悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

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語るも涙、聴くのも涙?

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古龍は話し出した。
昔話である。

「かつて我は龍族を束ねる王であった。そしてこの大陸の全てを統一する一大勢力を築いた。そこには人族、獣人、エルフ、ドワーフなどがいた。我らは圧政は引いてはいなかったが、龍族に支配されているのが、気に入らない者達が反旗を翻した。従来であれば圧倒的な力を持つ我らの圧勝であったが、この【世界の女神】に力を授けられた者達の力は強大であった。お互いに総力戦となった。しかし絶対数で劣っていた我らは次第に圧されていった。我らが劣勢と見るや、静観していた者達まで戦に加わった事で我らは敗北し、この大陸の………ここから海の向こう島に逃げることになったのだ」

シオンは腕を組みながら真剣に聞いていた。この大陸の歪んだ歴史の真実を知ることができているからだ。

「圧政は敷いていなくても、下いるものは絶対的強者に恐怖を抱くものなのよね。いつでも気分次第で殺されるかもと思うと、一部の人々の謀叛は理解できるし、施政者としてなぜ反乱が起こったか、分からなかった龍王様の気持ちも理解できるわ」

上の者に下の者の気持ちが、わからないという典型的な関係のもつれなのだ。第三者視点だからこそ客観的にわかったのだ。

「………我は同胞を逃がすために殿を務めた。数多くの敵を屠ったが、傷付きこの罠に誘導されて以降このままだ。この罠は我の魔力を使い半永久的に作動し続ける。周囲の魔力も吸い上げて、我を死なないように延命させる装置もあるようだ。龍族の者達が何度も救いにきたが、近付くだけで龍族限定で魔力を奪っていく凶悪なものだった。数多くの同胞が我の為に命を落とした事で、近付いてくるものがいたら威嚇するようになったのだ」

龍王様は悔しそうに歯を噛み締めた。

「話しは分かりました。では助けましょう!」

「はっ!?」

龍王様も呆れるように呟いた。

「聞けばもう1000年ぐらい昔の話しでしょう?もうエルフぐらいしか当時を生きている人なんていないでしょう?時効よ時効!」

龍王様は何を言っているんだ?みたいな感じでシオンを見た。

「それに、龍王様を救いたいと思ったのには理由があるの!」
「なんだ?それは?」

「クソ女神のせいで迷惑を受けたって事よ!私もあの性悪女神のせいで苦労したからね!同じ同胞として助けてあげるわ♪」

「そうか………貴様も、いやお主も女神から嫌がらせを受けたのか………」

龍王様はしみじみと納得した。

「しかし、どうするのだ?この1000年もの間、我を縛り付けている強力な呪縛結界をどう壊す?」

シオンは、にぱーーー!!!と素晴らしい笑顔で龍王に言った。

「この東西南北に刺さっている【杭】を抜きます!」

!?

「シオン様!こんな大きな杭をどうやって抜くつもりですか!ウッドゴーレムでも無理ですよ!大きな大木ぐらいあるんですよ!?」

シオンの『みんな大好きウッドゴーレムちゃん』のサイズは人と同じほどの大きさである。
とても抜けるとは思えなかった。

「大丈夫よ♪この可哀想な龍王様を助けましょう!」

シオンはスピカ達に離れるよう伝えると、全身の魔力を溜め始めた。

はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

『これは!?なんという魔力だ!?我と同等の力を持っておるのか!』

龍王すら驚愕する魔力にシオンは気付いていない。そして魔力が臨界に達すると叫んだ!

「緑聖魔術!『特大ウッドゴーレム』×4体召喚!!!』

シオンのみんな大好きウッドゴーレムちゃんが現れた!

「「うっそーーーーーーーーーー!!!!!!」」

スピカとスフィアはお互いに抱き付きながら叫んだ!

そこには龍王と同じぐらい大きいウッドゴーレム達が召喚されたからだった。しかも4体も!?

「さぁ!みんな!いっせーのーでで引っこ抜くよ~!!!!」

いっせーのーでーーーーー!!!!!!

4体のウッドゴーレムはそれぞれの杭を掴むと、シオンの合図で引き抜いた!

ズズズズッ…………

ドッカーーーーーーーーーーン!!!!!!

4本の杭が抜けると同時に、巨大な魔方陣が爆発と共に弾け飛んだ!

「ゲホゲホッ………あーびっくりした」

砂ぼこりにまみれたシオンは咳をしながら辺りを見渡した。

「シオンと言ったか、助けてくれて感謝する!」

鎖で縛られていた龍王様は起き上がり、身体をほぐしていた。

うんうん!良いことはするもんだよ♪

笑顔の表情のシオンと違い、スピカとスフィアはこの巨大な龍が人間達に復讐のため暴れたらどうしようと、抱き合いながら震えていたのだった。




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