44 / 117
個性を伸ばしましょう
しおりを挟む
シオンは腕を組んで考えた。
「うんうん、周りからの重圧って辛いよねぇ~でもね、それなら自分だけの強みを作ればいいのよ」
「自分だけの強み………?」
シオンは例を挙げて言いました。
「例えば、ルーク皇王の妹であるシーラ公爵令嬢は、女なのに剣の腕を磨いて騎士団長まで上り詰めました」
「すごい…………!?」
そしてシオンは続けて言いました。
「イオン皇女はおてんば娘のシーラとは違います。心の優しいイオン皇女なら音楽や芸術を極めては如何でしょうか?ねっ、ルーク皇王陛下」
ルーク皇王も同意しました。そして、イオン皇女に謝りました。
「イオン、今まで気付かずにすまなかった。これからは抱え込まずに相談して欲しい。大切な『家族』なのだから」
イオン皇女は泣きながら父親に抱き付きました。それをルイン王子が呆然と見ていました。
「凄いな。お前の妹は。俺はイオンの事を全然気づかなかった」
「なら、これから気遣えばいい。大事な妹なら………ね。少し羨ましいけどな」
「どうしてだ?」
ルイン王子は不思議そうな顔でペルセウスの顔をみた。
「うちは妹のシオンの方がしっかりしているから、負けられないんだ」
「お前も大変なんだな。だが、妹を助けてくれたことは感謝する」
「あ~、それはまだかも」
うん?
どういうことだ?
ペルセウスの曖昧な言葉に首を傾げる。
すると、シオンがメイドに言って何か運ばせてきた。
「なんだ?」
よく見ると子供用のピアノだった。
「じゃじゃーん!ピアノなのです!」
「うん、ピアノ………」
いやいや、ツッコミ入れてくれないと寒いでしょう!
「まっ、いいでしょう。イオン皇女様、私がピアノの弾くので聞いて下さいな」
「シオン様はピアノが弾けるですね♪」
同世代の女の子で、何ができるのか珍しそうに見守るイオン皇女は興味津々である。
シオンが弾いたのはアガレス王国の国歌であった。
何故にそのチョイス!?
と、皇王は思ったが、すぐに考えを改めた。
「いいですかイオン皇女。王族として生まれた以上完璧さは求められます。でも、兄のルイン王子のマネをして欲しい訳ではありません。自分らしさの『個性』を極めればいいのです」
「個性………」
シオンはそのままアガレス王国の国歌を弾きながら歌った。
そして終わったと思ったら再度弾き直した。
それは、大元のメロディは同じだが、弾き方や音の弾み方、スピードなどアレンジされており、よりポップな感じの若者向けになっていた。
「ふぅ~どうでしょう?」
「す、凄かったです!同じ曲なのに全然違う音楽になっていました!」
イオン皇女は大興奮だった。
「これが個性です。同じでも同じではない自分らしさ、これが個性と言うものです。イオン皇女にも個性を伸ばして、周囲の評価を塗り替えれば良いのですわ」
「はいっ!わかりましたわ!!!」
今までで1番はっきりした返事であった。
「あ、あのシオン様!良かったらお、お友達になってくれません………か?」
必死に勇気を出して言ったイオン皇女の手をシオンは握った。
「光栄ですわ。イオン皇女、どうか私の事はシオンと呼び捨てで、お呼び下さい」
「では私の事も二人の時はイオンと」
はにかむイオン皇女の笑顔には不安が消え去り輝いていた。
その姿を見てペルセウスは、またやらかしたなぁ~と思った。
後にイオン皇女はピアノにのめり込み、若くして隣国まで聞こえるピアニストとして成長していく事になる。
成人したイオン皇女は、いつまでもこの日の出来事を人生の分岐点として、想い出として生涯忘れないのであった。
そしてシオンは1人の人生を変えた事に気付いていなかった。
別にピアノじゃくても、バイオリンなどでも良いのよ?
