悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

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人魚の入江が出来ました。

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修道院の中を軽くセレスに案内して、裏庭に出たときだった。

「まぁ!なかなか良い小川ですわね♪水も清んでいてとても素晴らしいわ!」

小さな小川ではあったが、水深はそこそこある川であった。

「確かに飲み水としても美味しいよね♪山脈から流れてきているので、濾過されてミネラルが豊富な水が流れて来ているんだね」

小川はそのまま海の方へ流れていっている。

「そうだわ!シオン!またお願いがあるのだけれど?」

良いことを思いついた様にセレスは手を叩いた。

「この小川は、このまま森を抜けて海に流れているわよね?この近くに溜め池を作れないかしら?」

セレスの言葉にシオンはピンッとこなく聞き返した。

「溜め池?」
「そうよ!上流でやると生態系が変わるからオススメ出来ないけど、海にでる手間に大きな池を作って、その川を断崖の砂浜へ流れるようにすれば、私達人魚はいつでもこの修道院へ来ることが出来るわ♪」

人魚であるセレス達なら、川に水流を発生させてサーファーの様に水の上を移動出来るのだ。

「おおっ!良いね!面白そうだよ!?」

セレスは利便性を、シオンは楽しさを求めて
やる気になった。

小川を下って行くと、森を抜けた先に急に斜めになっており、ちょっとした滝になっていた。

「この小川ってここから落ちて海に流れていたんだね」
「意外と知らないものですね~?」

「でも、ここからどうするの?入江はけっこう向こうの方よ?」

シオンが簡単だよね?っと、みんなに言うとそだねー?と口を揃えていった。

「溜め池はどこに作ろうかな?」
「修道院の裏庭で良いのではないかしら?森の外に近いし、大丈夫でしょう?」

「了解です!」

そしてシオンはこの小説の【真の主役】を呼ぶのであった。

「緑聖魔術!ウッド君!カモン!!!」

シオンが叫ぶと、ウッドゴーレムが2体召喚された。しかし、大きさは5メートルもある大型だった。

「ウッド君1号は、修道院の裏庭に溜め池を作ってね。ウッド君2号は森の手前の方を工事して小川を、あっちの入江へ流れるようにしてね!」

ウッド君は頷くとそれぞれ行動を開始した。
手をスコップにして、硬い土を掘って溝を作り川の流れを変える工事をしていく。通常より大きいので、一つ一つの効果が大きい。

修道院の裏庭で、ウッド君2号は少し離れた場所で同じく穴を掘っていく。シオンは並行して、森の木々を緑聖魔術で移動させて大きな空地を作っていた。

セレスも海の方から、川の流れる場所を水魔法で決めていき、ウッド君がその道筋に溝を掘っていった。

ウッド君が、頑張っている時にシオン達は人魚の断崖の砂浜へ到着していた。

「セレス女王!お疲れ様です!」

砂浜へ着くと、大勢の人魚達がすでに入江で活動していた。

「うわぁ~凄いねぇ~!」

シオンが壮観だなぁと思っていると、スピカが突っ込んだ。

「えっ!?セレスって人魚の女王様なの!?」

うん?そういえば人魚の仲間がそう呼んだような………?

「お恥ずかしい。ただ人魚の集落の長を務めているだけですよ。皆様にはいつも通りセレスとお呼び下さいね」

セレスはそういったが、スピカだけはどうしようかと悩むのだった。

「水中だけじゃなく、砂浜の外にも柵を作るんですね?」
「ええ、魔物が出ないと言っても獣の類いは出るでしょうし、昔から我々は色々な者に狙われているので、防衛には力を入れているのです」

「そっか、セレス達人魚はみんな綺麗だもんねー!」
「やだっ、シオンさんたら♪」

セレスは少し頬を赤くして視線を反らした。

「じゃぁ!コテージを作るにあたって、柵も作っちゃうね!」

セレス以外の人魚が何が始まるのか、見学に集まってきた。

「むふふふ!視線が心地よいぜぃ!さてと、緑聖魔術『復元・改』!」

前回と同じように、みるみるとコテージが出来上がっていく様をみた人魚達は、最初は目を丸くしていたが、驚きと興奮で大歓声を上げた!
そして、ついでに柵も丸太を地面に突き刺して先端を尖らせたような、砦の壁を作った。

「あ、相変わらず凄いわね………」
「本当に何でもありね?」

いつものシオンの魔法に茫然としていた二人であった。

「外の人は凄いわねー!」
「本当に!こんな人ばかりなのかな?」
「守護精霊様!握手してください!」
「綺麗な金の髪の毛ね~?どうやって手入れしているの?」

女が三人集まれば姦しいとは良く言ったものだ。すっかりシオン達は人魚達の人気者になったのだった。大勢の人魚達に囲まれ、揉みくちゃにされるシオン達。

「うにゃーーー!!!」
「はいはい~並んで下さいね~」
「ちょっ、どこ触って………!?」

1人だけマイペースなヤツ(守護精霊)を除いて、シオンとスピカはアワアワすることになった。

「こらっ!私達の大切な恩人であるシオンさん達に無礼は許しません!落ち着きなさい!!!」

セレスの厳しい一言で、ミーハーな人魚ちゃん達ようやく止まったのであった。

「「「すみませんでした!」」」

一斉に頭を下げらるとこちらが困るぞ!?

「あははは…………大丈夫だから気にしないで?」

苦笑いで返すしかないシオンに、セレスも頭を下げた。

「本当に申し訳ありませんでした。どうか気を悪くしないで下さい」
「本当に大丈夫だから!?ちょっと驚いただけだからね!」

こうしてシオン達は人魚達に認められ、親交を深めていくのだった。そして溜め池と、小川の工事が終わると、交代で人魚達が修道院へ遊びに来る事になり、寂れた修道院は一気に賑わうことになるのでした。




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