悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

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新たな王妃!

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実家に戻ってから少しの時間が経ちました。

あの後、数日泊まってから帝国に帰りました。
王国も色々と変わりそうな時代に来ているようで、すでに第二の故郷になりつつある帝国も、負けていられません!

すでに帝国の上層部である皇帝や宰相、大臣達はシオンを王妃にすべく数ヶ月前から動き出していた。

バーネット・メイゲン伯爵令嬢は実家がお取り潰しとなり、自身も暗殺依頼を出していた為に毒杯を賜った。

そして、候補者がシオンのみとなった為に、シオンが皇帝の唯一の王妃になる事が確定した。

妃の選定の最終日になり、王城へ各王妃候補達が呼び出された。

「よく集まってくれた」

皆が集まり皇帝が挨拶を述べた。

「1年前にここに集まってくれた時が、ずっと昔の様に思えるな」

「本当にね。色々とあったからねぇ~」

シオンはボソッと呟いた。

「さて、この1年での成果の報告だが………シオン、お願いできるかな?」

「はい!」

シオンは手に持っていた資料を見せながら答えた。

「1年前にお伝えした私の計画書です。確かに予定とは違う所はありますが、帝国で採れた【砂糖】と【メープルシロップ】の生産は順調です。特に砂糖は予定より多くの生産ができております。そして、東部での大規模の【土芋】と【赤芋】の栽培ですが、初の収穫はまずまず。来年以降も規模を拡大していき、働き手に貧困者を雇い、街の治安も改善傾向にあります。各領地の収穫高の調査と、各領地に適した作物の作付けには、まだ時間が掛かりますが、領主達が友好的なので前倒しで調査が終わりそうです」

ペラペラと資料を読み上げていく。

「シャープペンシルの売上と南の王国との交易でバターやチーズの売れ行きがよく、前より高値で売れている為、売上がかなり上りました」

ここで宰相さんが追加報告してくれた。

「シオン様のおかげで、帝国の税収は右肩上りです。この1年間でシオン様が立てられた政策は軒並み成果をあげられており、少なく見積もっても利益が1000億円は超えております」

おおっ!!!と、周囲から感嘆の声が漏れた。

「いまだ政策途中の物もあるが、シオンがもたらせた功績は誰の目から見ても確かなものである!辞退したとはいえ、他の王妃候補だった、エリスとセラ令嬢もシオンに協力して政策に携わっている。これはよりよい関係を築いている証拠でもある!」

ゼノンは周囲をゆっくりと見渡してから続けた。

「よって!我が妃として皇帝の横に並び立つ者は【シオン王妃】と決定する!異論のある者は今ここで述べよ!賛成の者は大きな拍手で迎え入れて欲しい!!!」

ワアァァァァァァアアアア!!!!!!!
パチパチパチッ!!!!
パチパチパチッ!!!!

大歓声と大きな拍手の音で会場が包まれた。
反対する者は皆無であり、全ての人々が新たな王妃の誕生を祝福した。

「シオンの偉大な功績は、皆もすでに知っていたと思う。この度は事実確認の場に過ぎなかった。シオンとの婚姻の準備はすでに進んでいる。半年後に帝国を上げて結婚式を行う!」

再度、大きな歓声が上がった。
この情報はすぐに帝国中に伝えられた。

「おめでとうございます!」

多くの方から、おめでとうの言葉を頂いた。

「遂にお嬢が帝国の王妃になられるのですね!」
「ようやくここまで………」

護衛騎士の中にはハラハラと泣いている者もいた。
そんな喜びの中、リオンが浮かない顔をしていた。

「あの、ゼータさん。本当に退団されるのですか?」

「ああ、常闇の蜘蛛の幹部との戦いで自分の老いを感じた。もう若い奴らに道を譲ろうと思っている」

10代の頃から先代のオリオン辺境伯と共に戦場を駆け巡ったが、そろそろ潮時と感じていた。

「そんな顔をするな!これからのシオンお嬢……シオン王妃様を護るのはお前達なんだ!しっかりしろっ!」

「はいっ!」

後にゼータは豊富な実戦経験を元に、剣術指南役として帝国の近衛騎士の剣術の先生として名を残していく事になる。

「はぁ~」

もう1人浮かない顔の仲間がいた。

「ちょっとミスティ?どうしたのよ?」

秋桜がやってきて話を聞くことになった。

「いえ、シオンお嬢様が少し羨ましくて。私も結婚に憧れを持っているので」

そう!豊満なバディの持ち主であるミスティは、初な生娘である。夢見る乙女なのだ!

「なんだ。そんなこと?シオンお嬢様が結婚して1年内は難しいけど、1年以上経って、生活環境が整えば、お見合いとかしていいのよ?」
「えっ!?本当ですか!?」

グイグイと顔を近付けて聞いてくる!
近い!近い!!!

「シオンお嬢様も私達に幸せな家庭を築く事を望んでおられるからね。アキとハルから聞いたのよ。一気に抜けられるのは困るけど、寿退社はOKだって♪」

パァァァ!!!
ミスティはシオンに感謝した。自分の主が素晴らしい方で良かったと。

こうして、1人1人新たな人生を歩んで行く事になるのだった。




※次回最終回です!




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