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同盟ですよ!
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セラ・ラビット侯爵家のお茶会から戻ると、すでにお母様が戻っているようでした。
シオンは部屋に戻るとすぐに異変に気づいた。
ザワザワ
ザワザワ
「騒がしいけど、何かあった?」
お母様に付いて行ったハルが、走って部屋に入ってきた。
バンッ!!!
「ま、マリア様が襲われました!」
!?
「お母様は無事なのっ!?」
「はい!ただ………避難するとき転ばれて足に擦り傷を負いました」
ハルは悔しそうに唇を噛んだ。
かすり傷でも、怪我をさせてしまった事に負い目を感じているのだ。
「あれだけ厳重に言われていたのに、申し訳ございません!」
「謝罪は良いわ。状況を教えなさい」
夫人会のお茶会は、概ね良好な雰囲気で始まり終わったのだが、その帰り際の時に襲われた。屋敷の門を出て馬車に乗る僅かな隙を狙っていたようで、複数人の暗殺者が襲ってきた。
馬車に乗せるのは危険と判断して、屋敷の中に逃がそうとして、転倒したとのこと。
「それで、襲ってきた奴らは殺したの?」
「はい。全員その場で斬り殺しました」
お母様を狙った時点で『慈悲』はない!
当然よね。
「動き辛いドレスを着ていたのでしょう。仕方がないわ。それより、よくお母様を守ってくれました。ハル、ありがとうね」
「お嬢様………そんな優しい言葉を掛けないで下さい。もっと私を叱って下さい………」
「お母様の護衛はハルだけじゃないでしょう?それに私は家族を狙われて、優しくなんかないわ。今のハルには叱るより、優しい言葉の方が効くでしょう?」
!?
「かすり傷でも、お母様を守れなかったのは護衛の落ち度よ。罰としてメイド長から、地下で厳しい訓練をしばらくやり直しなさい」
「はい。かしこまりました」
ハルは俯きながら頷いた。
「お母様に会いに行きましょう」
シオンはハルに案内されお母様の休んでいる部屋に行きました。
「失礼します。お加減は如何ですか?」
「あらシオン、戻ったのね。ラビット侯爵家のお茶会はどうだったのかしら?」
「そんな事は後にしてください!具合いはどうなんですか!?」
「そんなに心配しないで。私が転んだだけなのよ。護衛の皆はよくやってくれたわ。正直、運動が苦手な私が足を引っ張ってしまって申し訳ないわ」
周囲の護衛達は首を振ってそんな事はありません!と言っている。
「それより、敵もついに一線を越えてきましたね。お母様を狙うなんて許せない」
シオンの発言に周囲は頷いた。
「シオン、私は無事だったのだから良いわよ。こんなの『いつも』の事でしょう?それより、ラビット侯爵家の事を話して?」
ううぅん~
シオンは戸惑いながら話した。
「なるほど。ラビット侯爵家、そしてまだ読んでないけど、ブルーネット公爵家から届いた手紙の中身が、シオンを王妃にする為に協力すると言う内容ね」
「それでは王妃候補の二人が仲間になると?」
シオンの護衛で、現在マリアに付いていた、ミスティが呟くように言った。
「そうね。これは【同盟】と言っても良いわ。これで敵はバーネット・メイゲン伯爵令嬢ただ1人と言うことね。ブルーネット公爵家が裏切る可能性は低いわ。ラビット侯爵家はどんな感じだった?」
「はい。セラ・ラビット侯爵令嬢は父親譲りの清廉潔白な感じの令嬢でした。少なくとも暗殺者を差し向けるような性格ではないかと………」
ハッとシオンが顔を上げると、他の護衛も気付いたようだ。
「なら、暗殺者を差し向けたのはメイゲン伯爵家しか無いわよね?」
「常闇の蜘蛛なら同業者を雇う事はないでしょう。他のシオンを恨む勢力の可能性もあるけれど、夜会で皇帝の色を纏ったドレスを着たシオンを、今の時点で狙うにはリスクが高すぎるので可能性は低い。ならリスクを負ってでも私やシオンを狙うのはメイゲン伯爵家だけでしょうね」
バーネット令嬢が関わっているか分からないけど、やってくれたわね。この代償は高くつくわよ。
シオンは部屋に戻るとすぐに異変に気づいた。
ザワザワ
ザワザワ
「騒がしいけど、何かあった?」
お母様に付いて行ったハルが、走って部屋に入ってきた。
バンッ!!!
