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狂魔化!
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飛び出して行ったシオンを追う仲間達。
「シオンはどこに向かっているのなの!」
「恐らくは、あそこだ!」
マモンは指をさした。そこは高台に建てられたこの城の王城であった。
この国は港街として栄えて、王都もここに作られた。この大陸には大小合わせて7つの国がある。
この魔大陸に一番近いこの国は中堅の国であったが貿易で資金があり、奴隷売買を目玉商品に莫大な利益を上げていた。
「まさか!城を攻めるって言うの!?」
「流石のシオンでも1人では無理だ!」
マモンはこんな所でシオンを死なす訳はいかず、リリアやシトリンはシオンを守る為に、急いでシオンの後を追うのだった。
一方シオンは─
ざざざっ
ダッダッダッ!!!!
猛スピードで王城へと続く道を駆けていた。
「グルルルッ!!!!!」
目を真っ赤に染め、角を刃の様に鋭く伸ばして駆けていた。
『そうだ!怒れ!その怒りこそ、魔王に必要な要素だ!人間を許すな!無残に殺された獣人達の怨みを晴らせ!人間を殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!』
シオンは脳内で怒りと憎しみを囁く声に、心を支配されていた。
そして城が目の前に近付いてきた時、シオンは急に立ち止まった。
「ぐぅぅぅ…………うるさい!黙れ!?」
両手を頭に当てて、その場でうずくまった。そして、頭を思いっきり地面にぶつけた。
ドシンッ!!!
額の角が地面に埋まり、強い衝撃に周囲が地震のように揺れた。
「はぁはぁ………誰かは知らないけど貴女に言われるまでもないわ。あのボロ雑巾のように打ち捨てられた遺体を見た時から、私の心は決まったのよ。他人の意思ではなく、私は自分自身の意思で『人間』を殺すわ」
ようやく頭に響いていた憎しみの声が収まり、シオンは少し先にある王城を見上げた。
暴走が収まったシオンだったが、角が先ほどより伸びていた。そこへ仲間達が追い付いてきた。
「シオン!?大丈夫なの!?」
リリアが心配そうに抱き締めてくれた。
「………ええ、大丈夫よ。心配を掛けてごめんなさい」
シオンは軽く謝ると、仲間達を見渡した。そして軽く息を吐いて伝えた。
「これからこの国の王城を攻め滅ぼすわ。私に付いてきて!」
!?
リリアを初めとして仲間達は驚いた。
「なっ─本気なの?」
「ええ、本気よ。私は考えが甘かったと認識したのよ。今の私なら躊躇なく人間を殺せるわ」
シオンの赤い目を見て大悪魔マモンは喜んだ。
「ようやく決心してくれたか!?」
「マモンおじさん、勘違いしないで?国のトップである王族達は殺すけど、人間すべてを滅ぼすつもりはないわよ?」
マモンは一瞬、顔色を変えたがすぐに元に戻した。
「今はそれで構わない。重要なのは女神の代行者であるシオンが、人間を殺したことが重要なのだ。それで、どうやって攻めるつもりなんだ?」
シオンはマモンに不敵に笑った。
「そんな事は決まっているでしょう?」
シオンはゆっくりと歩き出した。
「えっ、ちょっと、シオン?」
慌てて後を追うリリアは嫌な予感をしていた。
「…………ねぇ?これって、間違いないよね?」
「ああ、多分間違いないな………」
こうして、シオン達は城門の前にたどり着いたのだった。
「シオンはどこに向かっているのなの!」
「恐らくは、あそこだ!」
マモンは指をさした。そこは高台に建てられたこの城の王城であった。
この国は港街として栄えて、王都もここに作られた。この大陸には大小合わせて7つの国がある。
この魔大陸に一番近いこの国は中堅の国であったが貿易で資金があり、奴隷売買を目玉商品に莫大な利益を上げていた。
「まさか!城を攻めるって言うの!?」
「流石のシオンでも1人では無理だ!」
マモンはこんな所でシオンを死なす訳はいかず、リリアやシトリンはシオンを守る為に、急いでシオンの後を追うのだった。
一方シオンは─
ざざざっ
ダッダッダッ!!!!
猛スピードで王城へと続く道を駆けていた。
「グルルルッ!!!!!」
目を真っ赤に染め、角を刃の様に鋭く伸ばして駆けていた。
『そうだ!怒れ!その怒りこそ、魔王に必要な要素だ!人間を許すな!無残に殺された獣人達の怨みを晴らせ!人間を殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!』
シオンは脳内で怒りと憎しみを囁く声に、心を支配されていた。
そして城が目の前に近付いてきた時、シオンは急に立ち止まった。
「ぐぅぅぅ…………うるさい!黙れ!?」
両手を頭に当てて、その場でうずくまった。そして、頭を思いっきり地面にぶつけた。
ドシンッ!!!
額の角が地面に埋まり、強い衝撃に周囲が地震のように揺れた。
「はぁはぁ………誰かは知らないけど貴女に言われるまでもないわ。あのボロ雑巾のように打ち捨てられた遺体を見た時から、私の心は決まったのよ。他人の意思ではなく、私は自分自身の意思で『人間』を殺すわ」
ようやく頭に響いていた憎しみの声が収まり、シオンは少し先にある王城を見上げた。
暴走が収まったシオンだったが、角が先ほどより伸びていた。そこへ仲間達が追い付いてきた。
「シオン!?大丈夫なの!?」
リリアが心配そうに抱き締めてくれた。
「………ええ、大丈夫よ。心配を掛けてごめんなさい」
シオンは軽く謝ると、仲間達を見渡した。そして軽く息を吐いて伝えた。
「これからこの国の王城を攻め滅ぼすわ。私に付いてきて!」
!?
リリアを初めとして仲間達は驚いた。
「なっ─本気なの?」
「ええ、本気よ。私は考えが甘かったと認識したのよ。今の私なら躊躇なく人間を殺せるわ」
シオンの赤い目を見て大悪魔マモンは喜んだ。
「ようやく決心してくれたか!?」
「マモンおじさん、勘違いしないで?国のトップである王族達は殺すけど、人間すべてを滅ぼすつもりはないわよ?」
マモンは一瞬、顔色を変えたがすぐに元に戻した。
「今はそれで構わない。重要なのは女神の代行者であるシオンが、人間を殺したことが重要なのだ。それで、どうやって攻めるつもりなんだ?」
シオンはマモンに不敵に笑った。
「そんな事は決まっているでしょう?」
シオンはゆっくりと歩き出した。
「えっ、ちょっと、シオン?」
慌てて後を追うリリアは嫌な予感をしていた。
「…………ねぇ?これって、間違いないよね?」
「ああ、多分間違いないな………」
こうして、シオン達は城門の前にたどり着いたのだった。
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