11 / 100
語るも涙、聴くのも涙?
しおりを挟む
古龍は話し出した。
昔話である。
「かつて我は龍族を束ねる王であった。そしてこの大陸の全てを統一する一大勢力を築いた。そこには人族、獣人、エルフ、ドワーフなどがいた。我らは圧政は引いてはいなかったが、龍族に支配されているのが、気に入らない者達が反旗を翻した。従来であれば圧倒的な力を持つ我らの圧勝であったが、この【世界の女神】に力を授けられた者達の力は強大であった。お互いに総力戦となった。しかし絶対数で劣っていた我らは次第に圧されていった。我らが劣勢と見るや、静観していた者達まで戦に加わった事で我らは敗北し、この大陸の………ここから海の向こう島に逃げることになったのだ」
シオンは腕を組みながら真剣に聞いていた。この大陸の歪んだ歴史の真実を知ることができているからだ。
「圧政は敷いていなくても、下いるものは絶対的強者に恐怖を抱くものなのよね。いつでも気分次第で殺されるかもと思うと、一部の人々の謀叛は理解できるし、施政者としてなぜ反乱が起こったか、分からなかった龍王様の気持ちも理解できるわ」
上の者に下の者の気持ちが、わからないという典型的な関係のもつれなのだ。第三者視点だからこそ客観的にわかったのだ。
「………我は同胞を逃がすために殿を務めた。数多くの敵を屠ったが、傷付きこの罠に誘導されて以降このままだ。この罠は我の魔力を使い半永久的に作動し続ける。周囲の魔力も吸い上げて、我を死なないように延命させる装置もあるようだ。龍族の者達が何度も救いにきたが、近付くだけで龍族限定で魔力を奪っていく凶悪なものだった。数多くの同胞が我の為に命を落とした事で、近付いてくるものがいたら威嚇するようになったのだ」
龍王様は悔しそうに歯を噛み締めた。
「話しは分かりました。では助けましょう!」
「はっ!?」
龍王様も呆れるように呟いた。
「聞けばもう1000年ぐらい昔の話しでしょう?もうエルフぐらいしか当時を生きている人なんていないでしょう?時効よ時効!」
龍王様は何を言っているんだ?みたいな感じでシオンを見た。
「それに、龍王様を救いたいと思ったのには理由があるの!」
「なんだ?それは?」
「クソ女神のせいで迷惑を受けたって事よ!私もあの性悪女神のせいで苦労したからね!同じ同胞として助けてあげるわ♪」
「そうか………貴様も、いやお主も女神から嫌がらせを受けたのか………」
龍王様はしみじみと納得した。
「しかし、どうするのだ?この1000年もの間、我を縛り付けている強力な呪縛結界をどう壊す?」
シオンは、にぱーーー!!!と素晴らしい笑顔で龍王に言った。
「この東西南北に刺さっている【杭】を抜きます!」
!?
「シオン様!こんな大きな杭をどうやって抜くつもりですか!ウッドゴーレムでも無理ですよ!大きな大木ぐらいあるんですよ!?」
シオンの『みんな大好きウッドゴーレムちゃん』のサイズは人と同じほどの大きさである。
とても抜けるとは思えなかった。
「大丈夫よ♪この可哀想な龍王様を助けましょう!」
シオンはスピカ達に離れるよう伝えると、全身の魔力を溜め始めた。
はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
『これは!?なんという魔力だ!?我と同等の力を持っておるのか!』
龍王すら驚愕する魔力にシオンは気付いていない。そして魔力が臨界に達すると叫んだ!
「緑聖魔術!『特大ウッドゴーレム』×4体召喚!!!』
シオンのみんな大好きウッドゴーレムちゃんが現れた!
「「うっそーーーーーーーーーー!!!!!!」」
スピカとスフィアはお互いに抱き付きながら叫んだ!
そこには龍王と同じぐらい大きいウッドゴーレム達が召喚されたからだった。しかも4体も!?
「さぁ!みんな!いっせーのーでで引っこ抜くよ~!!!!」
いっせーのーでーーーーー!!!!!!
4体のウッドゴーレムはそれぞれの杭を掴むと、シオンの合図で引き抜いた!
ズズズズッ…………
ドッカーーーーーーーーーーン!!!!!!
4本の杭が抜けると同時に、巨大な魔方陣が爆発と共に弾け飛んだ!
