60 / 60
エピローグ!
しおりを挟む
大規模な人間達の侵攻は失敗に終わり、攻めている間に、主要な城や砦を破壊された人間達の王族や貴族は肩身の狭い暮らしを強いられた。
住む場所がなく、空いていた平民の家で暮らさないといけなくなったからだ。
贅沢な暮らしに慣れていた王公貴族達は、平民に命令して、急いで城や屋敷を作るよう命じたが、働き手の亜人達が居なくなって、自分達で農作業や鍛冶をしなければならなくなった平民に、そのような余裕がなく、各地で暴動が起こり、多くの王公貴族達が平民に殺された。
これにより、生き残ったお金も武力もない王公貴族達は大人しくなり、自分達も働くようになったのである。
そして数十年が過ぎた──
人間達の大陸は人間同士の戦争もあり、かつて7ヵ国あった内、4ヵ国まで減っていたが、ようやく国内の情勢は落ち着きを取り戻していた。一時は盗賊や魔物が多く出没し、家から出られないほど荒んだが、ここでシオンが一役買ったのである。
シオンは街や村を襲う盗賊や魔物を亜人達を使い助けて行ったのである。
最初は驚き、戸惑う人間達だったが、統率の取れた魔王軍は、市民に危害を加えることはなく立ち去るため、数年も経った時には歓迎される存在となっていた。
こうして、魔王シオンの涙ぐましい努力は実を結び、数十年経って正式に人間達との交流をすることになったのである。
まだ過去の事を覚えている者もいたが、この辛い数十年に比べたら、暮らしを良くしてくれる魔王には文句を言う者は居なかった。
逆に、小さな子供達は街や村を救って後、すぐに転移門で消えてしまう魔王軍を英雄のように見る者が多かった。
そして──
『魔王シオン、この度は私の管理する世界を正して頂きありがとうございました』
「あれ?女神様?ご無沙汰しております。ってか、酷いじゃないですかー!魔王の娘に転生なんて聞いてませんでしたよ!?」
『ごめんなさい。詳しく説明すると断られると思って。でも、シオンはやってくれました。本当に感謝しています』
「まぁ、苦労したからね!」
『そうですね。私は弱い人間を守るために勇者をそのつど召喚して送り込みましたが、魔王側がどうして人間国を狙うのか考えていませんでした。他の異世界と同様に、それが当たり前だと思っていたからです。でもそれが人間を増長させて、人間が【人間の皮を被った悪魔】となってしまいました。これは私の罪です』
「そんなに自分を悲観しなくても良いじゃないですか?少なくとも、私は戸惑いましたが、今は感謝してますよ?」
ちょうどシオンの個人部屋の扉が開き、誰か入ってきた。
「おかあさま、えほんよんでー」
「ずるい!わたしもよんでほしいのー」
双子の姉妹が入ってきた。
「あらあら、良いわよ。二人とも好きな絵本読んであげるから」
そう、シオンの子供である。
『………シオン本当にありがとう。お幸せに』
女神の声はそれっきり聞こえなくなった。
「女神様、ここに連れてきてくれてこちらこそありがとう」
姉妹はシオンの言葉に首を傾げた。
「ごめんなさいね。さぁ、どんな絵本を読んで欲しいの?」
姉妹は一緒に読んで欲しい絵本をシオンに差し出した。
「えっと、なんの絵本かしら?」
姉妹が差し出した絵本のタイトルはこう書かれていた。
【異世界転生したら、人間を滅ぼす魔王の娘に転生しました。】
END
最後までお読み頂きありがとうございました!
