね。ただあっちの森林に行ってみたいの。いいかな?」

ミレイユが指差していった。セリスは少し難色を示した。

「………でも隠れる所が多くて魔物などの襲撃があるかも知れないわよ?」
「そこはセリスの魔物払いの魔法に期待するわ♪森林には食材が多くあるのよ」

お昼の美味しい食事を取るために、二人は森林に足を踏み入れた。

「おっ♪さっそく発見!」

ミレイユは魔法で、紙を組み合わせて『ざる』を作って、生えていたキノコを採取していった。セリスはその間、魔物払いの魔法を使って周囲の警戒に務めた。

「凄いわ!タケノコまであったわ♪後、卵木の上に!」

ミレイユはエルフの国で、幼少の頃から森で暮らし食材を探してきたプロである。山菜や食べられるキノコの見分け方など楽勝である。

「ミレイユさん、こちらの野草も揚げると食べられますよ」

セリスも近くに生えていた山菜など周囲を警戒しながら軽く集めていた。

「ありがとう。やるわね!」
「いえいえ、ミレイユさんには敵いませんよ」

セリスは昔のシルクード領のように貧しく、食べる物が無かった時に、必要に迫られて周囲の雑草を煮て食べていた時期があった。その時からの経験が今にいかされているのである。

「さて、戻ろう!」
「はい!」

その後、二人は魔物などに襲われる事もなく、無事に戻ってきた。

「うわぁ~凄いね!二人とも!」
「こんなに食材があったのね」
「…………見たことはあるが、ただの草にしか見えない」

流石に温室育ちのクリスには見分けが付かないいうだ。
シオンは二人が採ってきた食材を水で洗うと、すぐに料理に入った。

「醤油やみりん、塩胡椒…………うん、流石はシルフィードだね。調味料に手は抜いていないね。何でもできるよ♪」

シオンは鼻歌を歌いながら調理していった。

「でも、どうして川に海に住んでいる魚が泳いでいたんだろうか?」

シオンが捕った魚は鮎など川魚だったが、鮭までいたのだ。そしてイカも………

「まっ、いいか!」

シオンは考えても仕方がないので、ファンタジー設定と言うことで、思考を放棄して考えるのを止めた。
そしてしばらく経って料理が完成したのだった。

「へい!お待ち!干肉と魚のアラのスープに鮎の塩焼きに、鮭の幽庵焼き、目玉焼きに山菜の天ぷらと野草のサラダの出来上がり♪」

おおっ♪

シオンの料理をみて歓声が上がった。

「野草のサラダには薄切りにしたイカを混ぜてあるので歯ごたえがいいよ♪」
「流石はシオンね!すごく美味しそう♪」
「主食に米かパンがあれば良かったんだけどね。長期戦って聞いてたから干肉を持って来ていて良かったよ。お湯に浸かせばスープの出汁にもなるしね!」

シオンはこういう事だけは気が利くのであった。

「それでは、全ての食材に感謝していただきます!」

「「「いただきます!」」」

みんなは、シオンの料理を美味しいと絶賛しながら食べた。

「こういうワイルドな食べ方もたまには良いわね♪」

鮎の塩焼きを豪快に食べるフレイ。

「このサラダ、美味しいです!素材もそうですが、味付けが最高♪」
「シオンの手料理が食べられて幸せだよ」

!?

急に結婚して毎日君の料理が食べれるなんて幸せだ。など言われて赤くなるシオン。
(※脳内変換されています。実際にはそこまで言ってません!)

「クリス…………急にそんなこと言ってもあげないからね♪」
(*ノд`*)σ

「ふふふ、本当にこんなに料理の上手いシオンなら私がお嫁さんに貰いたいわ」

フレイがシオンに抱き付いて言った。

「あー!フレイさんずるいです!私もシオンが欲しいです!」

ミレイユはシオンの料理に恋した様だった。
そんな様子を見てクリスは微笑みながら小さくため息を付くのだった。

『はぁ、シオンの天然のたらしはどこまで続くのだろうか?ライバルが増えなければいいけど』

クリスはクリスで、やきもきしているのであった。

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