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襲撃の真相!
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ゼータが話したのは意外な事だった。
「リオンが馬で出ていってから30分ほどした時だった。盗賊達を適当に縛り終わった頃──」
油断。
悪くいえば油断していた。
最初の盗賊達を倒したばかりで一息入れていた時、最初にエリザがやられた。
突然の奇襲に、吹き矢で毒針を腕に受けて倒れた。
急いでエリザを抱えて馬車の所に俺が戻ると、同時にシオンお嬢様も襲われていた。
敵は10人ほどの暗殺者。
イージスが吹き矢を盾で防ぎ、ミスティがスイッチして接近戦で攻撃していた。
シオンお嬢様は万能毒消し薬をエリザに飲ませて、各自も戦闘しながら薬を飲んで戦った。
奴らは連携して、遠距離からの攻撃を主軸に戦ってきた。動けないエリザを集中して狙ってきたため、他の護衛騎士が庇いながら戦った。
そのせいで鎧に多くの攻撃を受ける事になった。
二、三人ほどなんとか倒した時、敵のリーダーが現れた。
「敵のリーダーは【サラグモ】と名乗った」
「常闇の蜘蛛の幹部クラスかっ!?」
おっとの声が大きいと慌てて口を手で押さえた。
「そのサラグモって奴もかなりの腕を持っていてな。すでに傷だらけの俺達では手に余る相手だった。情けない事に、俺が重い一撃を受けて倒れた所で、シオンお嬢様がキレたんだ…………」
マジかよっ!?
「そ、それでシオンお嬢……様が魔法を使ったと?」
到着した時の違和感。周囲の焼けた後の様な跡はお嬢様の魔法の跡だったのか。
「キレたシオンお嬢様はそこら中に魔法をぶっ放して遠距離から攻撃していた奴らを倒した。死んだ奴もいるが、半数は撤退した。それを見届けてシオンお嬢様は魔法の使い過ぎで倒れたと言う訳だ」
ブルーネット公爵は周囲を見渡してその威力に背筋に嫌な汗が流れた。
「魔法が使える者は少ない。その少ない者の中でもここまでの威力のある魔法を使えるとは、本当にシオン令嬢の底が知れないな」
剣術もさることながら、魔法まで使えるとは。
やはりシオン令嬢は帝国に無くてはならない人物だと再認識した。
「しかし、狙われている自覚があるのに護衛が少ないのは問題ではなかったのではないか?」
「それについては返す言葉もありません。素人の盗賊ぐらいなら対応できると慢心しておりました。工業都市まで1日の距離で、近くまで行けば仲間が迎えにきてくれる事になっていたのもありますので」
公爵の言う通り油断、慢心、迂闊、どう言っても言い訳にしかならない。
「シオン令嬢の護衛騎士達は馬車に乗せて、我々が護衛として付いていこう。連れてきた騎士団を分けて盗賊の護送は帝都へ戻らせる。半数は我とともに工業都市ドラムへ向かうぞ!」
公爵は隊長格の騎士に命令を下した。
リオンは思った。
『シオンお嬢と一緒に入れば大変だけど楽しい旅ができる。だが、仲間が死なない訳ではないんだ。久々の旅で俺達全員が楽しくて、舞い上がっていたな。クールで冷静沈着なハルが居なかったのも、劣勢を招いた原因だ。ただでさえ帝国の裏稼業の奴らを狩っている最中なんだ。気合いを入れ直さないといけない』
リオンは自分の顔を叩くと傷ついた仲間を運ぶ手伝いをするのだった。
工業都市ドラムにいたハルとその仲間達は、郊外に出て、予定より遅いシオンの到着を待っていた。
「やはり誰か迎えに行った方が良いかも知れませんね」
ハルは誰かを迎えに行かせようとした時、向こうから多くの騎馬隊が見えてきた。
「あれは………帝国の騎士団ですか?シオンお嬢様が帝国の騎士団と来ると言う話は聞いておりませんが………?」
ハルは嫌な予感がした。
そしてその予感は的中する事になる。
早馬で先行していた帝国騎士から事情を聞いてすぐにハルは指示を出した。
「ルドルフ・ファーレン卿に連絡を!安心して治療できる場所を用意してもらって!このメダルを見せれば信用して貰えるから」
前回、ルドルフに貰ったメダルを部下に渡すと、ハルはシオンの元へ向かうのだった。
「シオンお嬢様!ご無事でいてください!?」
「リオンが馬で出ていってから30分ほどした時だった。盗賊達を適当に縛り終わった頃──」
油断。
悪くいえば油断していた。
最初の盗賊達を倒したばかりで一息入れていた時、最初にエリザがやられた。
突然の奇襲に、吹き矢で毒針を腕に受けて倒れた。
急いでエリザを抱えて馬車の所に俺が戻ると、同時にシオンお嬢様も襲われていた。
敵は10人ほどの暗殺者。
イージスが吹き矢を盾で防ぎ、ミスティがスイッチして接近戦で攻撃していた。
シオンお嬢様は万能毒消し薬をエリザに飲ませて、各自も戦闘しながら薬を飲んで戦った。
奴らは連携して、遠距離からの攻撃を主軸に戦ってきた。動けないエリザを集中して狙ってきたため、他の護衛騎士が庇いながら戦った。
そのせいで鎧に多くの攻撃を受ける事になった。
二、三人ほどなんとか倒した時、敵のリーダーが現れた。
「敵のリーダーは【サラグモ】と名乗った」
「常闇の蜘蛛の幹部クラスかっ!?」
おっとの声が大きいと慌てて口を手で押さえた。
「そのサラグモって奴もかなりの腕を持っていてな。すでに傷だらけの俺達では手に余る相手だった。情けない事に、俺が重い一撃を受けて倒れた所で、シオンお嬢様がキレたんだ…………」
マジかよっ!?
「そ、それでシオンお嬢……様が魔法を使ったと?」
到着した時の違和感。周囲の焼けた後の様な跡はお嬢様の魔法の跡だったのか。
「キレたシオンお嬢様はそこら中に魔法をぶっ放して遠距離から攻撃していた奴らを倒した。死んだ奴もいるが、半数は撤退した。それを見届けてシオンお嬢様は魔法の使い過ぎで倒れたと言う訳だ」
ブルーネット公爵は周囲を見渡してその威力に背筋に嫌な汗が流れた。
「魔法が使える者は少ない。その少ない者の中でもここまでの威力のある魔法を使えるとは、本当にシオン令嬢の底が知れないな」
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やはりシオン令嬢は帝国に無くてはならない人物だと再認識した。
「しかし、狙われている自覚があるのに護衛が少ないのは問題ではなかったのではないか?」
「それについては返す言葉もありません。素人の盗賊ぐらいなら対応できると慢心しておりました。工業都市まで1日の距離で、近くまで行けば仲間が迎えにきてくれる事になっていたのもありますので」
公爵の言う通り油断、慢心、迂闊、どう言っても言い訳にしかならない。
「シオン令嬢の護衛騎士達は馬車に乗せて、我々が護衛として付いていこう。連れてきた騎士団を分けて盗賊の護送は帝都へ戻らせる。半数は我とともに工業都市ドラムへ向かうぞ!」
公爵は隊長格の騎士に命令を下した。
リオンは思った。
『シオンお嬢と一緒に入れば大変だけど楽しい旅ができる。だが、仲間が死なない訳ではないんだ。久々の旅で俺達全員が楽しくて、舞い上がっていたな。クールで冷静沈着なハルが居なかったのも、劣勢を招いた原因だ。ただでさえ帝国の裏稼業の奴らを狩っている最中なんだ。気合いを入れ直さないといけない』
リオンは自分の顔を叩くと傷ついた仲間を運ぶ手伝いをするのだった。
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「やはり誰か迎えに行った方が良いかも知れませんね」
ハルは誰かを迎えに行かせようとした時、向こうから多くの騎馬隊が見えてきた。
「あれは………帝国の騎士団ですか?シオンお嬢様が帝国の騎士団と来ると言う話は聞いておりませんが………?」
ハルは嫌な予感がした。
そしてその予感は的中する事になる。
早馬で先行していた帝国騎士から事情を聞いてすぐにハルは指示を出した。
「ルドルフ・ファーレン卿に連絡を!安心して治療できる場所を用意してもらって!このメダルを見せれば信用して貰えるから」
前回、ルドルフに貰ったメダルを部下に渡すと、ハルはシオンの元へ向かうのだった。
「シオンお嬢様!ご無事でいてください!?」
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