住む場所がなく、空いていた平民の家で暮らさないといけなくなったからだ。
贅沢な暮らしに慣れていた王公貴族達は、平民に命令して、急いで城や屋敷を作るよう命じたが、働き手の亜人達が居なくなって、自分達で農作業や鍛冶をしなければならなくなった平民に、そのような余裕がなく、各地で暴動が起こり、多くの王公貴族達が平民に殺された。
これにより、生き残ったお金も武力もない王公貴族達は大人しくなり、自分達も働くようになったのである。
そして数十年が過ぎた──
人間達の大陸は人間同士の戦争もあり、かつて7ヵ国あった内、4ヵ国まで減っていたが、ようやく国内の情勢は落ち着きを取り戻していた。一時は盗賊や魔物が多く出没し、家から出られないほど荒んだが、ここでシオンが一役買ったのである。
シオンは街や村を襲う盗賊や魔物を亜人達を使い助けて行ったのである。
最初は驚き、戸惑う人間達だったが、統率の取れた魔王軍は、市民に危害を加えることはなく立ち去るため、数年も経った時には歓迎される存在となっていた。
こうして、魔王シオンの涙ぐましい努力は実を結び、数十年経って正式に人間達との交流をすることになったのである。
まだ過去の事を覚えている者もいたが、この辛い数十年に比べたら、暮らしを良くしてくれる魔王には文句を言う者は居なかった。
逆に、小さな子供達は街や村を救って後、すぐに転移門で消えてしまう魔王軍を英雄のように見る者が多かった。
そして──
『魔王シオン、この度は私の管理する世界を正して頂きありがとうございました』
「あれ?女神様?ご無沙汰しております。ってか、酷いじゃないですかー!魔王の娘に転生なんて聞いてませんでしたよ!?」
『ごめんなさい。詳しく説明すると断られると思って。でも、シオンはやってくれました。本当に感謝しています』
「まぁ、苦労したからね!」
『そうですね。私は弱い人間を守るために勇者をそのつど召喚して送り込みましたが、魔王側がどうして人間国を狙うのか考えていませんでした。他の異世界と同様に、それが当たり前だと思っていたからです。でもそれが人間を増長させて、人間が【人間の皮を被った悪魔】となってしまいました。これは私の罪です』
「そんなに自分を悲観しなくても良いじゃないですか?少なくとも、私は戸惑いましたが、今は感謝してますよ?」
ちょうどシオンの個人部屋の扉が開き、誰か入ってきた。
「おかあさま、えほんよんでー」
「ずるい!わたしもよんでほしいのー」
双子の姉妹が入ってきた。
「あらあら、良いわよ。二人とも好きな絵本読んであげるから」
そう、シオンの子供である。
『………シオン本当にありがとう。お幸せに』
女神の声はそれっきり聞こえなくなった。
「女神様、ここに連れてきてくれてこちらこそありがとう」
姉妹はシオンの言葉に首を傾げた。
「ごめんなさいね。さぁ、どんな絵本を読んで欲しいの?」
姉妹は一緒に読んで欲しい絵本をシオンに差し出した。
「えっと、なんの絵本かしら?」
姉妹が差し出した絵本のタイトルはこう書かれていた。
【異世界転生したら、人間を滅ぼす魔王の娘に転生しました。】
END
最後までお読み頂きありがとうございました!
0
お気に入りに追加
32
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(11件)
あなたにおすすめの小説
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜
naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。
しかし、誰も予想していなかった事があった。
「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」
すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。
「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」
──と、思っていた時期がありましたわ。
orz
これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。
おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!
【連載版】異世界に転生した少女は異世界を満喫する
naturalsoft
恋愛
読書様からの要望により、短編からの連載版になります。
短編では描き切れ無かった細かい所を記載していきたいと思います。
短編と少し設定が変わっている所がありますがご了承下さい
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ふと目が覚めると赤ちゃんになっていた。Why?私を覗き込む金髪美人のお母さんを見て、あ、異世界転生だ!と気付いた私でした。前世ではラノベを読みまくった知識を生かして、魔力?を限界まで使えば総量が増えるはず!
よし、魔力チートを目指してエンジョイするぞ♪
これは神様にあった記憶もない楽天家な少女が前世の知識で異世界を満喫する話です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ここからが意外な展開となるのです!
(゜゜;)
今回は軽く出したので意思のない普通のゴーレムでした。
m(__)m
異世界ならではの騎馬隊の防衛作を考えてあります。
次回をお楽しみに!