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イレギュラー
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シオンの護衛騎士達は北側の城門に向かいそこを制圧した。北側の国境の城門にはほとんど兵士が配備されておらず制圧はすぐに終わった。
「まったく物足りねぇな」
「そうですね。この程度では戦った内に入りませんね」
ゼータは正直、不感燃焼だった。
「本当にね。こんなんじゃ前回の汚名返上にならないわよ」
エリザもため息を付いた。
しかし、口で不満を言っても油断はしていなかった。
!?
シュタタタタ!!!!
突然、手裏剣が飛んできて仲間達は後方に飛んで避けた。
「へぇ~?サラグモごときにやられたと聞いていたが、反応はなかなかいいんじゃねぇーの?」
ゼータは驚いた。
「おいおい、なんでてめぇが、こんな所にいやがる?」
城壁を見上げるとジグモと初めてみる着物の女がいた。
「なぁーに、帝国を去る前にここの伯爵が倒さる所を見ようかと思っていたら、お前達が来たのでな。まったく、運命を感じるぜぇ?」
「お前と運命なんて気持ちの悪い物はないな。それより隣りのべっぴんさんは大丈夫なのか?」
視線を女に送ると───
「うふふっ、お初ですなぁ~。うちはジョロウグモと言います。良しなになぁ~」
!?
幹部クラスとわかり、女でも警戒レベルを最大限に引き上げた。
ジョロウグモは遊郭の高級娼婦のように胸元の開いた魅惑な着物を着ていた。手には【大きな扇】を持っていた。
「今回は殺る気か?」
「さて、どうすっかなぁ~?」
バカにしている様にジグモは答えた。
護衛騎士達は油断せず武器を構えた。
「いいのか?そんな所にいて?」
ゼータの問にジグモは首を傾げた。
「なんのこと───」
!?
ジグモはとっさに身体を捻ると、自分の首があった場所に刃が通った。
「チッ!?」
いつの間にか背後に迫っていたハルだった。
「おやおや、危のぅございますなぁ~~」
ジョロウグモにもアキが攻撃していたが、こちらは余裕がありそうに避けた。
2人はそのまま城壁から地上へと落ちた。
いや降りたと言った方が正しかった。
スタッと軽やかに降りると、流石のジグモもカチンッと来たのか殺る気になった。
「流石に今のはヒヤリとしたぜっ!!!」
ブアッと、とてつもない殺気を放った。
「全員、本気で殺れ!!!」
シャキン!
返事をする時間も勿体ないと、全員が武器を構えて戦闘体勢に入った。
「少し遊んでやるか!」
ジグモは【なにも持ってない】両手を前に出して腕を振るった。
!?
とっさに目の前にいたゼータが横に飛ぶと地面が割れた。
『なんだ?何をした!?』
顔には出さず注意深くジグモを観察するように見るが、ジグモはそんなに甘くはなく、再度の攻撃を仕掛けてきた。
ガキンッ!?
無意識に剣を前にして盾代わりにすると、剣に衝撃が走った。
「グッ!?いったい何の攻撃なんだ?何も見えんぞ!?」
「オラッ!どうした?オレは対複数の戦闘が得意なんだぜ!?」
反対側から攻めてきたリオンとエリザを吹き飛ばした。
そして───
「あらあら?ジグモはんも楽しそうですなぁ~うちも混ぜて下さいな?」
ジョロウグモは自分の周囲に炎の球体を複数体を生み出した。
「さて、うちの技、避けれますかなぁ~?【鬼火】!」
!?
予想より速い速度でアキとハルに襲った。
二人は間一髪に避ける事が出来たが、鬼火が地面に着弾すると大爆発を起こした。
「キャアァァァァァ!!!!!」
爆風で吹き飛び悲鳴を上げた。
「ハル!?アキ!?クソッ!イージス頼む!」
護衛騎士の中で唯一盾を持っているイージスに助けに向かわせた。
「クククッ、ジョロウグモは派手だなぁ~?そろそろ、オレの【魔法】のネタはわかったのか?」
二人とも魔力持ちだとっ!?
ジグモは不可視の攻撃をして、ジョロウグモはお嬢と同じく爆裂魔法を使う。
最悪だ!
こいつらは、自分の魔力を戦闘で使えるように訓練している。
ゼータは冷静に戦況分析を行っていた。
「ゼータ!避けろ!?」
ハッと思考を止めるとジョロウグモの鬼火が迫っていた。この魔法の厄介な所は速度が速いこと。着弾すると大爆発を起こすことの2点だ。
なんとか避ける事が出来たが、後ろで着弾して爆発に吹き飛ばされた。
「グワッ!?」
しかしゼータは、鎧でダメージが緩和され、受け身を取ってすぐに起き上がった。
「へぇ~やるじゃないか?」
ジグモは感心した様に呟いた。
「ゼータ!無事か!?」
「ああ、まだ動ける!」
少し離れた場所でリオンとエリザがフォローに入ろうと待機していた。
ジョロウグモの追撃がないと視線をやると、ミスティが接近戦闘に持ち込んでいた
「よし!上手いぞ!接近戦ならあの魔法は撃てない!」
近くで爆発したら自分にもダメージを受けるからだ。ミスティは少し短目のショートソードを【2本を両手】で持ち、二刀で連撃を繰り出していた。
しかし、ジョロウグモは大きな扇を閉じては棍棒の様に振るい、軽い攻撃には扇を広げて盾の様にして使った。
「鉄扇!?」
「半分正解ですわぁ~。これはミスリル合金で作られた特注やでぇ~~」
鉄より軽く、鉄より硬い金属である。
「うちは魔法より接近戦のほうが得意でしてなぁ?」
ガンッとミスティは吹き飛ばされた。
「クッ!?エリザ!!!」
距離が開いてはまた魔法攻撃がくる。だから誰かが接近戦に持ち込んでおかないとヤバいのだ。
すぐにエリザはミスティの代わりにジョロウグモと斬り合った。人数ではこちらが多いが、実力は向こうに軍配が上がっていた。
「まったく物足りねぇな」
「そうですね。この程度では戦った内に入りませんね」
ゼータは正直、不感燃焼だった。
「本当にね。こんなんじゃ前回の汚名返上にならないわよ」
エリザもため息を付いた。
しかし、口で不満を言っても油断はしていなかった。
!?
シュタタタタ!!!!
突然、手裏剣が飛んできて仲間達は後方に飛んで避けた。
「へぇ~?サラグモごときにやられたと聞いていたが、反応はなかなかいいんじゃねぇーの?」
ゼータは驚いた。
「おいおい、なんでてめぇが、こんな所にいやがる?」
城壁を見上げるとジグモと初めてみる着物の女がいた。
「なぁーに、帝国を去る前にここの伯爵が倒さる所を見ようかと思っていたら、お前達が来たのでな。まったく、運命を感じるぜぇ?」
「お前と運命なんて気持ちの悪い物はないな。それより隣りのべっぴんさんは大丈夫なのか?」
視線を女に送ると───
「うふふっ、お初ですなぁ~。うちはジョロウグモと言います。良しなになぁ~」
!?
幹部クラスとわかり、女でも警戒レベルを最大限に引き上げた。
ジョロウグモは遊郭の高級娼婦のように胸元の開いた魅惑な着物を着ていた。手には【大きな扇】を持っていた。
「今回は殺る気か?」
「さて、どうすっかなぁ~?」
バカにしている様にジグモは答えた。
護衛騎士達は油断せず武器を構えた。
「いいのか?そんな所にいて?」
ゼータの問にジグモは首を傾げた。
「なんのこと───」
!?
ジグモはとっさに身体を捻ると、自分の首があった場所に刃が通った。
「チッ!?」
いつの間にか背後に迫っていたハルだった。
「おやおや、危のぅございますなぁ~~」
ジョロウグモにもアキが攻撃していたが、こちらは余裕がありそうに避けた。
2人はそのまま城壁から地上へと落ちた。
いや降りたと言った方が正しかった。
スタッと軽やかに降りると、流石のジグモもカチンッと来たのか殺る気になった。
「流石に今のはヒヤリとしたぜっ!!!」
ブアッと、とてつもない殺気を放った。
「全員、本気で殺れ!!!」
シャキン!
返事をする時間も勿体ないと、全員が武器を構えて戦闘体勢に入った。
「少し遊んでやるか!」
ジグモは【なにも持ってない】両手を前に出して腕を振るった。
!?
とっさに目の前にいたゼータが横に飛ぶと地面が割れた。
『なんだ?何をした!?』
顔には出さず注意深くジグモを観察するように見るが、ジグモはそんなに甘くはなく、再度の攻撃を仕掛けてきた。
ガキンッ!?
無意識に剣を前にして盾代わりにすると、剣に衝撃が走った。
「グッ!?いったい何の攻撃なんだ?何も見えんぞ!?」
「オラッ!どうした?オレは対複数の戦闘が得意なんだぜ!?」
反対側から攻めてきたリオンとエリザを吹き飛ばした。
そして───
「あらあら?ジグモはんも楽しそうですなぁ~うちも混ぜて下さいな?」
ジョロウグモは自分の周囲に炎の球体を複数体を生み出した。
「さて、うちの技、避けれますかなぁ~?【鬼火】!」
!?
予想より速い速度でアキとハルに襲った。
二人は間一髪に避ける事が出来たが、鬼火が地面に着弾すると大爆発を起こした。
「キャアァァァァァ!!!!!」
爆風で吹き飛び悲鳴を上げた。
「ハル!?アキ!?クソッ!イージス頼む!」
護衛騎士の中で唯一盾を持っているイージスに助けに向かわせた。
「クククッ、ジョロウグモは派手だなぁ~?そろそろ、オレの【魔法】のネタはわかったのか?」
二人とも魔力持ちだとっ!?
ジグモは不可視の攻撃をして、ジョロウグモはお嬢と同じく爆裂魔法を使う。
最悪だ!
こいつらは、自分の魔力を戦闘で使えるように訓練している。
ゼータは冷静に戦況分析を行っていた。
「ゼータ!避けろ!?」
ハッと思考を止めるとジョロウグモの鬼火が迫っていた。この魔法の厄介な所は速度が速いこと。着弾すると大爆発を起こすことの2点だ。
なんとか避ける事が出来たが、後ろで着弾して爆発に吹き飛ばされた。
「グワッ!?」
しかしゼータは、鎧でダメージが緩和され、受け身を取ってすぐに起き上がった。
「へぇ~やるじゃないか?」
ジグモは感心した様に呟いた。
「ゼータ!無事か!?」
「ああ、まだ動ける!」
少し離れた場所でリオンとエリザがフォローに入ろうと待機していた。
ジョロウグモの追撃がないと視線をやると、ミスティが接近戦闘に持ち込んでいた
「よし!上手いぞ!接近戦ならあの魔法は撃てない!」
近くで爆発したら自分にもダメージを受けるからだ。ミスティは少し短目のショートソードを【2本を両手】で持ち、二刀で連撃を繰り出していた。
しかし、ジョロウグモは大きな扇を閉じては棍棒の様に振るい、軽い攻撃には扇を広げて盾の様にして使った。
「鉄扇!?」
「半分正解ですわぁ~。これはミスリル合金で作られた特注やでぇ~~」
鉄より軽く、鉄より硬い金属である。
「うちは魔法より接近戦のほうが得意でしてなぁ?」
ガンッとミスティは吹き飛ばされた。
「クッ!?エリザ!!!」
距離が開いてはまた魔法攻撃がくる。だから誰かが接近戦に持ち込んでおかないとヤバいのだ。
すぐにエリザはミスティの代わりにジョロウグモと斬り合った。人数ではこちらが多いが、実力は向こうに軍配が上がっていた。
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