「ま、マリア様が襲われました!」
!?
「お母様は無事なのっ!?」
「はい!ただ………避難するとき転ばれて足に擦り傷を負いました」
ハルは悔しそうに唇を噛んだ。
かすり傷でも、怪我をさせてしまった事に負い目を感じているのだ。
「あれだけ厳重に言われていたのに、申し訳ございません!」
「謝罪は良いわ。状況を教えなさい」
夫人会のお茶会は、概ね良好な雰囲気で始まり終わったのだが、その帰り際の時に襲われた。屋敷の門を出て馬車に乗る僅かな隙を狙っていたようで、複数人の暗殺者が襲ってきた。
馬車に乗せるのは危険と判断して、屋敷の中に逃がそうとして、転倒したとのこと。
「それで、襲ってきた奴らは殺したの?」
「はい。全員その場で斬り殺しました」
お母様を狙った時点で『慈悲』はない!
当然よね。
「動き辛いドレスを着ていたのでしょう。仕方がないわ。それより、よくお母様を守ってくれました。ハル、ありがとうね」
「お嬢様………そんな優しい言葉を掛けないで下さい。もっと私を叱って下さい………」
「お母様の護衛はハルだけじゃないでしょう?それに私は家族を狙われて、優しくなんかないわ。今のハルには叱るより、優しい言葉の方が効くでしょう?」
!?
「かすり傷でも、お母様を守れなかったのは護衛の落ち度よ。罰としてメイド長から、地下で厳しい訓練をしばらくやり直しなさい」
「はい。かしこまりました」
ハルは俯きながら頷いた。
「お母様に会いに行きましょう」
シオンはハルに案内されお母様の休んでいる部屋に行きました。
「失礼します。お加減は如何ですか?」
「あらシオン、戻ったのね。ラビット侯爵家のお茶会はどうだったのかしら?」
「そんな事は後にしてください!具合いはどうなんですか!?」
「そんなに心配しないで。私が転んだだけなのよ。護衛の皆はよくやってくれたわ。正直、運動が苦手な私が足を引っ張ってしまって申し訳ないわ」
周囲の護衛達は首を振ってそんな事はありません!と言っている。
「それより、敵もついに一線を越えてきましたね。お母様を狙うなんて許せない」
シオンの発言に周囲は頷いた。
「シオン、私は無事だったのだから良いわよ。こんなの『いつも』の事でしょう?それより、ラビット侯爵家の事を話して?」
ううぅん~
シオンは戸惑いながら話した。
「なるほど。ラビット侯爵家、そしてまだ読んでないけど、ブルーネット公爵家から届いた手紙の中身が、シオンを王妃にする為に協力すると言う内容ね」
「それでは王妃候補の二人が仲間になると?」
シオンの護衛で、現在マリアに付いていた、ミスティが呟くように言った。
「そうね。これは【同盟】と言っても良いわ。これで敵はバーネット・メイゲン伯爵令嬢ただ1人と言うことね。ブルーネット公爵家が裏切る可能性は低いわ。ラビット侯爵家はどんな感じだった?」
「はい。セラ・ラビット侯爵令嬢は父親譲りの清廉潔白な感じの令嬢でした。少なくとも暗殺者を差し向けるような性格ではないかと………」
ハッとシオンが顔を上げると、他の護衛も気付いたようだ。
「なら、暗殺者を差し向けたのはメイゲン伯爵家しか無いわよね?」
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バーネット令嬢が関わっているか分からないけど、やってくれたわね。この代償は高くつくわよ。
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