悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

naturalsoft

文字の大きさ
上 下
97 / 106

大詰め

しおりを挟む
シオン達は帝国国内の最後の大掃除をしようと帝国兵を引かせた。

「敵の数はわかる?」

秋桜が答えた。

「はっ!約30人ほどかと」
「まだそこそこいるわね。でもハルとアキ、そして秋桜がいるから大丈夫よね?」

三人は視線を交わすと頷いた。

「秋桜ねぇさんがいるなら百人力です!」
「久しぶりに三人で戦えるのね」

少し年上の秋桜はハル、アキの姉貴分なのだ。怪我で戦闘は避けて諜報活動に勤しんでいた。
しかしすでに怪我も癒えて、戦線復帰と言う訳だ。

「それにゼノンやゼファー伯爵、ブルーネット公爵もいるのよ?主要人が前線にいるせいでエリスも部隊の指揮を頑張っている。負けられないわね!」

集まったメンバーは頷くと屋敷の正面入口に向かった。

「チッ!また誰か来やがったぞっ!!!」

見張の声が聞こえた。
シオンは大きく息をすると大声で言った。声に風魔法を乗せたので遠くまで響いた。

「私はシオン・オリオン!今度、王妃になる者よ!帝国の膿を出すべく、裏稼業の組織を潰して回っていたのは、この私よ!私を殺せるものなら殺してみなさい!」

!?

屋敷にいた裏稼業の者達の殺気が膨れ上がるのがわかった。

「全く、うちの嫁さんは自分を追い込むのが好きだな。だが、それは許さない」

ゼノンはシオンの後に叫んだ。

「聞けっ!オレは帝国の皇帝ゼノンだ!かつての皇帝だった奴らの負の遺産を精算するつもりで、オレが指示を出した!新たな帝国には貴様らは不要だ!さっさと逃げていれば死なずに済んだものを。これより帝国に仇なす者として殲滅する!!!!」

シオンが城門を魔法でぶち破った!

ドーーーーーーーーーン!!!!!!!!

「さて、行きますか!」

シオン達はゆっくりと屋敷の敷地内に入ると、屋敷の前には大きな庭があり入口でメイゲン伯爵が脂汗を掻きながらシオン達を睨みつけていた。

「貴様ら!?こんなことをしてタダですむと思うなよ!ワシには北の国との繋がりがあるのだ!ワシに手を出せば戦争になるぞ!それが嫌ならさっさと皇帝陛下に進言しに戻るがいい!!!!」

あら?
だいぶんお疲れね。今の声が聞こえて無かったのかしら?
視線をゼノンに向けるとゼノンは愉快そうにメイゲン伯爵に言った。

「おいおい、オレの顔を忘れたか?少し前にも街の城壁であったばかりだろう?」
「誰だ!きさ───!?」

!?

メイゲン伯爵はようやくゼノン皇帝に気付いた。目に認識はしていたが、まさか皇帝がこんな前線に出てきているとは思ってもみなかった為、脳が認識しなかったのだ。

「ゼノン皇帝陛下!?」

「メイゲン伯爵、残念だ。もう捕まえる段階は過ぎている。貴様が北の国から、禁制の毒薬を仕入れていたのも調べがついている」

メイゲン伯爵は目を開いて驚いていた。

「ゼノン、禁制の毒薬ってなに?」
「いわゆる媚薬の一種だ。皇帝ともなると、今まで毎日別の妃を抱かないといけなかった。それ故に精力剤が必要だったらしい。だが、メイゲン伯爵が用意した媚薬は中毒性が高く、常用すると思考が麻痺して、常に酩酊しているような状態になり、快楽の事しか考えられなくなる薬だった。歴代の皇帝に飲ませて思考を無くさせ、傀儡にしていたのだ!」

!?

「しかも貴様は各妃にそれを渡して皇帝に服用させた。流石の歴代の皇帝も寵愛の薄い妃の物は口にしなかったが、寵愛をしている妃からの物は口にしていただろう。全ての妃達が裏では手を結んでいた訳だ。そして貴様は政治からは一歩引いたところから、各妃の実家などの弱みを握り、今まで金だけ巻き上げていたのだ!それが歴代のメイゲン伯爵家の裏の顔だ」

「なんておぞましい!」
「今まで最初は聡明な皇帝いたが、帝位について妃を娶るとだんだん政治に無関心になっていたのはそんな理由があったのか………」

ゼノンは腰の剣を抜いて突きつけた。

「潔く腹を切れ!貴様には毒杯など生ぬるい!」

ブルブル震えていたメイゲン伯爵は顔をあげると般若のような恐ろしい顔で言い放った!

「もはやこれまで!出会えい!出会えい!!!!この狼藉者達を斬り捨てろ!!!貴様達も恨みがあるだろう!思い知らすのだ!!!!ここを切り抜けたら北の城門から脱出する!!!!!」


ザザザッッッ!!!!!
隠れていた裏稼業の敵が四方八方から現れた。

「囲まれましたね」
「この程度、問題ない」
「さっきは良いところを見せれなかったから頑張ります!」

シオン達は最後の大掃除に入るのだった。

しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

処理中です...