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思わぬ臨時収入
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アルトの言葉に固まってしまう。
マズイわ!
どうしてバレたの!?
冷や汗を掻きながらどう言い訳しようか考えていると───
「なぜアルトがここにおるのじゃ?」
ちょうど散歩から帰ってきた父親である先王カイルがやってきた。
「おや?お久しぶりです父上。それより、この『女性』についてお聞きしたいのですが?」
!?
カイルは視線をシオンに向けると、シオンは必死に目をパチパチさせてアイコンタクトをした。先王は聞かれてはマズイ話があると感じてフォローした。
「うむ。ここで立ち話も何だ。イージス男爵殿、応接室で話しても良いかな?」
「は、はい!大丈夫です。どうぞ!」
シオンの父は屋敷の中へ案内した。
応接室へ入ったシオン達は向かい合う様に座り、しばらく無言が続いた。
「お、お茶をお持ちしました」
イージス男爵自らがお茶を持ってきてテーブルに置いた。
「ありがとう。でっ、そろそろご説明お願い致しますよ。父上」
真っ直ぐに先王を見詰めて言った。
「説明とはどういうことじゃ?そもそもお主はどういう理由でここにきたのじゃ?」
アルトはハッとしてカバンから書類を出して渡した。
「私がここにきた理由は3つあります。まず1つは、守護精霊アリエル様が顕現された教会の確認。2つ目は父上の様子を見てくる事。3つ目はイージス男爵に調査の結果をお伝えする事です」
1つ目と2つ目はわかるが、3つ目の調査とはいったい?
首を傾げるイージス男爵にアルトは言った。
「父上からお土産に頂いたこの領地で作られている地酒『精霊の水』が、不当に【転売】されていた問題についてです。イージス男爵が卸していたこの地酒が、ヴァーボンド伯爵家で中身を入れ替えられて金貨10枚で売られていました」
「「金貨10枚!?」」
シオンと父親はお互いに叫んだ。
お互いに顔を見合わせて、どういうこと?と目を開いていた。
「やはり知りませんでしたか。父上のお土産に飲ませて頂いた地酒がヴァーボンド伯爵が売り出している酒と同じ味でしたので調べました。お時間が掛かってしまい申し訳ございません」
アルトは頭を下げた。
「いえ、我々は全然気付いていなかったのです。不正を見つけて頂きありがとうございました!」
王弟殿下に頭を下げられ慌てるイージス男爵だった。
「それと、こちらをお持ちしました」
アルトは側近に目配りをすると、台車に載せた大きなトランクを10箱運んできた。
「これはいったい?」
アルトは1つトランクを開けて見せた。
「1つのトランクに金貨が200枚入っています。イージス男爵が本来受け取っていたはずの5年間分の売上です。どうぞお受け取り下さい」
!?
1つのトランクに金貨200枚と言うことは10箱で2000枚!?
余りの大金にイージス男爵が震えているとアルトは優しく言った。
「ヴァーボンド伯爵は先程、金貨10枚で販売しているとお伝えしましたが、流通量が少数でプレミアがついて金貨20枚以上で売れる事もザラでした。約5年前から販売していた分も含めると少ないでしょうが、これで許して頂けないでしょうか?」
イージス男爵はコクコクッと壊れた玩具の様に頷いた。
「それと、1つお願いがあります」
ピキッ!?
これほどの大金だ。どんな無茶なお願いをされるのか戦慄が走った。
「この地酒の生産量を最低3倍に上げて金貨1枚で卸して頂けないでしょうか?」
アルトの提案は予想外の言葉だった。
マズイわ!
どうしてバレたの!?
冷や汗を掻きながらどう言い訳しようか考えていると───
「なぜアルトがここにおるのじゃ?」
ちょうど散歩から帰ってきた父親である先王カイルがやってきた。
「おや?お久しぶりです父上。それより、この『女性』についてお聞きしたいのですが?」
!?
カイルは視線をシオンに向けると、シオンは必死に目をパチパチさせてアイコンタクトをした。先王は聞かれてはマズイ話があると感じてフォローした。
「うむ。ここで立ち話も何だ。イージス男爵殿、応接室で話しても良いかな?」
「は、はい!大丈夫です。どうぞ!」
シオンの父は屋敷の中へ案内した。
応接室へ入ったシオン達は向かい合う様に座り、しばらく無言が続いた。
「お、お茶をお持ちしました」
イージス男爵自らがお茶を持ってきてテーブルに置いた。
「ありがとう。でっ、そろそろご説明お願い致しますよ。父上」
真っ直ぐに先王を見詰めて言った。
「説明とはどういうことじゃ?そもそもお主はどういう理由でここにきたのじゃ?」
アルトはハッとしてカバンから書類を出して渡した。
「私がここにきた理由は3つあります。まず1つは、守護精霊アリエル様が顕現された教会の確認。2つ目は父上の様子を見てくる事。3つ目はイージス男爵に調査の結果をお伝えする事です」
1つ目と2つ目はわかるが、3つ目の調査とはいったい?
首を傾げるイージス男爵にアルトは言った。
「父上からお土産に頂いたこの領地で作られている地酒『精霊の水』が、不当に【転売】されていた問題についてです。イージス男爵が卸していたこの地酒が、ヴァーボンド伯爵家で中身を入れ替えられて金貨10枚で売られていました」
「「金貨10枚!?」」
シオンと父親はお互いに叫んだ。
お互いに顔を見合わせて、どういうこと?と目を開いていた。
「やはり知りませんでしたか。父上のお土産に飲ませて頂いた地酒がヴァーボンド伯爵が売り出している酒と同じ味でしたので調べました。お時間が掛かってしまい申し訳ございません」
アルトは頭を下げた。
「いえ、我々は全然気付いていなかったのです。不正を見つけて頂きありがとうございました!」
王弟殿下に頭を下げられ慌てるイージス男爵だった。
「それと、こちらをお持ちしました」
アルトは側近に目配りをすると、台車に載せた大きなトランクを10箱運んできた。
「これはいったい?」
アルトは1つトランクを開けて見せた。
「1つのトランクに金貨が200枚入っています。イージス男爵が本来受け取っていたはずの5年間分の売上です。どうぞお受け取り下さい」
!?
1つのトランクに金貨200枚と言うことは10箱で2000枚!?
余りの大金にイージス男爵が震えているとアルトは優しく言った。
「ヴァーボンド伯爵は先程、金貨10枚で販売しているとお伝えしましたが、流通量が少数でプレミアがついて金貨20枚以上で売れる事もザラでした。約5年前から販売していた分も含めると少ないでしょうが、これで許して頂けないでしょうか?」
イージス男爵はコクコクッと壊れた玩具の様に頷いた。
「それと、1つお願いがあります」
ピキッ!?
これほどの大金だ。どんな無茶なお願いをされるのか戦慄が走った。
「この地酒の生産量を最低3倍に上げて金貨1枚で卸して頂けないでしょうか?」
アルトの提案は予想外の言葉だった。
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