と、呑気に考えていたのは秘密である。
「うんうん、周りからの重圧って辛いよねぇ~でもね、それなら自分だけの強みを作ればいいのよ」
「自分だけの強み………?」
シオンは例を挙げて言いました。
「例えば、ルーク皇王の妹であるシーラ公爵令嬢は、女なのに剣の腕を磨いて騎士団長まで上り詰めました」
「すごい…………!?」
そしてシオンは続けて言いました。
「イオン皇女はおてんば娘のシーラとは違います。心の優しいイオン皇女なら音楽や芸術を極めては如何でしょうか?ねっ、ルーク皇王陛下」
ルーク皇王も同意しました。そして、イオン皇女に謝りました。
「イオン、今まで気付かずにすまなかった。これからは抱え込まずに相談して欲しい。大切な『家族』なのだから」
イオン皇女は泣きながら父親に抱き付きました。それをルイン王子が呆然と見ていました。
「凄いな。お前の妹は。俺はイオンの事を全然気づかなかった」
「なら、これから気遣えばいい。大事な妹なら………ね。少し羨ましいけどな」
「どうしてだ?」
ルイン王子は不思議そうな顔でペルセウスの顔をみた。
「うちは妹のシオンの方がしっかりしているから、負けられないんだ」
「お前も大変なんだな。だが、妹を助けてくれたことは感謝する」
「あ~、それはまだかも」
うん?
どういうことだ?
ペルセウスの曖昧な言葉に首を傾げる。
すると、シオンがメイドに言って何か運ばせてきた。
「なんだ?」
よく見ると子供用のピアノだった。
「じゃじゃーん!ピアノなのです!」
「うん、ピアノ………」
いやいや、ツッコミ入れてくれないと寒いでしょう!
「まっ、いいでしょう。イオン皇女様、私がピアノの弾くので聞いて下さいな」
「シオン様はピアノが弾けるですね♪」
同世代の女の子で、何ができるのか珍しそうに見守るイオン皇女は興味津々である。
シオンが弾いたのはアガレス王国の国歌であった。
何故にそのチョイス!?
と、皇王は思ったが、すぐに考えを改めた。
「いいですかイオン皇女。王族として生まれた以上完璧さは求められます。でも、兄のルイン王子のマネをして欲しい訳ではありません。自分らしさの『個性』を極めればいいのです」
「個性………」
シオンはそのままアガレス王国の国歌を弾きながら歌った。
そして終わったと思ったら再度弾き直した。
それは、大元のメロディは同じだが、弾き方や音の弾み方、スピードなどアレンジされており、よりポップな感じの若者向けになっていた。
「ふぅ~どうでしょう?」
「す、凄かったです!同じ曲なのに全然違う音楽になっていました!」
イオン皇女は大興奮だった。
「これが個性です。同じでも同じではない自分らしさ、これが個性と言うものです。イオン皇女にも個性を伸ばして、周囲の評価を塗り替えれば良いのですわ」
「はいっ!わかりましたわ!!!」
今までで1番はっきりした返事であった。
「あ、あのシオン様!良かったらお、お友達になってくれません………か?」
必死に勇気を出して言ったイオン皇女の手をシオンは握った。
「光栄ですわ。イオン皇女、どうか私の事はシオンと呼び捨てで、お呼び下さい」
「では私の事も二人の時はイオンと」
はにかむイオン皇女の笑顔には不安が消え去り輝いていた。
その姿を見てペルセウスは、またやらかしたなぁ~と思った。
後にイオン皇女はピアノにのめり込み、若くして隣国まで聞こえるピアニストとして成長していく事になる。
成人したイオン皇女は、いつまでもこの日の出来事を人生の分岐点として、想い出として生涯忘れないのであった。
そしてシオンは1人の人生を変えた事に気付いていなかった。
別にピアノじゃくても、バイオリンなどでも良いのよ?
と、呑気に考えていたのは秘密である。
18
お気に入りに追加
234
あなたにおすすめの小説
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
鈴宮(すずみや)
恋愛
王族の秘書(=内侍)として城へ出仕することになった、公爵令嬢クララ。ところが内侍は、未来の妃に箔を付けるために設けられた役職だった。
おまけに、この国の王太子は未だ定まっておらず、宰相の娘であるクララは第3王子フリードの内侍兼仮の婚約者として王位継承戦へと巻き込まれていくことに。
けれど、運命の出会いを求めるクララは、政略結婚を受け入れるわけにはいかない。憧れだった宮仕えを諦めて、城から立ち去ろうと思っていたのだが。
「おまえはおまえの目的のために働けばいい」
フリードの側近、コーエンはそう言ってクララに手を差し伸べる。これはフリードが王太子の座を獲得するまでの期間限定の婚約。その間にクララは城で思う存分運命の出会いを探せば良いと言うのだ。
クララは今日も、運命の出会いと婚約破棄を目指して邁進する。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる