悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

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寝起きは機嫌が悪いのです!

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ぐぅぐぅ………

すやすや~

シオンはスフィアに背負われながら可愛い寝顔を晒していた。

「着きました!向こう側に獣人達がやって来て、睨み合っています!」

エルフの方が指差すと、大勢の人々が集まっているのがわかった。

「あっ!守護精霊様!?お待ちしておりました!」

イルミナさんは待ってましたとスフィアに詰め寄った。

「お、落ち着いて下さい~!取り敢えずお話しを聞かせて下さいね~」

スフィアはシオンを担いだまま、スピカと一緒に獣人に対面した。

「やっときたのかぇ?守護精霊様?」
「え~と、初めまして。それでどうなさったのでしょうか?」

スフィアは相手を刺激させないように話した。

「どうなさったじゃと!守護精霊様よ!?貴女がエルフを保護したおかげで、魔物共が妾達の生活地域に大量に流れてきおったのじゃ!そのせいで怪我人は出るわ!田畑は荒らされるわ!狩りの対象の動物は居なくなるわで、大迷惑を被ったのじゃぞ!」

狐の獣人は大声で怒気を含みながら叫んだ!

「そ、それは申し訳ありませんでした!」

スフィアはペコペコと何度も頭を下げる。実に威厳のない姿である。

「それで?あなた達は何が望みなの?」

スピカは冷静に尋ねると………

「ふむ、そうじゃの~?では、1年分の麦類の食糧の提供と、我々の集落までの結界拡大でどうじゃ?」

それにはイルミナが悲鳴を上げた!

「それは無理です!我々もワームの被害により、食糧事情はそんなに良くはないのです!」

シオンが土壌改良した田畑でも【普通の収穫】には時間が掛かる。今後の豊作で蓄えができる予定なのだ。

「ほほぅ?では、我々に飢え死にしろと申すのかぇ?」

狐の獣人が魔力を高めて、周囲に火の玉を出現させた。

「我々の覚悟を特とみよ!」

火の玉を発射させようとした時だった!

「うるさい!!!!」

びくっ!?

「な、なんじゃ!?この膨大な魔力は………」

そして魔力の発生源を探すと─

「まさか守護精霊様?いや、違う!?」

ゆらりとスフィアの背中から降りたシオンは、鋭い視線で獣人達を睨みつけ手をかざした。

「私の睡眠を妨げる者は何人足りとも許さない…………死ね」

シオンは困窮し、殺気だっている獣人になんと緑聖魔術を放った!

「我の安らかなる眠りを妨げる者に天罰を与えん。我が名はシオン、守護精霊と龍王の契約者にして、全ての植物を操る緑の王、我が目の前に立ち塞がる全ての愚かなる者に滅びを与えん!緑聖魔術…………『ドラゴニック・グリーンクリムゾン』!」

シオンの詠唱が完了すると、目の前にいつものウッドゴーレムではなく、【龍の形】に良く似たウッドゴーレムが姿を現した。

「……………蹂躙せよ!」

緑の龍が襲い掛かる!?

「くっ!怯むな!向かい討てぃ!我々の後ろには女、子供達がいる事を忘れるでないぞ!」

リーダーである狐の獣人が火の玉を次々に発生させ緑の龍にぶつける!

ボンッ!!!
ボンッ!!!

火の玉が緑の龍にぶつかるが、びくともせず突進してくる!

「なんじゃと!?」

慌てて回避をして、他の獣人も武器や爪で攻撃を仕掛ける!

グオォォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!!

緑の龍は頑丈で、小さな傷しか付けられない。
獣人達は、意外に素早く動く緑の龍に、どんどんやられていく。ある者は体当たりされ、ある者は尻尾で薙ぎ倒された。辛うじて死者が出ていないのはシオンが無意識で手加減をしているからだろう。

「バカな………獣人の集落の精鋭が………じゃが負ける訳にはいかんのじゃ!狐火『焔の蛇の型』!」

狐の尻尾から炎が発生し、緑の龍を鞭のようにグルグルと縛るように炎で包み込んだ!

ゴオォォォォォォォォォ!!!!!!

炎に包まれた緑の龍は、燃えながらもその動きを止めなかった!

「なっ!これでも止まらぬのか!?」

その驚いたスキを付かれ、狐の獣人も緑の龍の尻尾に吹き飛ばされた!

そして、全ての獣人達が地面に倒れた死屍累々とした惨状であった。

「ぐっ、妾は負ける訳には…………」

地面に倒れながらも必死に動こうとしていた。

「おい………」

びくっ!?

狐の獣人は目の前に仁王立ちするシオンを震えながら見上げた。

「目が覚めた。詳しい状況を説明しなさい」
(やっべ!?何コレ!?何を殺っちゃたんだ私!?そこの君、教えてよ!)

狐の獣人は頭(こうべ)を垂れて負けを認めたのだった。

そしてシオンはようやく覚醒し、自分が何をしてしまったのか、冷や汗をダラダラと流していたのでした。



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