「ゲホゲホッ………あーびっくりした」
砂ぼこりにまみれたシオンは咳をしながら辺りを見渡した。
「シオンと言ったか、助けてくれて感謝する!」
鎖で縛られていた龍王様は起き上がり、身体をほぐしていた。
うんうん!良いことはするもんだよ♪
笑顔の表情のシオンと違い、スピカとスフィアはこの巨大な龍が人間達に復讐のため暴れたらどうしようと、抱き合いながら震えていたのだった。
昔話である。
「かつて我は龍族を束ねる王であった。そしてこの大陸の全てを統一する一大勢力を築いた。そこには人族、獣人、エルフ、ドワーフなどがいた。我らは圧政は引いてはいなかったが、龍族に支配されているのが、気に入らない者達が反旗を翻した。従来であれば圧倒的な力を持つ我らの圧勝であったが、この【世界の女神】に力を授けられた者達の力は強大であった。お互いに総力戦となった。しかし絶対数で劣っていた我らは次第に圧されていった。我らが劣勢と見るや、静観していた者達まで戦に加わった事で我らは敗北し、この大陸の………ここから海の向こう島に逃げることになったのだ」
シオンは腕を組みながら真剣に聞いていた。この大陸の歪んだ歴史の真実を知ることができているからだ。
「圧政は敷いていなくても、下いるものは絶対的強者に恐怖を抱くものなのよね。いつでも気分次第で殺されるかもと思うと、一部の人々の謀叛は理解できるし、施政者としてなぜ反乱が起こったか、分からなかった龍王様の気持ちも理解できるわ」
上の者に下の者の気持ちが、わからないという典型的な関係のもつれなのだ。第三者視点だからこそ客観的にわかったのだ。
「………我は同胞を逃がすために殿を務めた。数多くの敵を屠ったが、傷付きこの罠に誘導されて以降このままだ。この罠は我の魔力を使い半永久的に作動し続ける。周囲の魔力も吸い上げて、我を死なないように延命させる装置もあるようだ。龍族の者達が何度も救いにきたが、近付くだけで龍族限定で魔力を奪っていく凶悪なものだった。数多くの同胞が我の為に命を落とした事で、近付いてくるものがいたら威嚇するようになったのだ」
龍王様は悔しそうに歯を噛み締めた。
「話しは分かりました。では助けましょう!」
「はっ!?」
龍王様も呆れるように呟いた。
「聞けばもう1000年ぐらい昔の話しでしょう?もうエルフぐらいしか当時を生きている人なんていないでしょう?時効よ時効!」
龍王様は何を言っているんだ?みたいな感じでシオンを見た。
「それに、龍王様を救いたいと思ったのには理由があるの!」
「なんだ?それは?」
「クソ女神のせいで迷惑を受けたって事よ!私もあの性悪女神のせいで苦労したからね!同じ同胞として助けてあげるわ♪」
「そうか………貴様も、いやお主も女神から嫌がらせを受けたのか………」
龍王様はしみじみと納得した。
「しかし、どうするのだ?この1000年もの間、我を縛り付けている強力な呪縛結界をどう壊す?」
シオンは、にぱーーー!!!と素晴らしい笑顔で龍王に言った。
「この東西南北に刺さっている【杭】を抜きます!」
!?
「シオン様!こんな大きな杭をどうやって抜くつもりですか!ウッドゴーレムでも無理ですよ!大きな大木ぐらいあるんですよ!?」
シオンの『みんな大好きウッドゴーレムちゃん』のサイズは人と同じほどの大きさである。
とても抜けるとは思えなかった。
「大丈夫よ♪この可哀想な龍王様を助けましょう!」
シオンはスピカ達に離れるよう伝えると、全身の魔力を溜め始めた。
はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
『これは!?なんという魔力だ!?我と同等の力を持っておるのか!』
龍王すら驚愕する魔力にシオンは気付いていない。そして魔力が臨界に達すると叫んだ!
「緑聖魔術!『特大ウッドゴーレム』×4体召喚!!!』
シオンのみんな大好きウッドゴーレムちゃんが現れた!
「「うっそーーーーーーーーーー!!!!!!」」
スピカとスフィアはお互いに抱き付きながら叫んだ!
そこには龍王と同じぐらい大きいウッドゴーレム達が召喚されたからだった。しかも4体も!?
「さぁ!みんな!いっせーのーでで引っこ抜くよ~!!!!」
いっせーのーでーーーーー!!!!!!
4体のウッドゴーレムはそれぞれの杭を掴むと、シオンの合図で引き抜いた!
ズズズズッ…………
ドッカーーーーーーーーーーン!!!!!!
4本の杭が抜けると同時に、巨大な魔方陣が爆発と共に弾け飛んだ!
「ゲホゲホッ………あーびっくりした」
砂ぼこりにまみれたシオンは咳をしながら辺りを見渡した。
「シオンと言ったか、助けてくれて感謝する!」
鎖で縛られていた龍王様は起き上がり、身体をほぐしていた。
うんうん!良いことはするもんだよ♪
笑顔の表情のシオンと違い、スピカとスフィアはこの巨大な龍が人間達に復讐のため暴れたらどうしようと、抱き合いながら震えていたのだった。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
二人の男爵令嬢の成り上がり!でも、結末は──
naturalsoft
恋愛
オーラシア大陸の南に姉妹国と呼ばれる二つの国があった。
西側のアネーデス王国
東側のイモート王国
過去にはお互いの王族を嫁がせていた事もあり、お互いにそれぞれの王族の血が受け継がれている。
そして、アネーデス王国で周辺国を驚かすニュースが大陸を駆け抜けた。
その国のとある男爵令嬢が、王太子に見初められ【正しい正規の手続き】を踏んで、王太子妃になったのである。
その出来事から1年後、隣のイモート王国でも、その国の男爵令嬢が【第一王子】の【婚約者】になったと騒がれたのだった。
しかし、それには公衆の面前で元婚約者に婚約破棄を突き付けたりと、【正規の手続きを踏まず】に決行した悪質なやり方であった。
この二人の結末はいかに──
タイトルイラスト
素材提供
『背景素材屋さんみにくる』
悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる