悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

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帰郷!

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大歓声の中、パレード行進しながらオリオン家の屋敷に到着しました。
オリオン家は国境が破られた時に籠城できるように、城壁に囲まれた屋敷の造りになっており、領民の非難場所にもなっているために、それなりに大きかった。本館と別館が二つ、兵士宿舎が城壁の中に入っていた。
故に、千人ほどなら十分に入れる大きさなのだ。

「これがオリオン辺境伯の自宅………砦と同じような造りなのだな」
「はい。領民の非難場所でもありますから」

ゼノンの呟きにシオンが答えた。

「それと油断しないでください。いつ襲ってくるかわかりません。最大限の注意を」

!?

オレを殺しに来るのか!?
最近、自分が皇帝なんだよな?と尋ねたいのだが?

「よく帰ってきた」

声のする方を見ると歴戦の騎士と思わせるような大柄な男性が立っていた。

「お父様、ただいま戻りました」

シオンが丁寧に頭を下げて挨拶をした。

「よく帰った!もう身体は大丈夫なのか?3日間も意識不明と聞いていたが?」
「はい。急激に魔法を使った負荷のためで、人体に影響はありません。もう大丈夫です!」

シオンはえいっと腕を曲げて元気アピールをした。

「なら良いが……」

ギランッと鋭い目でゼノンを睨みつけた。

「貴様が皇帝か?」
「ああ、エスタナ帝国の皇帝ゼノンだ。シオンの………」

ガギンッ!?
いきなりシオンの父親が斬りかかり、ゼノンが自分の剣で受け止めた。

「何をする!?」
「我が天使を呼び捨てにするなど言語道断である!死ね!!!!」

!?

「ふざけるな!我が妻を呼び捨てにして何が悪い!!!!」

!?

「はあぁぁぁ!?妻だと!貴様こそふざけるな!我が天使を妻にできるわけないであろう!!!!」
「シオンの父親だからと手加減してやれば!そちらがシオンを嫁に送ったのだろうが!」

「あれはクズ王族が無理やり命令しただけで、ワシは最後まで許しておらんわ!」
「あなたに許してもらわなくとも、シオンはもうオレの妻だ!絶対に返さない!!!!」

バチバチッと火花が飛ぶエフェクトが見えたのは幻ではないだろう。

「まだ婚姻も済ませておらんだろう!白紙撤回だっ!」
「もう遅い!シオンとはもう………」

チラッとシオンの方を見る。

「お、おい!?今の言葉はなんだ?し、シオン、嘘だよな???」

シオンは顔を真っ赤にして視線を逸らした。
すでに2人はお尻ぺんぺんした仲である。
(いや、だからどんな仲だよっ!?)

「ぐ、が………」

シオンの父はそのまま気絶して倒れてしまった。

「もう!バカ!!!恥ずかしいじゃない!?」
「いや、オレ死ぬところだったんだけど!?」

とりあえず、なんとか生き残ったことで一安心した。

「さて前座は終わったわ。次がラスボスの登場よ」

今のが前座!?
ハッと思い出した。

シオンの母親のことを。
ゴクリッと喉を鳴らして進んだ。
(父親が前座……ホロリッ)

「シオンお嬢様、お帰りをお待ちしておりました」

屋敷に入るとメイドや執事達が一斉に膝を着いて忠誠の証を立てて頭を下げた。

「シオン、この者達は?」
「うちの見習いメイドや執事達よ。敵国へ向かうから、一定の実力の無い者はここでお留守番になったの」

なるほど。
今更だが、オリオン家は、メイド達にも訓練させるのだな。
ゼノンは納得した感じで案内された部屋に向かった。

通された部屋は変わった感じの部屋だった。
普通の応接室なのだが、シオンが悪ノリして作った前世での低反発ソファーに、蝋燭ではなく、電気で着くライトなど、今まで見たことのない発明品が多くあった。

「これが全てシオンの発明品なのか?壮観だな。ぜひ、便利な物は帝国でも作って欲しいものだ」
「任せて!形だけ考えたら技術者達に任せて作ってもらうから」

お金はこういう時に使わないとね!
ゼノンと話をしていると扉のノックの音がして、お母様が入ってきた。

「あら?お話が弾んでいるようね?」
「あ、お母様!お久しぶりです」

シオンはマリアに抱きついたが、マリアは前回と同じくシオンの顔を両手でガシッと掴んだ。
あ、私死んだ・・・

シオンは冷や汗を掻きながらジロジロとマリアはシオンを『診察』した。

「本当に大丈夫みたいね。心配したのよ?」

マリアは今度こそ優しく抱きしめるのだった。






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